【連載コラム】遊津場の関西アーティスト週報vol.9「POPだけでは図れない! POP ART TOWN」

【連載コラム】遊津場の関西アーティスト週報vol.9「POPだけでは図れない! POP ART TOWN」

こんにちは。神戸在住の音楽キュレーター、遊津場(ゆつば)です。普段は邦ロック系インディーズアーティスト情報をSNS、メディア寄稿、自主イベント開催など、様々な手法で発信する活動をしています。

そして今回、OTOTOYで私のメインの活動地域である関西エリアで活躍する若手アーティストの様々なトピックを発信する機会をいただきました。 これを読めば、関西邦ロックシーンの最前線が分かります。どうぞ、ご贔屓に。

「POPだけでは図れない! POP ART TOWN」

大阪のキラキラ系POPミュージックバンドPOP ART TOWNが2024年9月にニューEP「Spice」のリリースが決定したことを発表しました。また、それに伴い東名阪でリリースワンマンツアーも開催されます。

彼らとの出会いは2017年頃まで遡ります。まさにキラ星の如く現れ、大型フェスのオーディションでのライヴ動画を見たのが最初でした。「DOWN TOWN」という夜のネオンが似合うオシャレなサウンドと、キャッチーな〈Yeah Yeah Yeah〉というサビのリズムに、体を踊らせずにはいられないナンバーを披露していたのを今でも覚えています。その後もライヴ活動に加え、3枚のアルバムをリリースするなど精力的な活動を展開しています。今年1月にも「Groovy night」を配信リリース。4月の東京でのワンマンライヴもソールドアウトしました。

【連載コラム】遊津場の関西アーティスト週報vol.9「POPだけでは図れない! POP ART TOWN」

ただ、これは私のようなインディーズ・アーティストを追っているリスナーあるあるかもしれませんが、じつはまだ彼らを初期の「キラキラ」「ネオン」「シティポップ」「オシャレ女性ボーカル」といった印象だけのままで止まっている人もいがちなのではないかなと思っています。もちろんその側面も進化していて、新譜の「Groovy night」は特にそれを感じることのできる楽曲だと思います。ですが、私はこのバンドの結構もっとファンタジックな部分が全面に出ている楽曲のカッコよさが知られても良いのではと。そういった目線のオススメ3曲を紹介します。

まずは1stアルバムにも収録されている「スターゲイザー」。先週のライヴでも披露されていたので、ファンには根強い人気のあるアンセムだと思います。3分48秒の間、歌の力で一直線に闇を払うような閃光のような楽曲。2曲目は「i」。少し不安を煽るような疾走感溢れるサウンドで大人になりたくないという気持ちの焦燥を感じる楽曲。止まらない時計の針の無常さと今の自分に捉われて動けなくなっている自分の対比が実にドラマチック。3曲目は「Fanfare」。正義や悪といったものを皮肉も交えて歌う楽曲。個人的に彼らの中でもギターとドラムの力強さがよりフィーチャーされているように聴こえます。

改めて聴いて思うのは、ボーカル・なるおさやかの歌声の魅力です。曲によって力強さ、儚げさ、ちょっとした余裕さやチャーミングさもあれば、少年の強い意志まで、非常に心地よいバランスで幅広く届けてくれます。なのでオシャレなお店で飲んでいるOLの華金の夜のような楽しさも伝えてくれるし、ファンタジーRPGゲームの世界観にも合った緊張感も出してくれます。そしてライヴではそれをより全方位から体全体で感じることができます。本当にどんなタイアップにも合うでしょう。

音楽リスナーというものは気まぐれなもので、特に現代は15秒も聞かず「このバンドはこう」というレッテルを貼って、次から次へと移り変わっていくものです。その結果「名前は聞いたことあるけど」だらけの音楽シーンになるのは単純にもったいないと思います。そういった部分を音楽ライターとしても発信するのは僕の役目ですし、まずはPOP ART TOWNのPOPだけでは括れない部分に是非触れてみてください。そして新譜やワンマンライヴでは、どのような新しい姿が見れるのか楽しみにしましょう。

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