盗用書籍『最後のパレード』騒動とは何だったのか? 今度は手塚治虫を引き合いに
インターネットサイトや著作権者のあるエピソードを多数掲載し、著作権侵害にあたるとして出版元のサンクチュアリ出版が自主回収をはじめた『最後のパレード』。このことはマスコミにて大きく取り上げられ、インターネットでは稀に見る大きな騒動となっている。
本来ならば、出版社と著者が謝罪し、誠意を持ってしかるべき処置をすれば解決する話であり、インターネットで何週間も話題になることはないのだが、いまだに『2ちゃんねる』やブログなどでは毎日、毎時、毎分のように意見や非難が飛び交っている。サンクチュアリ出版はこのことに対して謝罪しているが、どうしてここまで大きな騒動になってしまったのか?
騒動が収まらない理由。それは、著者のブログでの発言が世間一般の人たちの感覚からすると、非難を浴びざるを得ない内容になっているからではないだろうか。著者であり元・東京ディズニーランドのスーパーバイザーである中村克氏は、今回の盗用や著作権侵害、そしてそれに関する報道に関して納得がいかないらしく、盗用疑惑を報道したマスコミに対するバッシング、そして自分擁護とみられる発言が自身のブログに多数書かれているのである。
<インターネットで非難があがっている点>
・「申し訳ありませんでした」がない
「著者は自身のサイトにて、一度も謝罪の言葉を書いていない。これは、著者自身が今回の件に関して「自分ではなく世間が間違っている」という考えを持っているからだと思われる。少なくとも無断で掲載された人がいて不快に思っているのであれば、たとえ自分に一貫した考えがあるとしても謝罪の言葉を述べるべきである」という印象をインターネットユーザーが持っているのではないかと思われる。
・他の書籍を引き合いに出して「どうして私だけ」
「他の書籍や媒体を引き合いに出し、これは著作権侵害にあたらないのか? どうして『最後のパレード』だけが? という内容のコメントをしている。他のものを引き合いに出す前に、まずは目の前にある自分の問題を解決しなくてはならないと思うのだが、それが見られない。あの人が泥棒をしているのだから自分も泥棒をしていいという考えは間違っているし、捕まってから警察に他の泥棒のことを密告したところで自分の罪は軽くならない」という印象をインターネットユーザーが持っているのではないかと思われる。
・自分の肩書きを掲げて擁護をする
「私はディズニーランドでスーパーバイザーをしていた、認めてもらっていた、という過去の自分に関する栄光の話を書きつつ、他の権力があると思われる人物に擁護ともとれる内容の記事を書いてもらい、自身のブログに掲載している。確かに中村氏はそれだけの人物であり成果をあげてきた人物かもしれないが、いまは自分擁護ではなく謝罪が第一である」という印象をインターネットユーザーが持っているのではないかと思われる。
・他の媒体をバッシング
「自分の盗用疑惑を報道した読売新聞社や日本テレビなどのマスコミに対して提訴すると発言。まるで逆ギレのようなやり方は間違っている。まずは自分のことを反省する必要があるのではないか。特に読売新聞の読者に対しても愚民と発言して誹謗中傷をするのは常識はずれではないか」という印象をインターネットユーザーが持っているのではないかと思われる。
これらのことでいえることは、著者が素直に謝罪をするということが欠けているということだ。中村氏は思いやりを重視すると自身のブログにも書いているが、それならばまっさきに著作権者、読者、関係各社に対して謝罪すべきなのではないだろうか? 著作権者に対して謝罪しているかどうかはわからないが、自身のブログに弁明を書く時間があるのであれば、そこに謝罪の言葉、「申し訳ありませんでした」だけでも書くべきだったのではないか?
もし、中村氏がすぐさま非を認め、謝罪文を(すみませんでしたという数文字でもいいので)書いていれば、ここので非難が殺到するほどの事態にはならなかったのではないだろうか。自分の確固たる考えは誰にでもあるもの。しかし、第一に相手のことを考える人ならば擁護より謝罪が先にくると思うのだが、皆さんはどうお思いだろうか。
ちなみに中村氏は5月4日の日記にて『手塚治虫の盗作疑惑の真相について』というタイトルの日記を書き、今度は講談社に対して疑問を語っている。もし手塚治虫先生がディズニーを真似て絵を描いたというのであれば、それはインスパイアであり盗用とはいわないことを理解しなくてはならない(このニュースの元記事はこちら)。
イラスト: 桃吐マキル
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