【モゲラプロジェクト】Flashゲームクリエーターインタビュー powered by 0stage 第3回:石井克雄(後編)
未来検索ブラジルの新サービスリリースに向けての企画、Flashゲームクリエーターへのインタビュー第3弾は、石井克雄さんの最終回。最近気になるコンテンツや自身の作品評を語っていただきます。(編集:未来検索ブラジル、インタビュー・写真:0satage 星野健一)
クリエーター:
石井克雄
仕事としてFLASHゲームの制作を行なう傍ら、ネコゲームス(http://nekogames.jp/)にて
個人でのコンテンツ制作活動を行なうクリエーター。
世界中でプレイされ大ヒットした「星探」シリーズをはじめ、多くのコンテンツを公開し、人気を集めている。
nekogames
http://www.nekogames.jp/
(前編はこちら)
(中篇はこちら)
「脱出ゲーム」は幅が狭い?
星野
最近のお薦め、最近じゃなくてもいいんですけど、お薦めだったり好きだったりするコンテンツをあげるとすると。
石井
お薦めコンテンツ、すぐに出てこないですね。
「脱出ゲーム」がこんなに流行ると思わなかった。
(編集部注:部屋の中などに閉じ込められたプレイヤーが、そこから脱出することを目的とするアドベンチャーゲーム。コマンドを入力せずに、画面のクリック操作のみでプレイできるものが多い)
星野
脱出ゲームって「CRIMSON ROOM」より前ってWebでは、なかったですよね。
石井
なかったですね。
「今更、こんなの創りやがって、高木敏光め」(棒読み&笑) 。
星野
(笑) 。
石井
公開された当時は、ゲーム自体は20年前のアドベンチャーゲームだって思ったんですけど、ジャンルとして確立して流行っちゃった。
創ろっかな、脱出ゲーム(笑) 。
(編集部注:その後「ダッシュツゲーム(試作)」を発表)
星野
「CRIMSON ROOM」が確立した脱出ゲームっていうジャンルですけど、なんか納得いかないところがありそうですね(笑)。
石井
「CRIMSON ROOM」がっていうんじゃなくて、脱出ゲームっていうジャンルがちょっと気に食わない(笑)。
そんなに幅を狭めちゃっていいのかなっていう。
もっといろんなアドベンチャーゲーム創ればいいのにって。
もっと広いところでやればいいのに、いつも閉じ込められてて。
星野
(笑)。
なんでそこまでシチュエーションを限定するのか。
脱出より広くアドベンチャーでいいだろうっていう。
なるほど。でも、やっちゃうところありますよね。
脱出ゲーム、どうですか?「でもやっちゃう」ですか?
石井
脱出ゲームあんまりやらないですね。
といいつつ、買っちゃうんですけどね。
「THE 密室からの脱出」とか買っちゃいましたよ(笑) 。
星野
(笑)。
普通に好きじゃないですか!
それクリアしたんですか?
石井
まだクリアしてない(笑)
難しくてできない。
星野
「クリムゾン・ルーム」も DS で出るんですよね。
あれ、おかしいな。
お薦めのWebゲームを(笑) 。
石井
お薦め・・・。
創るとやりたくなくなる?
星野
自分のコンテンツはどうですか?
仕事も含めて。
石井
自分のゲームはアップするとなんか知らないけど、すごいやりたくなくなるんですよ。
星野
創っちゃうと、どうでもよくなる(笑)
ていうとあれですけど、創って満足っていう感じですかね。
愛着はないですか?
石井
愛着はありますけど、ちょっと恥ずかしくて見たくないですね。
「星探」とか特に。
恥ずかしいですね、あれはちょっと。
なんか、ダサいだろこれ、って思っちゃいますね。
デザインとか絵的なところも、ゲームデザインも一部、ちょっとこれはかっこ悪いなぁと。
星野
そうなんですか!もっとよくなるとか。
石井
よくなるとも思うし、恥ずかしいね。
星野
直したくなるとは違うんですよね。
石井
そこまでの気力はない。
星野
(笑)。
「星探」でも恥ずかしくなっちゃうのか。
石井
「星探」は特に。
星野
じゃあ、自信作を選んでとか拷問的ですね(笑) 。
石井
あんまりないですね。
「ざなねこ」くらい。
あれは自分難易度で自分が納得いくまで創ったから。
だからすごい難しいんですよ。最初はもっとパズルゲームっぽくて、
一回でもミスしちゃうとクリアできなくなっちゃう(笑)。
倒す順番を考えないと。
星野
え、敵の出現ってランダムじゃないんですか?
石井
ランダムですよ。
ランダムですけど、そこでバランス調整を・・・し過ぎて難しいんですよ(笑)。
もっと緩やかにしないと、プレイヤーを選ぶゲームになっちゃう。
星野
でも、攻略してるページとかを見ると、「ざなねこ」の方が充実してますよね。
やる人はすごく力を入れてプレイしてる。
石井
「ざなねこ2」はむちゃくちゃ簡単にしたんですよ。
星野
2からやるか(笑)。
注目するクリエーター
星野
好きなWebゲームもそうなんですけど、好きな、あるいは注目してるクリエーターってどうですか?
石井
・・・いないね、俺が一番(笑)。
っていうことはなくて、ババラさんとか。
彼の創ってるものは、俺のツボに全てヒットする。
星野
おお!
