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【MobileHackerz X 竹中直純 スペシャル対談(3)】“全録”環境がテレビを面白くする

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MIRO(MobileHackerz)と竹中直純(未来検索ブラジル取締役、SPIDERの仕掛け人)が、テレビの新しい楽しみ方を語る対談シリーズ、第3回。24時間、全テレビ局のテレビ番組を録画する“全録”環境を手に入れた2人にとって、テレビはどう見えるのでしょうか。話は徐々に過激な方向へ……(バックナンバー: 第1回 / 第2回)。

聞き手:ガジェット通信編集部・宮原俊介(shnsk)


 
 
■テレビは面白い!
竹中
 多チャンネル同時録画できるハードディスクレコーダー『SPIDER』自体ができてみて、僕はやっと10年前から考えていた、常時接続と同じように24時間いつでもテレビ番組が観返せるという環境を手に入れられてですね。たぶんMIROさんと同じなんですけども、やっぱりテレビを全然観なかったんですけど、テレビ観るようになるわけですよ。

MIRO  へへへ(笑)。

竹中  テレビ面白いんですよ。

MIRO  面白いですよ。

竹中  テレビの意図みたいなものがすごくよく分かる。あからさまなものは誰でもよく分かると思うんですけど。たとえば深夜にアニメが増えてきたり、急に全部なくなったりっていうようなことって……

・編成上のいろんな都合とか工夫
・アニメ産業の隆盛
・ユーザーがどう思っているか
・パッケージビジネスがどういうふうに景気がよくなってるか悪くなってるか

……というようなことが、1クールごとにすごくちゃんと現われるんですよね。そういうことが読める。

興味が個別のコンテンツであればそれも観られるわけでしょ。しかも録ってあるわけだから、早見とか、CM飛ばしとか、テレビ局の方が嫌がりそうなことがいくらでもできるんですが、むしろそれができたほうがテレビが身近になる。CMに興味がいったときに、集中した興味を持つことができるようになるんですよね。

最近の例でいうと、任天堂の『ニンテンドーDSi』とかを欲しいって思ったときに、『Wii』を持っていると結構長いCMが勝手にオンラインで来るんですけれども、やっぱり最初のとっかかりはテレビのCMで。カメラがついたじゃないですか。撮った写真をウィーンって伸ばせるのが「これは面白い!」って、ちょこっとした2フレームくらいで目に入ったので、やっぱり巻き戻して観るわけですよね。「なんかDSiって言っても、DSはいっぱい持ってるからもういいやー」って思ってたのに「なんか面白いかも」って思うきっかけになってるわけですよね。

MIRO  なんか面白そうだなって思ったときに、それがいろんなニュース番組でどういう風に放送されているのかっていうことが観rられたりしますよね。

竹中  やります。ほんとにそういう風に全部観られると分かるんですけど、夜のニュースで、被害者の年齢とか容疑者の年齢とか、しょっちゅう違うんですよ。50歳ってなってたり、59歳ってなっていたり。それって取材の現場で間違って伝わったことが、そのまま放送局で原稿になって放送されているわけですけれども。普通はニュースって横並びでやってるから観れないわけですよね。数字だったらね、年齢くらいならまだいいですけれども、もっと重要なことも間違ってるかもしれなくて、その間違いに気づくこともできないかもしれないという、テレビの恐ろしい部分が分かります。全録しているっていう状況で自分が好きに選べる、自由を得られるっていうことは本当にいいことだと僕は思うんですね。新聞だって比べ読みできますからね。

