「日本からも世界へ発信していく」—-『サンシャイン牧場』のRekoo社が日本法人設立で会見

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現在、250万人以上のユーザーを集める『mixiアプリ』の『サンシャイン牧場』。開発元の中国Rekoo Media社が11月10日、日本法人の設立について記者発表を開催しました。SNSの機能を利用して、フレンドリストでつながった友人たちと楽しむゲームは“ソーシャルゲーム”と呼ばれています。Rekoo社は2008年12月に中国で『サンシャイン牧場』をリリース。自分の牧場や農園の世話をして大きく育てていく、いわゆる“農場系”ソーシャルゲームの中では早くからユーザーを集め、ノウハウを蓄積してきました。その後、米Zynga社などが“農場系”ソーシャルゲームをSNS『Facebook』などで展開し、世界的なブームになっているとのこと。Rekoo社が日本でソーシャルゲームを展開する狙いは、どんなところにあるのでしょうか。

・1日1200万人がプレイ

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発表ではRekoo社CEOのPatrick Liu氏が現状について説明。『サンシャイン牧場』を含むRekoo社のソーシャルゲームは、現在中国、日本で最も多くユーザーを集めているほか、ロシアではトップ5、欧米で展開する『Facebook』ではトップ10に入る人気を集めているとのこと。10月の時点で、同社のソーシャルゲームをプレイするユーザーは1日当たり1200万人を超えているそうです。

従来のゲームが破壊的、攻撃的な性格のものであるのに対して、Rekoo社のソーシャルゲームは自分の知り合いや友人、家族と遊ぶことで「ソーシャルな感情」をベースにしている点が異なると説明。既存のコンシューマゲーム機用ゲームと異なる、より大きな市場が期待できることから、「ゲーム業界に革命を起こす」(Patrick氏)ことを目標にしていると発表しました。

また、“ネトゲ廃人”と呼ばれるほどユーザーが長時間プレイすることが社会問題になっている、従来のオンラインゲームとの違いについてもコメント。1回のプレイ時間が短いこと、破壊的・攻撃的な感情を持つものではないため健全であることをアピールしました。実際に中国では、ユーザーがほかのユーザーより早起きしてプレイするようになり、健康的な生活を送れるようになっているとのこと。

・日本法人設立の狙い
日本法人設立の狙いについては、日本法人のRekoo社との共同出資者になるインフィニティ・ベンチャーズ共同代表パートナー小野裕史氏が説明。柱として「モバイルソーシャルゲーム」「新ゲーム企画」「ユーザーサポート」の3点が挙げられました。

ソーシャルゲームの経験に一日の長がある中国のノウハウに、日本に根付いたゲーム文化、特に携帯電話向けゲームの先進性を組み合わせたモバイルソーシャルゲームを開発していくこと。次に、日本発のゲーム企画を世界へ発信していくこと。ユーザーサポートの面では、先日報道されたユーザーの個人情報流出について「申し訳ない」とコメントしつつ、サポートを強化し、なるべく多くのユーザーへすみやかに対応していく方針であることが発表されました。今後、日本のクリエーターが企画したソーシャルゲームが、世界へ展開していく可能性に期待が持てそうです。

・モバイル版開発に日本人クリエーターが参加

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日本法人の立ち上げに先行して、携帯電話向け『mixiアプリ』として公開された『モバイル版サンシャイン牧場』では、既にRekoo社と日本人クリエーターの協業が実現しています。こちらはパソコン(PC)版と連動し、自分の牧場をPCからも携帯電話からも育成できるというもの。協力クリエーターとして、携帯電話用Flashコンテンツの制作で著名なhi-posi incの岡田昇三氏と、“脱出ゲーム”の原点となった『CRIMSON ROOM』の作者として知られるタカギズムの高木敏光氏が紹介されました。

岡田氏は、中国の開発チームが日本の携帯電話の仕様を理解しており、その点でほとんど指導することはなかったとコメント。日本人特有の携帯電話の使い方を中心にアドバイスしたそうです。高木氏は、中国人クリエーターの熱意と純朴さ、仕事のスピードに驚いたとコメント。将来も一緒に仕事をしていきたいと意欲を見せました。特に高木氏は、以前から『サンシャイン牧場』のヘビーユーザーで、レベル33とRekoo社内の管理者より高いレベルであったエピソードが披露されました。

・新機能と新アプリ発表も
『サンシャイン牧場』で今後追加される新機能についても紹介されました。『工場』は、牧場で収穫した作物を組み合わせて加工することにより、製品を作れる機能。作物をそのまま売却する場合と比べて、製品にすることにより高い値段で売却することができます。レモンを収穫してレモンジュースを作ったり、卵を収穫してエッグタルトを作るという事例が紹介されました。中国では、飲料メーカーとタイアップしたレモンの種が公開されており、ゲーム内でスポンサーシップ広告が展開されています。

さらに、新機能としてペットを飼うことができる機能を紹介。既に公開されている野良犬を飼いならすことで、ペットにすることができます。ペットは番犬として利用でき、『マイミク』の友だちが自分の作物を盗みに来るのを防ぐことができる一方、友だちからエサを与えて手なずけられると役に立たない、という仕様になっています。

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続いて、今後リリースを予定している『mixiアプリ』として、『サンシャインタウン』と『サンシャイン深海』が紹介されました。『サンシャインタウン』は、自分の街を作って育てていく『シムシティ』のようなゲーム。『サンシャイン深海』は、海中を舞台にした“農場系ゲーム”。より深い海に行くほど、より面白い生物に会えるとのこと。

・課金+広告でビジネスに
Rekoo社のソーシャルゲームのビジネスモデルは、ユーザーへのプレミアムアイテムの課金と広告が柱になっています。日本でのビジネスの展開については、先日開始した自社システムによる課金のほかに、「安心して使ってもらえる」(小野氏)ミクシィが開発中の課金システムや、クレジットカードを持っていないユーザーでも使える『WebMoney』による課金など、決済手段を増やしていく方針。しかし、課金については「基本は無料でプレイできるゲーム内容で、中国でも99%は無料ユーザー」(Patrick氏)ということで、ユーザー数を拡大していくことにより課金ビジネスを成立させる狙いのようです。

広告については、『工場』の事例にあったスポンサーシップ広告や、北米で売上を伸ばしているアフィリエイト広告の採用を検討中。スポンサーシップについては実施コストと収益のバランスを見て採用し、アフィリエイトについては汎用のプラットフォームができた場合に採用を検討するなど、日本法人から積極的に展開する予定はない模様です。

記者発表を通して、Rekoo社のソーシャルゲームが健全なゲームを目指していることが印象に残りました。“非コアゲーマー”の日本人ユーザーには、今後も広く受け入れられていきそうです。Patrick氏個人も、日本の任天堂ゲームの大ファンだとのこと。日本法人の設立により、今後日本発で全世界にヒットするソーシャルゲームが登場するかどうか、注目していきたいと思います。

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宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

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