「太くて長いオレの○○○」とかすばらしいですよね。
石井
ババラさんのシューティングで「ウチューフォース2」っていう「スターフォース」系のがあるんですけど、ゲーム的にというより難易度がすごいんですよ。
すごい易しげな。
フリーで自分でゲーム創ってる人で、ここまで難易度落とすのはなかなかできないですよ。
星野
(笑)。
長くプレイできるっていうか、すごい遊べますよね。
安心してプレイできる。
難易度調整が気になるポイントなんですね。「かるがるクエスト」は・・・あ、これはババラさんじゃなかった。
でも、とかどうですか?「かるがるクエスト」。
石井
あれもすごかったですね。
悔しかったです。
星野
ゲームとかWebとかに限定しないと、どんなものをリスペクト(笑)してるんですか?
石井
リスペクト、今はないですね。
昔はDirector使ってたんで、リスペクトは高木敏光さんだったんですよ。
表現的な部分で、みんな真似しましたね。あと、Webのゲームであれば、タカヒロウさんに負けないようにどんどん創っていかないと。
多分、彼が今、日本で一番創ってるんじゃないですか?
星野
それは質だけじゃなく量も含めてですよね。
なるほど。
石井さんのコンテンツって、クオリティだけじゃなくて、アイデアの魅力がすごく強いと思ってて、
なんていうんだろう、「おっ!」って思わせる量は一番だなぁ、って思うんですよね。
石井
あなただけじゃないですか(笑) 。
星野
僕の嗜好がマニアック方面に向かいがちだというのはあるかも知れないですけど(笑)。
でも、そういう魅力が集まってるのが「星探」ですよね。
日本語表記も含まれているのに、日本だけじゃなくプレイされたっていうのは、その「おっ!」っていう驚きが1本1本にあるからじゃないかと思うんですよ。
それをまとめて1タイトルで出しちゃうっていう。
100本創るつもりだった「星探」
星野
最初100本まとめるつもりだったんですよね。
石井
最初100本まとめて「OCNゲーム×なつゲー Flashゲームコンテスト」に出すつもりだったんですよ。
10個くらいは創ったのかな。
でも全然間に合わなくて。
星野
うわー、それ出してたらグランプリ変わってますね(笑)。
僕なんかは、35本でもなんかもったいないと思っちゃう。
もっと小出しでいいんじゃないかと思うんですよ。
10本ずつで10タイトルとか。でも、それをまとめちゃうのが、石井さんにとってはたいした事ないんだなぁって。
石井
でも、最初10×10の予定が、6×6に縮小しちゃったし。
100個創ると、なんか偉いじゃないですか。
こいつはすごいなって思うんですよ、俺の中で。
星野
たいしたもんだって感じしますよね。
石井
クオリティはどうでもいいんですよ。
100個創ったらすごいんです(笑)
星野
(笑)。
でも、エンディングも入れて36っていう数が、いい意味で気軽なコンテンツになっているとも思うので。
分けてリリースは正解だと思いますよ。
三部作になって結果的にはよかったんだと思うんですよ。
石井
「星探」のときは100個創ろうと思ったけど、どうがんばっても40個くらいしかアイデアが出なかったんですよ。
でも、ほったらかしにするのも嫌なんで、キリのいい6×6で出したんです。で、出してみたら案外評判よかったんで、それで急いで「星探2」を創った。
「星探2」は気合が入って、すぐ創れましたね。
星野
「星探」のときはアイデアが40しか出なかったってことは、「星探2」を創ろうとしたときに、余ってたアイデアは5, 6個だったわけですよね。
それ以外の30個くらいは、また出てきたってことですよね。
出てこなかったアイデアがどうして出てきたんですか?
石井
「星探」の神が降りてきた。
星野
(笑) 。
石井
アイデアが泉のごとく湧き出してきた。
星野
それって、みんながプレイして楽しんでくれたっていう喜びからなんですかね。
石井
そうかもしれない。
すぐ創って、すぐできた。
星野
「星探3」は(笑) 。
石井
「星探3」はちょっとやる気なくなっちゃった(笑) 。
星野
まだ大丈夫ですよ。7月まで3ヶ月ありますから(笑)。
(編集部注:このインタビューは、「星探3」が制作される前に収録したインタビューです)
石井
3ヶ月じゃダメなんですよ。
「星探2」を9月に公開して、12月まで3ヶ月で創ろうとして何もしなかったから。
星野
それは何もしなかったんじゃないですか(笑) 。
石井
いや、でも頭の中では絵ができてたんですけど。
これはいい絵だっていう(笑)。
頭の中で完成しちゃって、全然やる気おきなかった。
星野
いちプレイヤーとして創る気が起こるのを待ちますよ(笑)。
七夕じゃなくてクリスマスでもいいし。
来年のクリスマスでもいいし。
「星探3」も「おっ!」をまとめてパッケージングしたようなそんなコンテンツを期待しております。
そんな体験をこれからも是非ユーザーに提供してください。
というところで、今日はありがとうございました。
(第4回に続く)
0stage 星野健一 プロフィール:
ゲーム業界で開発に携わりながら個人でもウェブゲームを製作。
「オフィちゅラブ」で「OCNゲームxなつゲー Flashゲームコンテスト」グランプリを受賞。
現在は個人や同人で活動するクリエイターや、それを目指す人たちをサポートするためのウェブサービス提供に向けて活動中。
ブログ:
0stage-blog
※このインタビューの全文は、0stage(http://0stage.jp/)でご覧いただけます。
■関連記事
Wiiのゲームに重大なミス発見!「やってしまった」と開発者が『mixi』で猛省
【ズバリ答えて!】ゲーム開発者に質問の巻き
ファミ通クロスレビューの点数はお金で買えるのか聞いてみた
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。