実る!ラズベリーの育て方|プランター・地植え
ジャムにするなど収穫後の楽しみが多い果樹・ラズベリー。品種の選び方から、剪定方法、肥料を与えるタイミングなどラズベリーの育て方の基本をプロの国吉さんに教えてもらいました。果樹栽培初心者必見の内容です!【果樹の育て方シリーズ】
目次
ラズベリーについて
ラズベリーの育て方で押さえたい3つのコツ!
ラズベリーの育て方【基本編】
ラズベリーの育て方【シーン・トラブル編】
ラズベリーの育て方Q&A
国吉純
園芸家・レモン研究家。造園や植栽管理、園芸講座、執筆、造園などを通して、家庭園芸の普及に力を注ぐ。実体験をベースにしたベランダガーデニングや、園芸療法が得意。国吉さんHP「ジュリエッタ・ガーデン」
ラズベリーについて
© PIXTA「ラズベリーってどんな果樹?」
ラズベリーの育て方解説の前に、栽培に役立つ特徴や品種などをご紹介します。
ラズベリーの特徴
ラズベリー(バラ科キイチゴ属)は、北アメリカやヨーロッパが原産の落葉小低木。
もともと冷涼な気候を好み、中高冷地の標高の高い場所が栽培適地です。夏の高温や雨続きの天候を嫌うため、露地植えにせず、移動できる鉢植えがおすすめ。
旺盛に地下茎を伸ばしてどんどん育ち、1本でも実が付きますから、果樹初心者でも楽に栽培できますよ。
難易度 初心者向き
耐寒性 強い
耐陰性 普通
耐暑性 普通
乾燥 弱い
樹高 1~1.5m
ラズベリーの品種
ラズベリーは、実の色により「赤ラズベリー」「黒ラズベリー」「紫ラズベリー」の3種類に分けられます。
よく見かける「赤ラズベリー」(分類上、黄色い実の種類も含める)は、一季なり性品種だけでなく、年に2回収穫できる二季なり性もあり。
ラズベリーの育て方で押さえたい3つのコツ!
コツ1 枝は支柱にまとめたりトレリスに誘引して管理しやすく!
コツ2 一季なり性と二季なり性は剪定の回数が違う
コツ3 夏の高温時には、鉢植を半日陰に移動して
※暖地の場合は、9月~11月にも植え替え・植え付けが可能。
※剪定について。一季なり性ラズベリーは8月と12~2月の2回。二季なり性ラズベリーは12~2月のみ。
※開花8月下旬~9月中旬、収穫10月上旬~11月下旬は二季なり性のラズベリーのみ。
※「寒冷地」北海道、東北、新潟県、富山県、石川県、高冷地(中間地でも高冷地の場合はこちらの分類)
※「暖地」四国、九州南部、沖縄県
※「中間地」福井県、関東甲信、東海、近畿、中国、九州北部
ラズベリーの育て方【基本編】
© PIXTA「水やり」「土の選び方・肥料」「置き場所」と、おさえておきたいラズベリーの基本の育て方をご紹介します。
水やり
ラズベリーの水やりは、「乾いたらたっぷり」が基本。
夏場に乾燥させると株が弱るので、1日2回・朝と夕方に水やりをしてください。
土の選び方・肥料
ラズベリーを鉢植えにするときは、赤玉土小粒、腐葉土、川砂を6:3:1の割合で土をブレンドして。
肥料は年に3回、2月に元肥を、6月と9月に各1回、追肥を適量与えます。
鉢植に肥料をあたえるときは、株元から離して円状におくとGood。
置き場所
ラズベリーは日照不足になると葉を落とすので、日当たり良好な場所に置いて育ててください。
また、高温にもある程度適応しますが、夏の乾燥や強い西日が苦手です。
日よけにシェードや寒冷紗を利用したり、半日陰になる場所に鉢の移動を!
