【モゲラプロジェクト】Flashゲームクリエーターインタビュー powered by 0stage 第4回:宮澤卓宏(前編)

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Flashゲームクリエーターへのインタビュー第4弾は、宮澤卓宏さんが登場。タカヒロウの名で知られる人気クリエーターが、ゲーム制作を仕事にしていくまでのバックグラウンドを語っていただきます。(編集:未来検索ブラジル、インタビュー・写真:0satage 星野健一)

クリエーター: 宮澤卓宏(タカヒロウ)
SKT-Products(http://www.skt-products.com/)において、「モアイまわし」など不思議な世界観を提示するオリジナル作品を発表するかたわら、企業キャンペーンサイトなどでもユニークな作品を多数制作するクリエーター。最近では初監督となるショートフィルム「簀巻きマン」を発表し、その活動のフィールドを広げている。

SKT=SeiKanTai?
星野 SKT-products はどういう組織体なんですか? 法人なのか、とか。

宮澤 たまに会社だと思ってる方もいるんですけど、そんなことはなくて、あくまでも個人サイトですね。もともとコンテンツもサイトも趣味で創っていて、そうこうしているうちに、お仕事が来るようになったんで、気合いを入れようかと付けた名前です。なので、おおやけ的な意味はないです。

星野 組織ではなくて個人なんですね。ちなみに「SKT」ってどういう意味ですか?

宮澤 これ、結構あぶない意味なんですけど(笑)。まだ仕事とか関係なく趣味でやっていた時に、「自分が気持ちいいものだけを創り続ける」っていう意味で。あと、インパクトもあった方がいいってことで「セイカンタイ」っていう名前でやってたんです。そうしたら、お仕事がくるようになってしまって、さすがにこの名前で続けるのはまずい(笑)
変えないといけないな、と。それで、その頃ゲーム内とかで略称として「SKT」というのを使っていたので、この「SKT」で行こうってことで使うようになったんです。

星野 なるほど、意味をちゃんと踏まえると、あぶないというよりも、ちょっとカッコいい感じしますね。

宮澤 それはないですけど(笑)。

星野 いや、ちょっとカッコいい(笑)。名前が持っていた「気持ちいいものを創る」っていう意味だけが残った感じですね。趣味で創ってた頃と仕事としても創るようになった境界ってどの作品あたりになるんですか?

宮澤 サイトの左サイドの作品リストが時代順になってるんですけど、本当に下にある「雑念打」とかあたりからですね。

星野 じゃあもう本当に最初のころからなんですね。

宮澤 これより古いのもちょっとだけあるんですけど、さすがにそれは今は載せてないです。

星野 (笑)。そんなヤバい内容だったんですか?

宮澤 いや、ヤバいわけでもないんですけど、血がドバーみたいなのもあったりしたんで。

子どもも見ている
星野 (笑)。「すごい父さん」とかも、結構グロバイオレンスなところありますよね。最近の作品からはそういうイメージがなかったんでちょっと意外だったんですけど。

宮澤 初めの頃は、あんまり気にしないで創ってたんですけど、BBS を置いて感想とかをもらうようになったら、結構小学生とかが遊んでくれていることがわかったんですよ。

その頃は、ネットを小学生がやる時代になってるとは思ってもいなかったんで、ちょっとショックで。それで、これからは子供に対しても問題がない作品を創らにゃいかん、ということで、グロとかはちょっと控えめにしようってことにしましたね。

星野 そういう配慮があったんですね。

宮澤 小学生の子供を持つお母さんからメールで、「うちの子供のクラスで大ブームになってるので
ちょっと表現を考えていただけませんか」、みたいな問合せをもらったこともあって。

星野 もう小学校にパソコンがあってネットにつながってる時代だったんですね。むしろ、インターネット初期のころで今より不安が大きかったころかもしれないですね。

宮澤 でも、昼休みに小学生が集まってプレイしているのを想像すると、確かにちゃんと考えないとなぁ、と思って。

星野 そんな経緯があったんですか、なるほど。

半年で退職し独立
星野 サイトを立ち上げたときは、まだ学生だったんですか?

宮澤 そうですね。大学3回生くらいかな。それで、大学の終わりの頃にはもう仕事の話しがチラホラきていて。卒業して就職したんですけど、半年だけ勤めて辞めちゃって。その頃は広告代理店さんとかからも声をかけてもらってたんで、いいや辞めちゃえって、辞めちゃったんですよね。

星野 勤めてたときはWeb系だったんですか?

宮澤 いや、なぜかシステムエンジニアで、しかも銀行系とかだったんで、全然違いますね。ちょうど、就職難の時で結構大変だったんですよ。

星野 でも、学生の頃から仕事の話しがきてたら、「最初からそっちで行っちゃおう」ってなりそうな気もするんですけど、そうはならなかったんですね。

宮澤 そうですね。趣味を仕事にしちゃうのは、やっぱり怖い部分もあるし、そこはやっぱり迷いましたね。いきなりはちょっと厳しいかな、と。

星野 でも、社会人になってみて。

宮澤 予想以上に面白くなくて(笑)。これはイカンな、と。これなら趣味を仕事にしてしまった方がいいかなと思って。

星野 (笑)。
そして会社を辞めて、そこからはフリーなんですね。そうすると「雑念打」の頃がちょうど学生の終わりごろ。

宮澤 その頃ですね。「GOKI DASH」を「Shockwave」に出したのがフリーで最初の仕事になります。「信行軍団3」を郵便局でバイトしてるときに創ったからこのときにはもう辞めてますね。会社を辞めてから1年間は無収入だったんで、年末年始に郵便局の配達をやったりして。

星野 バイトでつないででもフリーでやろうとした。選択肢としてFlashのコンテンツを創る職に就くっていうのもあったと思うんですけど、なぜそれは選ばなかったんですか?

宮澤 そうですね、作品を公開して連絡をもらえるようになっていたんで、フリーでもやっていけるかなっていう自信がどこかにあったんでしょうね。それに、今なら最悪失敗してもどこかにいけるだろうっていう考えもあって。だから辞めるときも、今辞めなかったら多分辞めることはもうないだろうし、こんな危険なことはもうできないって考えてました。

星野 個人制作も宣伝的な意味合いを踏まえて創るようになってるんですね。

宮澤 そうですね。個人制作を「BROAD STAR」(現「BROSTA TV」)に出して、そこで賞を頂いたりして。賞を頂くと授賞式後の立食会とかで、受賞バッジをつけるんですけど、そうすると、すごくたくさんの方たちと名刺交換できるんですよ。それで「これが一番営業になるな」と思って、それからは結構いろんなコンテストにガンガン出して、そこで広げていった感じですね。だから、会社さんに直接営業に行ったのは最初の1社か2社くらいで。

星野 なるほど。それじゃいわゆる営業はしなくても、お仕事の話しが来るっていう感じなんですね。

宮澤 そうですね。

第5回に続く)

0stage 星野健一 プロフィール:
ゲーム業界で開発に携わりながら個人でもウェブゲームを製作。「オフィちゅラブ」で「OCNゲームxなつゲー Flashゲームコンテスト」グランプリを受賞。現在は個人や同人で活動するクリエイターや、それを目指す人たちをサポートするためのウェブサービス提供に向けて活動中。

ブログ:
0stage-blog

※このインタビューの全文は、0stage(http://0stage.jp/)でご覧いただけます。

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宮原俊介(編集主幹) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長を務める。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

TwitterID: shnskm

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