げっ歯類コメディホラー『ゾンビーバー』監督インタビュー 「CGではなくパペットを使ったのはノーラン監督の影響さ!」[ホラー通信]
「死ぬのはやっぱりバカな若者!」
ハイテンションな予告編でそう謳う、この夏のゴキゲンなホラーコメディ映画『ゾンビーバー』がいよいよ7月11日より公開。
うっかりトラックから落っこちた有毒廃棄物が湖にドボン、野生のビーバーの巣が汚染され、ゾンビ化した凶暴なビーバー=ゾンビーバーが爆誕! 湖にやってきたバカで呑気な若者たちをビーバーちゃんが大襲撃するという大変愉快なストーリーとなっています。
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このたび、今作を手がけたジョーダン・ルービン監督にスカイプでインタビューを行うことができました。大変気さくにインタビューに応じてくれたルービン監督。『ゾンビーバー』をすでに観に行くつもりの方も、迷っている方も、自分も有毒廃棄物を浴びたゾンビだという方も是非お読みください。
映画『ゾンビーバー』 ジョーダン・ルービン監督インタビュー
――本日はよろしくお願いいたします。
監督:いまスカイプ(テレビ電話)で君のいる状況を見てるけど、テロリストに拉致監禁されてるみたいに見えるよ(笑)。大丈夫?
――大丈夫です(笑)!! 今作について色々聞かせていただきたいのですが、まず、ビーバーがゾンビになるという発想はどこからきたのでしょうか?
監督:ホラー映画を撮ってみたくて色々アイデアを考えていたんだ。自分でも脚本を書くんだけど、パートナーの脚本家ふたりと話していて、“ふたつの言葉を組み合わせたもの”を何か作ろうと。そして、“動物の名前”と“セクシーな言葉”のダブルミーニングになるといいなと思ったんだよね。“ビーバー”のもうひとつの意味って分かる?
――劇中のセリフからなんとなく察しております(笑)。
監督:OK(笑)。あと、僕が子どものころ観ていた80年代のホラー映画って、とっても設定がクレイジーだった。たとえば人形に殺人鬼の魂が乗り移って人を殺す『チャイルド・プレイ』とかさ。設定はぶっ飛んでいるんだけど、ド真面目に作っている。そういうのをやりたかったんだ。
ところで君は最近イーライ・ロスにもインタビューしたって聞いたんだけど本当かい? 僕はイーライとも仲が良いんだよ。大学の同級生なんだ!
――そうなのですね! イーライ・ロス監督には映画『クラウン』の際にインタビューしました。『ゾンビーバー』についてロス監督とも話しましたか?
監督:ロスは『ゾンビーバー』を観てくれて、すごく良く思ってくれているよ! あとこの作品のプロデューサーのひとりに、イーライのデビュー作である『キャビン・フィーバー』のプロデューサーもいるんだ。彼はね、森のなかのキャビンでひどい出来事が起こる映画しか作れないんだよ(笑)。
――今作ではゾンビーバーをCGで描かず、すべてパペットで作られているということでも話題になっています。パペットを使用したのはどうしてですか?
監督:まず、昔のホラー映画のCGを使わずに機械じかけや手で動かす“ホンモノ”を使って作っている、という部分へのリスペクトだ。あとは予算だね。CGで作ってもいいんだけれど、アベンジャーズのようなCGは到底作れないから、パペットで作りこんでいって、失敗したらそれはそれでおもしろいし、失敗しなかったらそれも面白いなと思ったんだよ。それに、もうひとつ理由があるんだ。クリストファー・ノーラン監督が大好きなんだけど、彼はいくら予算があっても“ホンモノ”で撮ることにこだわっているんだよ。その理由は俳優の演じ方にあって、CG用のグリーンスクリーンで演じるのと、街なかで実際にトラックをひっくり返させて演じるのとでは、感情の入り方が大きく変わってくるよね。
――たしかに大きな違いがありそうですね。俳優についての話がありましたが、今作はゾンビーバーというキャラクターに負けず劣らず、ゾンビーバーに襲われる側の俳優たちもとてもユーモラスでインパクトがあると感じました。
監督:彼らの個性に気付いてくれたのはとても嬉しいことだよ! 彼らは脚本上のことはきちっと演じつつも、即興でかなり遊んでくれたんだよね。色んなことを即興で試していって、それを作品に盛り込んでいった。それで濃いキャラクターが出来上がっていったんじゃないかなぁ。俳優たちには撮影前にジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』を観てもらったんだ。脚本のなかで自分の面白さをどう出していくかについて、あの映画からヒントを得てもらったんだ。
――本編最後に流れるNG集が爆笑モノだったのですが、現場の空気もあんなに楽しい雰囲気だったのでしょうか?
監督:楽しそうに見えるように編集したんだよぉ(笑)! まぁ、低予算の作品だから苦労も多かったけど、でも本当に楽しかったよ。今作には大物ミュージシャンのジョン・メイヤーがカメオ出演してくれてるんだけど、彼が言ってるド下ネタのギャグは彼の即興なんだぜ(笑)。もうそんなの楽しさしかないよね!
――あれは私も大笑いしてしまいました(笑)。監督から見た、今作の見どころをおうかがいできますか?
監督:まずはアクションだな! 僕は実はアクション映画を撮りたいとも思っていて。僕はジョン・ウー監督にアクションを教えた人間なんだけど(※嘘です)、ひとつのアクションがきれいな流れになるようにこだわった。あとは、この作品は観た人の評価がふたつに別れるんだけど、完全に“おバカ映画”と評する人と、「80年代ホラーへのオマージュが沢山詰まった素晴らしい作品だ」と言ってくれる人。ホラーにかぎらず色んな映画から本当に沢山のインスピレーションをもらって作ったんだ。映画好きであればあるほど沢山の元ネタに気付くと思うよ! 『エイリアン』『遊星からの物体X』『クリープショー2』……あとは『ダイ・ハード』のブルース・ウィリスのセリフも引用してるね!
――『ダイ・ハード』ですか(笑)。
監督:あとはひとつ、これはネタバレになっちゃうんだけど、一番に○○そうな○○が○○ないところは、ホラー映画のど定番展開をあえて覆したんだ。そういった部分も楽しんでほしいね!(※伏せ字の部分は劇場でお確かめください)
――それでは最後に、『ゾンビーバー』を楽しみにしている日本の観客にメッセージを!
監督:アナタノ国デ、オ世話ニナリマス!
――日本語お上手ですね(笑)。本日はありがとうございました!
『ホラー通信』では、パペットの“ゾンビーバー”の造形を手がけた『クリーチャー・エフェクト・インク』の特殊メイクアーティスト、田中好さんにもインタビューを行っています。こちらは近日公開。どうぞお楽しみに!
映画『ゾンビーバー』は7月11日より、新宿武蔵野館ほかにて全国公開です。
公式サイト:http://www.interfilm.co.jp/zombeavers/
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