刑務所の献立表を見てみた!一般人は知らない「刑務所メシ」の内容!

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どうも特殊犯罪アナリスト・丸野裕行です。

普段から刑務所に入っていた元受刑者の方へのインタビューや、半グレたちへの取材を行っています。
半グレたちへの取材中には喧嘩騒ぎに巻き込まれ、筆者自身も逮捕・48時間拘留されるということもありました。

こうした経験などを通し、頑丈な金網に囲まれた“塀の中”には独特の文化が存在することも知りました。

食文化もそのひとつです。しかし具体的にどのようなものを受刑者たちが食べているのかということは、これまでは知る術がなかなか無かったわけです。※ちなみに筆者が留置されたときは“官弁”という冷えた弁当でした

『実録漫画シリーズ! 激ヤバ裏社会~突然逮捕されたら~』
https://getnews.jp/search/%E6%BF%80%E3%83%A4%E3%83%90%E8%A3%8F%E7%A4%BE%E4%BC%9A

今回、多くの著書を執筆しながらテレビなどで活躍中の社会学者・大学教授の廣末登先生から著書のひとつ『塀の中の献立』を献本いただきました。「丸さん、使ってもいいですよ」とご快諾いただけましたので、この内容から「受刑者は具体的にどんなものを食べているんだろう」という世の疑問にお答えしたいと思います。

受刑者たちの日常の唯一の楽しみ《刑務所メシ》はどのようなものなのでしょうか?

朝食の淋しい内容

これは令和3年のとある刑務所の献立表です。

朝食も昼食も夕食も、麦3:白米7の割合のご飯が配食されます。ここに日替わりでおかず付いてくるのですが、献立表を見る限り糖尿病食のような、あまりパンチのないものばかりですね。

基本的に“みそ汁”と“ふりかけ”“おかず”の3品が付きます。それでは見てみましょう。

1日(日):キャベツのみそ汁、たらこふりかけ、納豆
2日(月):小松菜のみそ汁、しそふりかけ、なめたけ
(塀の中に詰め込まれているのに瓶詰めのなめたけとは!)
3日(火):里芋のみそ汁、わかめふりかけ、うに風味(謎! ウニくらげみたいなやつなのか?)
4日(水):玉ネギのみそ汁、わさびふりかけ、味付けのり(まさかのおかずとはいえない副菜の登場!)
5日(木):大根のみそ汁、たらこふりかけ、海苔の佃煮
6日(金):白菜のみそ汁、しそふりかけ、厚焼き玉子
(この日は謎に豪華な副菜)
7日(土):わかめのみそ汁、わさびふりかけ、たまご風味(謎! 風味のする何なのかが不明)

といった感じで、毎日一週間同じ食材がローテーションしていくというわけですね。しかし、他の日程を見てみると、豆腐やお麩、ほうれん草、カボチャ、しめじなどのみそ汁、だし巻き玉子も出るようで、全体に変化を持たせています。

気になるうに風味、たまご風味の他に“明太風味”という謎の副菜もあり、朝食の闇は深まるばかりです。

気になる、刑務作業のパワーの源・昼食!

昼食は、11:45から開始の刑務作業の力の源になるメニューが揃っています。基本というものはなく、日々違った食事が出るようですね。ちなみに、刑務所では火を使う調理はなく、すべて刑務所メシのセントラルキッチンから届いた食品をスチーム調理するのが基本のようです。※刑務所によります

なかなかのメニューが揃っていることは、この1週間でわかっていただけるのではないでしょうか? もちろん、パン食以外、麦3:米7の飯が付いてきます。

8日(日):すき焼き風煮込み(やっぱり松坂牛でも使っているんでしょうか?……嘘です)、キャベツナムル、青じそ漬け
9日(月):みそちゃんぽん(佐世保市民泣かせ! ごはんとW炭水化物)、揚げ春巻き、つぼ漬け
10日(火):スパイシーウィンナーじゃが(刑務所の中だけでも刺激的な日々なのに、おかずまでもスパイシー!)、ほうれん草の胡麻和え、さんご漬け(福島県名物の麹漬けだそうです)
11日(水):けんちん汁、豚生姜焼き、豆昆布佃煮
12日(木):チキンカレー
(まさかのカレー!)、スライスチーズ(カレーにのせるも良し、別添えで齧るも良し)、福神漬け
13日(金):さつま汁、ピリ辛焼肉(なんと刑務所内でアニョハセヨ! 飯が足りなくなること必至!)、たくあん漬け
14日(土):味噌煮(なんの味噌煮なのかは不明、まさに闇鍋状態でその日を待つ!)、ピーナッツ和え、はりはり漬け

という感じで、午後からの仕事に備えて、パワーがつくような献立になっています。ちなみに立ち仕事の人が赤色の印の付いた“A等食”で麦飯の量が多く、座り仕事の人が青色の印の付いた“B等食”になって麦飯の量が少なくなります。、しかもその中でも細かく量が変わったりと刑務所の中のルールはなかなか難しいわけです。

ディナーはしっかり!

刑務作業が終わったあと、16:50~17:00からは夜の配食です。入浴がない日に関しては、刑務作業後に手足を洗ってから、各房に戻ります。番号の点呼が終わったあと、心待ちにしていた夕食準備です。机を移動して房の中心に置き、箸を各自に配って配食待ち。では、夕食のメニューはどのようなものなのでしょうか?

15日(日):きのこ汁、紅鮭、割干し漬け
16日(月):チゲスープ、豚角から揚げ(これは塀の外の人間でも食べてみたいと思う一品!)、さんご漬け
17日(火):肉じゃが煮込み(受刑者たちがまさにおふくろの味を思い出す一品。これを愛する受刑者も多いとか)、小松菜かか和え(おかかかも母を思い出す人気の一品)、みかん(刑務所・オブ・ザ・ベスト・スイーツ)
18日(水):キムチ鍋(なんと、またまた刺激物! 味の濃いものが求められる所内では大人気!)、コーンマヨネーズサラダ
19日(木):関東風煮(おでんでしょうかね?)、鶏そぼろ(これと麦飯を合わせれば最強!)、豆昆布佃煮
20日(金):中華とうもろこしスープ、焼き鳥風煮、さんご漬け
21日(土):豚バラ大根煮、ツナの酢の物、パイナップル缶詰め

朝はともかく、なんとも充実した昼食と夕食なんでしょうか! しかも、春には三色団子、夏はアイスクリームとスポーツドリンク、秋は月見団子、クリスマスにはケーキ、正月にはおせちが付きます。いやはや、塀の中に入っていない我々の方がもっと貧しいものを食べているような気がしますね。

今回は、社会学者の廣末登先生にご協力を得て、刑務所の中の献立を入手することができました。
この内容を見て、「ちょっといいなぁ~……」などと、うらやましく思ってしまっていませんか?

いえいえ、塀の中で飯は食えても、令和2年度の作業報奨金というのは、1人あたりひと月の平均支給額は、約4,320円です。シャバで真っ当に働いた方が贅沢ができますよ!

(C)写真AC
※一部の写真はイメージです。

(執筆者: 丸野裕行)

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