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なぜ大金持ちや大成功した人達が時に社会主義者になるのか?

金融日記

今回は藤沢数希さんのブログ『金融日記』からご寄稿いただきました。

なぜ大金持ちや大成功した人達が時に社会主義者になるのか?
一般に資本主義というのは金持ち優遇で貧富の格差がはげしい社会システムだと考えられています。一方で、社会主義とは社会全体の活力を失うものの、格差という点では平等な社会システムだと考えられています。なので、鳩山由紀夫前首相のような超金持ちが社会主義者だったりすると、ひとつのパラドックスのように感じられます。

また、昔は資本主義経済の申し子のようだった勝間和代女史も、自己啓発の指導者として大成功すると、とたんに社会主義的になってきて、高額所得者の所得税は昔の70%ぐらいにしないと格差が広がってしまう *1 などとおかしなことをいいはじめました。自身が高額所得者の勝間女史がこのようなことをいいだすのは、やはり何か矛盾しているように思えます。
*1:『国民の選択 勝間(かつま)の視点』 勝間 和代 著 PHP研究所
http://www.php.co.jp/bookstore/detail.php?isbn=978-4-569-77945-4

別の例をあげると、かつては自由市場経済による競争政策を徹底しようとしていた中谷巌氏なども、一橋大学の名誉教授になったり、大手シンクタンクの理事長に就任すると、いつのまにか「資本主義はダメだ。ミャンマーはGDPが低くて貧しくてもみんな幸せだ」 *2 とかわけのわからないことをいいだしました。これも中谷氏自身が資本主義社会の成功者なのに、そういったことを否定するというのは不思議です。
*2:『資本主義はなぜ自壊したのか』 中谷 巌 著 集英社
http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-7976-7184-1&mode=1

しかし、僕にいわせてもらえば、これらはパラドックスでも何でもありません。むしろ、その背景をしっかりと理解すれば、このような社会主義化は、あからさまな人間の欲望がむき出しの状態になっているにすぎないことが浮き彫りになってきます。

まず、第一に資本主義が激しい格差を生み、社会主義が平等だという前提が大きく間違っています。確かに資本主義社会では、個人が稼ぐ金額や、個人が持つ金融資産には大きな格差が生まれます。しかし、それはあくまで金銭的なものであって、それ以上でもそれ以下でもありません。

実際のところ、現代社会では、年収が数千万円でも、年収が300万円でもそれほど生活は変わりません。毎日、フランス料理のフルコースを食べたら体をこわしてしまいますし、広すぎる家に住んでいても不便 *3 なだけです。一方で、一杯300円で食べれる美味しい牛丼屋はたくさんありますし、ユニクロの1000円のジーンズもなかなかのものです。実際のところ、現代社会では、ある程度以上の収入があれば、お金というのはゲームのスコア程度の意味しかなくなってきます。
*3:「うさぎ小屋2.0」 2010/05/22 『金融日記』
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51700208.html

一方で、社会主義社会は恐ろしいほどの格差を生み出します。社会主義国家では、自由市場による生産を否定するので、官僚がどこに工場を建て何を作るのか決めます。一部の政府幹部が、これらの経済を計画していくので彼らに絶大な権限が集中します。

となりの北朝鮮を見てもわかると思いますが、いったん権力の座についた者たちは、都合の悪い市民を捕まえ、時に処刑したりします。実際に、旧ソ連や東欧の国々など、社会主義システムを採用した国家では、ほぼ例外なく政府による市民の虐殺が行われました。人の命も簡単に奪っていたのですから、権力者たちによる強姦(ごうかん)など(もっとも逆らうと大変な目に合うことがわかっているので、みな表面上は嬉々(きき)として受け入れたと思いますが)は広く行われていたことは容易に想像できます。

このように考えると、鳩山由紀夫のような人物が社会主義者になるというのは、むしろ必然のような気がします。確かに鳩山由紀夫は大金持ちですが、だからといって資本主義社会では何の尊敬も権力も得ることはできません。所詮(しょせん)、金で買えるものは限られているのです。いくらお金を持っていても、能力がなく、他者の役に立たない人間が一時でも高い地位につくと、市民から非難され、罵倒(ばとう)されるのです。

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