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卑怯者は“得てして”こうなる!リスクを取る覚悟がない者の末路とはーーマンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

卑怯者は“得てして”こうなる!リスクを取る覚悟がない者の末路とはーーマンガ『インベスターZ』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。今回は、三田紀房先生の『インベスターZ』の第15回目です。

『インベスターZ』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、読むリラックスタイムですら学びの時間に変えることができます。私が強くお勧めする選りすぐりのマンガの名シーンの1コマを解説することで、より多くの方に名作の良さを知っていただけたら幸いです。

©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「本気になるとは、リスクを取るということ」

(『インベスターZ』第3巻 credit.19より)

大人気マンガの『インベスターZ』より。創立130年の超進学校・道塾学園にトップで入学した主人公・財前孝史は、各学年の成績トップで構成される秘密の部活「投資部」に入部します。そこでは学校の資産3000億円を6名で運用し、年8%以上の利回りを上げることによって学費を無料にする、という極秘の任務が課されているのでした。

「リスクを取らずにリターンはない」

道塾学園の創設者・藤田金七(かねしち)の玄孫(やしゃご)・美雪は、道塾学園の投資部に対抗して、自ら女子投資部を設立しました。メンバーは美雪の他に、友人の町田倫子(のりこ)と久保田さくらの3名です。

2人は投資初心者のため、本物のお金を投じる前に、まずはネット証券のバーチャルサイトで株取引の練習を始めます。しかし数日経って、練習画面をチェックした美雪からダメ出しが。その理由を聞いてみると、「2人とも本気になっていないから」だと言います。

「リスクを取らずに『真剣に取り組んでいます』とか言っても、そんなものは嘘っぱち」だと言う美雪。「大事なことは、勝負どころで大きな賭けに出られるかどうか。リスクを取る覚悟がないなら、お金持ちになることは諦めるしかない」と迫ります。美雪の真剣な様子に感化された2人は、「意地でも前に進む」ことを約束するのでした。

リスクとは不確実性のこと

美雪の言葉は、作者・三田紀房先生から読者への問いかけです。そこには「あなたは、仕事や投資に本気で向き合っていますか?」という強いメッセージ性を感じます。三田先生は美雪の口を借りて、「投資とは、リスクを取ってリターンを得ること」だと語らせていますが、まさにおっしゃる通りです。リスクとは、未来における不確実性であり、それがイコール危険というのとは違います。

言うまでもないことですが、リスクとリターンの関係は、「リスクが先でリターンが後」という順番になります。一方、会社員は、労働条件が先に決まっていて、リターンに大きな変動はないというのが主流ですから、「リターンが得られてはじめて動く」という考えになってしまうのも無理もありません。けれど、本来このリスクとリターンの順番だけは入れ替わることはないのです。

会社員だから順番に例外があるのではなく、通常は、会社がより多くのリスクをとっているというだけの話です。

リスクを取る覚悟がなかった場合、どうなるのか事例を見てみることにしましょう。世界的なベストセラー作家であるロバート・キヨサキ氏の『金持ち父さんの起業する前に読む本』の中に、このような話が出てきます。キヨサキ氏のお父さん(貧乏父さん)は、ハワイの教育局長を務めた人でしたが、ある時、勝ち目のない選挙に出馬して落選し、職も追われることになります。

成績が優秀だった貧乏父さんは、50歳で失業するまで、教育界から出たことがありませんでした。そこで、退職金を投じてアイスクリーム店のフランチャイズ権を買い、ビジネスを始めます。ところが、2年も経たずにアイスクリーム店は閉店。この期に及んで、自分の非を認めようとしなかった貧乏父さんは、失敗を本部のせいにして、訴訟を起こします。

実のところ、フランチャイザー(本部)はきちんとした会計システム等も導入しており、成功できるビジネスモデルを構築していました。ただ、貧乏父さんにリスクを取る覚悟がなかったために、システムが正常に機能しないまま、ビジネスも失速してしまいました。裁判に負け、全財産を失った貧乏父さんは、残りの人生を怒りと失意の中で過ごしたのでした。

失敗から学べば、大きな可能性が開ける

キヨサキ氏は、著書の中で「失敗を全力で避けようとするのがサラリーマンだ」というようなことを述べています。なぜなら会社員というシステム自体が、他の人と分業することによって責任も分散し、給料もみんなで分け合います。

例外はもちろんありますが、逆を言うと、1人に大きな仕事を任せてもらいにくい構造にあるため、なかなか失敗させてもらえないというのが、会社員の本質ということもできます。それに対して「リスクを取る」というのは、「失敗も成功も、自分自身が引き受ける」ことを言います。

私は、会社員時代に社内ベンチャーを立ち上げ、「会社員でありながら起業する」という、貴重な経験をさせてもらいました。とはいえ、それはもちろん「事業が失敗すればクビ」というリスクを先に取った上でのことです。

もし、この文章をお読みの会社員の方が「会社でチャレンジしたい」「自分も投資をしてみたい」とか「将来的に独立・起業をしたい」とお思いなのであれば、ぜひ今の会社で「社内で最初にできる失敗はないだろうか?」と考えてみてください。多くの失敗は、先輩がすでに過去にやってしまったことのリピートというのが現実ですから。

ここで本番さながらの失敗をさせてもらえるのであれば、何にも勝る得難い経験を、あなたにもたらすに違いありません。結局、いざという時にリスクを素早く取れるということが、すなわちチャンスをつかむということでもありますので。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』を上梓。著作累計は40万部。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト

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