MIRO  あとはその、新聞の比べ読みに近いですけど、各局ごとの報道のスタンスが違っていて。

竹中  そういうこと言っていいんだったらいくらでも言うよ(笑)。

MIRO  本当に重要なニュースにおいても、各局ごとに報道の姿勢が全然違ったりするので、そういうのを見比べるのってすごい大事ですよね。

竹中  今だってねえ(収録は10月30日)、麻生さんは解散のことなんか言ってないし「言ってない、言ってない」ってずっと言ってるのに、解散のことばっかり報道してたじゃないですか。2~3日前から急に「解散しません。公明党と会談しました」みたいなことを急に言い始めたんですよね。あれは何らかの意図があるんですよね。普通のテレビの見方だと「あ、そうなんだ」で終わってしまうんですよね。でも、全録してると異様に思えるわけです。急に風向きが変わった、一斉にそうなった、ということがよく分かりますよね。テレビの偏りみたいなものが非常によく分かったり、ね。

MIRO  テレビを観る質的な転換っていう話がありましたけれども、見比べることができるということ、テレビの報道、テレビ局の姿勢を俯瞰して見ることができることが一つの大きな特色である、と。あともう一つはそこに至るまでのステップが短いというか。

■テレビを観る“費用対効果”が上がる
MIRO
 要するに普通の人がテレビの特定の番組を観ようと思ったら、放送よりも前の時間に、番組の情報を収集しておかなくちゃいけないですよね。その時間に合わせてテレビの前に座ったり、録画の時間を合わせたりしなくちゃいけない。意識しなくても複数のプロセスを踏むんですよね。全録しておくと「こういうの面白かったよ」って人から聞いたらその場で観られる。プロセスの短縮という効果が実はすごく大きくて。テレビをすごく身近にするんですよね。

質的な転換っていうのはそこにあるんですよね。私がよく言ってることなんですけれども、今まで特定のテレビ番組を見るためにかけるコスト、たとえば心理的なコストが5あったとすると、テレビ番組の面白さが5以上ないと不満なんですよ。コストに対してのリターンが5以上ないと不満なんですよね。

竹中  費用対効果が。

MIRO  そう、費用対効果が(笑)。で、みんなが「あいつのせいだ」「テレビなんかつまんない」って言うんですけど、でも確かに面白さが7とか10とかの番組ってすごい少ないんですけど、面白さが3とか4の番組はすごくたくさんある。

竹中  優しいなぁ、MIROさんは(笑)。全然観ないけどなぁ。

MIRO  『24時間ワンセグ野郎』で全録してると、見るまでのコストが1とか2なんですよ。ピッとクリックして出てきた番組っていうのが、意外と楽しめたりする。すごく質が変わったなあと思います。自分がテレビを観るようになったっていうのもそういうところが大きいですね。夕方のバラエティ的なニュース番組って、録画してないとわざわざ観ないですけど、なんとなくポチっとクリックして映る分にはけっこう面白い。

竹中  その環境を得た人は必ずそういうふうになるんですね。たまたまそういうことを実現してる人、SPIDERのユーザーでも、24時間ワンセグ野郎を自作できるPCユーザーでも、そういう興味がものすごくある人、コストをかけてもよい人、全国でもまだ数百人しかいないですけど。これって当たり前にね、環境化するんですよね。質が変わるって言われても分からないかもしれないけど、たとえば話に出てきたテレビ番組を「じゃあ帰って観てみます」みたいなことが、日常会話に出るんですよね。何の意識もせずに。

MIRO  そうそう。

竹中  そしたら変な顔をされるんですけどね。まぁ当然のことですけど。でもテレビってそういうくらいの気軽さでブラウズできたほうが、情報っていう点で言うと面白いというか、人生が有意義になるような気がしませんか?

テレビは嫌いだって思っているMIROさんや僕が、テレビを身近に感じて実際に観てるわけだから、機会損失だったものが完全にゲイン(獲得)側に変わっているわけですよね。だから何かね、これは常時接続のメリットを説明するのが難しかったように、全録のメリットを口できちんと説明するのって難しいんですけど「こっちにおいでよ」っていう気がしますよね。

MIRO  これはすごくいいものなんだけど、分かってもらうのは難しいなあっていうのは感じますね。

■全録+メタデータで変わる視聴体験
録りだめたはいいけど、それをインデックスする機能がないときちんと使いこなせないですよね。そういう工夫をしてるんですか?

