LCCが安すぎるので沖縄から東京まで飛行機通勤してみた
いま、飛行機代が本当に安い。LCC(格安航空会社)なら、時期にもよるが成田から沖縄まで往復1~2万円台で行けてしまう。週末ふらりと小旅行気分でどこへでも行けるし、これほどの安さなら、例えば札幌や沖縄から東京のオフィスへ「飛行機通勤」なんてことも可能かもしれない。
そこで、沖縄に自宅、東京に会社があると想定し、平日に「通勤」できるのか検証してみようと思う。
沖縄から東京まで、実際に「通勤」してみた
というわけで、筆者は今、東京から成田空港に向かう特急電車にいる。東京のオフィスを退社し、沖縄の自宅に帰宅する(という体)ところである。
東京駅から空港第2ビル駅(LCCの便が発着する第3ターミナルの最寄駅)までは約50分。最も航空券代が安かったジェットスター那覇空港行きの最終便に乗るには16時30分には会社を出なければならない。短時間勤務になるため、不足分は電車内や飛行機内でのノマドワークで補う必要がある。
なお、LCCが発着するのは羽田に比べて都心からのアクセスが不便な成田空港の、さらに奥の奥にある第3ターミナル。最寄りの空港第2ビル駅から搭乗口までは早歩きでも15分くらいかかることを覚悟しておこう。まあ特殊なことをやるならこれくらいは我慢。健康のためにひと駅前で降りて歩くのと特に変わるまい。
成田空港から那覇空港までのフライト時間は約3時間。PCを機内モードにして仕事をしていたらすぐに着いてしまった。飛行機を降りると、南国らしいもわっとした湿気を含む空気を感じる。バリバリの平日、それも月曜のド頭から沖縄にいるという夢みたいな状況に軽くテンションが上がる。明日の朝には東京の会社に出社しなければいけない現実はなるべく考えないことにして、せっかくなので限られた時間で那覇を満喫しよう。もう22時過ぎてるけど。
夜11時からの那覇を堪能してみる
那覇空港から市街地まではゆいレールで15分くらい。深夜までにぎわう国際通りにも近いし、国際通りまで行かなくても平日遅くまでやっている飲み屋がけっこうある。なんだ、23時くらいからでもけっこう満喫できそうじゃないか。【画像1】自販機のラインアップに沖縄を実感する(写真撮影/榎並紀行)
ホテルに向かう道中にあった、いい感じの沖縄家庭料理を出しそうなお店に入ってみる。
【画像2】東京ではあまり見かけない瓶のオリオンビール(写真撮影/榎並紀行)【画像3】ミミガー、海ぶどう、島らっきょうの「沖縄三種盛り」と島ダコ(写真撮影/榎並紀行)
ここは完全に当たりで、安くてうまくてボリュームもある、つまり超最高の名店だった。とはいえ、オリオンビールとつまみ3~4品も頼めば2000円は超える。リゾート地にいるとつい財布のひもが緩んでいろいろ注文してしまうので、沖縄暮らしは飛行機代よりエンゲル係数との闘いなのかもしれない。【画像4】沖縄天ぷら盛り合わせ。魚、イカ、インゲン、ゴーヤー、イモ、薬草、島らっきょうという盛りだくさんで880円(写真撮影/榎並紀行)
理性が残るうちにホテルへ戻り、沖縄ローカルの深夜番組をぼんやり見ながら就寝。本当はこのまま2~3泊してビーチヨガやらフライボードやらスタンドアップパドルボードやら、沖縄の最新アクティビティを満喫したいところだ。 【画像5】沖縄の夜はけっこう長い(写真撮影/榎並紀行)【画像6】しかし、今日のところは大人しく寝る。朝5時起きで空港に行かないと午前中に東京の会社に出社できないのだ(写真撮影/榎並紀行)
朝6時の那覇空港はレストランも土産物屋もオープンしておらず寂しい。最後にソーキそばくらい食べて帰りたかったが、おとなしくフライトを待つしかないようだ。ただ、沖縄限定のプリクラ機があったので、せめてもの抵抗として思い出の一枚を残した。最近のプリクラは自動でデカ目に補正してくれたりするが、僕のようなおじさんでも分け隔てなく盛ってくれるのが有難い。【画像7】おかげでやたらと目ヂカラのある思い出ができた(写真撮影/榎並紀行)
