水道料金値上げが全国に拡大中──「上がり続ける公共料金」時代に40代家計が今すぐできる3つの備え

水道料金値上げが全国に拡大中──「上がり続ける公共料金」時代に40代家計が今すぐできる3つの備え
毎月の水道の検針票を、じっくり見たことはあるでしょうか。電気代やガス代ほど注目されませんが、いま全国で、水道料金の値上げが静かに広がっています。

たとえば長野県松本市は、2026年4月から水道料金を改定し、平均20.11%引き上げました※1。静岡市も2026年6月の使用分から水道料金と下水道使用料を値上げしています※2。2割前後の引き上げは、もはや珍しくありません。

会社員のBさん(44歳)は、市の広報で値上げを知り、家計簿アプリで自宅の水道代を見直しました。4人家族で月およそ6,000円。仮に2割上がれば、増える分は月1,200円。年間では14,000円を超える負担増です。「電気もガスも食費も上がったうえに、水道までか」というのが正直な感想だったといいます。

なぜ、いま値上げが続くのでしょうか。理由は大きく3つあります。高度経済成長期に整備された水道管が一斉に老朽化し、更新の時期を迎えていること。地震に備えた耐震化を急ぐ必要があること。そして人口減少で水の使用量が減り、料金収入そのものが先細っていることです。つまり、一時的な物価高とは性質が違う、構造的な値上げなのです。

この流れは、今後も続く見通しです。EY Japanと水の安全保障戦略機構の共同研究によると、2046年までに全国の水道事業体の96%で値上げが必要になり、その値上げ率は平均48%と推計されています※3。20年かけて、水道料金はいまの1.5倍に近づいていく。そう考えておくのが現実的です。

注意したいのは、値上がりするのは水道だけではないという点です。下水道の使用料も、同じく老朽化対策を理由に改定が続いています。たとえば札幌市は、2026年10月から下水道使用料を平均22.6%引き上げると公表しています※4。検針票では水道と下水道が合算されて請求されることが多く、両方が上がれば、家計への影響はその分大きくなります。

では、家計はどう備えればよいのでしょうか。まず押さえておきたいのは、節水には取り組む価値があるものの、過度な期待は禁物だということです。お風呂の残り湯の活用や節水シャワーヘッドへの交換には、一定の効果があります。ただ、水道料金には使用量に関係なく払う基本料金があり、使う量を減らしても請求がゼロに近づくわけではありません。

月に千円前後の値上げは、一つひとつを見れば耐えられる金額です。けれども、電気・ガス・食費・保険料と、同じ規模の負担増がいくつも重なるのが、いまの家計の現実です。

肝心なのは、水道単体ではなく「上がり続ける公共料金」を前提にした家計の組み立てです。電気・ガス・水道・通信といった固定費を年に一度まとめて点検し、削れるところは契約の見直しで削る。そのうえで、削りようのない値上がり分は、収入の側で吸収する発想を持つことです。固定費の上昇は一時の節約では追いつきません。だからこそ、家計の見直しと収入の選択肢づくりは、セットで考える必要があります。

なお、値上げの時期や幅は自治体によって大きく異なります。お住まいの市区町村の水道局のサイトを見れば、改定の予定や説明資料が公開されています。引っ越しを考えている人は、移転先の水道料金の水準を調べておくのも一つの知恵です。同じ使い方でも、地域によって料金は驚くほど違います。

公共料金の値上げは、誰のせいでもなく、避けようもありません。けれども、事前に構えていた家計と、不意打ちを食らった家計とでは、受ける痛みがまるで違います。次に検針票が届いたら、まず自宅の月額と使用量を確かめてみる。わが家の「水の値段」を知っているかどうか。その小さな差が、これからの時代の家計の備えを左右します。

※1 松本市「令和8(2026)年4月1日から水道料金を改定します」
※2 静岡市「2026年6月使用分から水道料金・下水道使用料を値上げします」
※3 EY Japan「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?(2024版)を発表」
※4 札幌市「下水道使用料改定のお知らせ」

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