竹中  SPIDERはそういうメタデータを当然ながら持っていて、それは24時間ワンセグ野郎も持ってますよね?
(編集部注:「メタデータ」は、データに付加するデータのこと。ここでは、テレビ番組やCMに関する、放送日時や出演者など、あらゆる関連情報を指す)

MIRO  ある程度ではありますけど。

竹中  番組のタイトル、番組開始時間、終了時間ぐらいは持ってるわけですよ。

  テレビ局からそういうのは提供を受けるんですか?

竹中  いえ、自分たちで入力してます。

 それはテレビ欄なんかを見てですか?

竹中  僕はソースは知りません。メタデータはテレビ局が権利を主張していて、録画した後はタイムラインより後のメタデータは絶対に消せとか言ってくるんですよ。

MIRO  あれはもうなんていうか納得いかないですよね。録画する前は番組の詳細が見れるんですけど、録画すると消えるんですよね。冗談じゃないっていうか(笑)。

竹中  番組に関するデータ以外に、番組を人間が見て何が起こっているかっていうのを入力する人たちが全国にいます。個人用の(SPIDERの)契約だとごく一部しか使えないんですけれども、業務用だと「○○という番組で□□さんが出てます」とか、テキスト検索できるような情報が入っています。

もうひとつ、CMのデータが自動検知されます。15秒、30秒の枠を、とある方法でハッシュ化して、同じものに同じメタデータがつくシステムを作ってる会社があって、そこが実際のテレビ放送とかけあわせることで検知するんです。もともとは携帯電話で、CMでかかってる曲をCDで買うとか、オンラインで買うためのシステムで、それ以外は役に立たなかったんですが、全録機器があることでCMデータもちゃんと挿入されるようになった。

 では、データの精度が徐々に上がっていくんですか? リアルタイムで観てデータの入力をしている人がいて。

竹中  そうですそうです。だいたい2~3時間後には内容データも含めてアップデートされます。業務用のSPIDERでは。ここ2~3時間でCMを検索したいと思ってもなかなか難しくて、事実上不可能ですよね。地上デジタル放送でメタデータがたくさん載るようになればできるのかもしれないけど、それでも生放送だと難しいんじゃないかな。

 テレビ+メタデータでテレビの見方が変わるというか。

竹中  全録をしている状態にメタデータをひっつけることで、飛躍的にテレビの視聴体験が変わるということですね。それによってテレビを観ない人が観るようになるに違いないので、市場が広がる。CMの価値も上がるし、番組の期待とか価値も上がるでしょうということを目指して作られてるのがSPIDERですね。

MIRO  たとえばドラマを観ることはあまりないですけど、『実況スレッド勢いブラウザ』を見てて、「この番組面白い」ったら、それを1ヵ月さかのぼって何回か見たりとか。そうなると時間の枠とか気にしなくなる。いわゆる「月9」とか。

竹中  小学校のときに『エースをねらえ』再放送を観たくて走って帰ったりしてたんですけど、それはいい思い出なんですけども。子ども時代にそういう制限が多くて苦労するのはアリかと思う。SPIDERとか24時間ワンセグ野郎がある状況で育った子どもってのはどういう風になるんだろうっていうのは見てみたい。

MobileHackerz X 竹中直純 スペシャル対談(4)』に続く

MIRO プロフィール:
MobileHackerzの中の人。デジタルガジェットをこよなく愛するモバイル男。でも最近「自転車」にハマり、引越して電車移動の時間が短くなりでガジェットをいじる時間が少なくなってます……。

竹中直純プロフィール:
有限会社未来検索ブラジル取締役、武蔵野美術大学講師。インターネット草創期より、数多くのWeb サイトやシステムの設計・運営に携わるプログラマー。技術家を自称している。現在は、システム開発のみならず、Web関連のディレクションやプロデュースを多数手がける。

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記者:

宮原俊介(編集長) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

TwitterID: shnskm

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