その後は那覇空港から成田空港まで再び3時間のフライト、成田空港からは東京駅まで直通のバスで約50分、なんとか11時には都内の会社に到着することができた。ここからまた16時半まで東京で働き、電車と飛行機の中で2~3時間ノマドすれば1日8時間の労働力は会社に提供できる。沖縄~東京の飛行機通勤で働くことは、物理的には可能ということでいいだろう。いいよね。
改めて、1日のタイムスケジュールをおさらいすると、こんな感じ。
【5:00】起床
【6:00】那覇空港到着
【7:10】飛行機で東京へ出勤
【11:00】東京都内のオフィスに到着、16:30まで勤務
【16:30】オフィスを出る
【18:55】飛行機で沖縄へ帰宅(機内でノマドワーク)
【22:00】那覇空港到着
【23:00】沖縄の家庭料理屋さんで食事
【翌1:00】就寝
ご覧のとおり、けっこうハードだ。これが毎日だと疲れそうだが、続けているうちに次第に慣れてくると思う。何より沖縄の夜は刺激的だし、週末はリゾート三昧なので、半年から1年くらい体験してみるのは全然アリなのではないだろうか。
気になるコストをシミュレーション
しかし、やはりネックはコストである。いくらLCCが安いとはいえ、1カ月のうち20日間を沖縄から出勤するとなると飛行機代往復で30万円弱かかる(1往復1.5万円×20日間)。フルタイムでの勤務がマストな職場であれば、よほどの高給取りでなければ現実的ではない。
だが、最近はリモートワーク制度の導入などで毎日出社せずともOKという企業も増えている。仮に3分の1程度の出社で許される会社なら飛行機代は月約10万円。それでも高いが、東京よりも家賃や物価が安い沖縄なら生活コストを抑えることでなんとかやりくりできそうだ。
ちなみに、先日ヤフーが「新幹線通勤」を導入し、通勤時間2時間以上の従業員を対象に交通費を最大15万円まで支給すると発表した。ヤフーの本社オフィスは千代田区紀尾井町にあるが、15万円もの通勤手当があればかなり遠方からでも出勤可能だ。しかも、ヤフーは数年後をメドに「週休3日制」の導入を目指しているという。これなら月15~16日程度の出勤で済み、沖縄からの飛行機通勤というのもがぜん現実味を帯びてくる。
そこで、勝手にヤフーの社員になったつもりで皮算用してみると
・沖縄(那覇空港)-東京(成田空港)への飛行機代(※往復)
22万3500円(1万4900円×15日)
・成田空港-東京駅へのバス代(※1乗車当たり856円の回数券使用)
2万5680円(856円×15日×往復)
・うち15万円を通勤手当で相殺
で、9万9180円が自腹となる。フル出社でも10万円を切った。観光のオンシーズンを避け、かつヤフー社員であれば(そこが一番のネックではあるが)沖縄からの飛行機通勤はそれほど非現実的なものではないようだ。
さらにさらに、最近はバニラエアが沖縄や札幌までの格安回数券を出していたり(平日3往復で2万4800円、つまり往復約8300円!)、昨年などは沖縄ではないが期間限定、数量限定で成田、奄美大島間が1カ月なんと2万7000円で乗り放題になる「定期券Vaniller’s Pass」を発行したりしていた(※休日も含む「全日パス」の場合は4万円)ので、うまく使えばさらにコストを圧縮することができるだろう。
こうしたお得なチケットも登場しているし、まだ一部の企業に限った話とはいえ、ヤフーのように「住む場所の選択肢を増やす」施策を導入する動きもある。沖縄に住んで「飛行機」で東京に通勤するという、数年前なら妄想に過ぎなかったライフスタイルも、案外普通にできてしまう時代がやってくるかもしれませんよ。
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