ラズベリーの育て方【シーン・トラブル編】
© PIXTA病害虫や植え替えのコツなど・・・。気になるシーン・トラブルごとにラズベリーの育て方を紹介します。
剪定
ラズベリーは、一季なり性と二季なり性で剪定回数が異なります。
一季なり性のラズベリーは、収穫後の8月に夏剪定と、12~2月に冬剪定を行います。
実がついていた枝は年内に枯れてしまうため、収穫が終わったら早めに株元から切って、新しく伸びているシュートを大事に育てるのがポイント。
二季なり性品種は夏と秋に果実がつくため、夏剪定はしないで、12月上旬~2月下旬に剪定します。こちらも収穫が終わった枝を株元からカットして。
一季なり性と二季なり性ともに、枝分かれしていないヒコバエは、株元から30~40センチ残して切り詰め、脇芽をたくさん発生させて収穫量を増やしましょう。
植え付け・植え替え時期
休眠期の2月~3月が、ラズベリーの植え付け・植え替えに適した時期です。
特にラズベリーの苗の植え付けは、寒さがゆるんだ3月上~中旬頃がおすすめ。
暖地なら9~11月でも根づきやすいので、秋植えでも大丈夫です。
根鉢を少しだけほぐし、深植するのがコツ。
ラズベリーはほふくしたり横に枝が広がる品種も多く、枝を支柱にまとめて固定したり、トレリスやフェンスに誘引すると管理しやすくなります。
鉢に植えて3年過ぎたら、植え替えのタイミングです。
その後も1~2年周期で植え替えしないと、鉢の中で根が混みあい、なかなか新しい枝が出てこなくなるので要注意!
増やし方
ラズベリーの増やし方は、挿し木、根ざし、株分けなど。
挿し木は6~7月に新しい枝を10㎝ほどカットし、節を土に埋めるようにさせば、比較的容易に発根します。
株分けと根ざしは時期が違い、2~3月なので注意しましょう。
花・実のつけ方
開花は4月中旬~5月中旬。二季なり性のラズベリーは、8月下旬~9月中旬にも花を咲かせますよ。
ラズベリーはたくさんの花を咲かせるうえ1本で受粉できるので、1株あればたわわに実をつけます。
ラズベリーの実は、梅雨時の長雨や夏の高温多湿で傷んだり、カビがついてしまいがちなため、天気のよい日の朝か夕方に収穫しましょう。
カビ予防になる風通しを確保するためにも、適期に剪定を行うのも大事です。
収穫時期
収穫時期は、6月~7月。二季なり性のラズベリーは、10月~11月にも収穫できます。
ラズベリーは品種により実の色が異なりますが、最初は緑がかった小さな固い実です。
その実の粒、1つ1つがふくらんで色付き、すっかり柔らかくなってよい香りがしてきたら成熟のサイン。
収穫する時は、ラズベリーの実をそっと抜くようにして取ります。
実を潰さないように、1個1個ていねいに収穫して。
病害虫
ラズベリーは強健で、病害虫の被害は少ないものの、モモチョッキリやマメコガネ、コウモリガの食害が見られることがあります。見つけ次第、捕まえて処分を。
そのほか、樹液を吸うカイガラムシ、病気ではうどんこ病などにも注意してください。
冬越し
ラズベリーはよほどの寒冷地ではないかぎり、防寒対策は必要ありません。
マイナス20〜35℃以下にならない地域なら、屋外で寒さにあてながら冬越しを。
ラズベリーの育て方Q&A
© PIXTAビギナーがラズベリーの育て方で不安になりがちなことを、プロがズバリ、アドバイスします。
Q.ラズベリーを地植する場合、育て方で気をつけることは?
ラズベリーは関東より北での地植えならよく育ちますが、もともと冷涼な地で育つ植物なので、暖地では酷暑に耐えられないことも・・・。
暖地での地植えは近縁種のブラックベリーにするか、鉢植で管理するほうがおすすめです。
寒冷地で地植えにする場合は、掘り上げた土、腐葉土、赤玉土小粒、完熟堆肥を5:3:1:1で混ぜて土づくりを。
また、ラズベリーを地植えすると地下茎でどんどん広がるので、余裕のあるスペースを確保して。
Q.鉢植えのラズベリーの実がつかない・・・原因は?
ラズベリーの成長に比べ、鉢が小さくなってしまったのかもしれません。
ラズベリーを鉢から抜いてみて、根が回りきっているようなら、ひと回り大きな鉢に植え替てください。
そのほか日照不足や長雨によって、花付き・実付きが阻害されたことも考えられます。
日当たりのよい場所や、軒下など雨を避けられる所になど、鉢を移動させましょう。
Q.収穫後、ラズベリーの枝が枯れてしまいました。大丈夫でしょうか?
ラズベリーの生理的な現象なので、心配しなくても大丈夫。
ラズベリーは、今年花が咲き実った枝にはもう花が咲かず、やがて枯れていく習性なのです。
剪定時期、枯れた枝は地際からカットして間引きを。
やがて株元や、地下茎がのびていった先に新しい枝が発生し、どんどん成長していくはずです。
ラズベリーの育て方はいかがでしたか?
家で栽培すれば、香り高い摘みたてのラズベリーをほおばるという贅沢もできますよ。
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