マジョリティーとしての起業・海外進出

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建国物語

今回はTakahiro Saitoさんのブログ『建国物語』からご寄稿いただきました。

マジョリティーとしての起業・海外進出
※マジョリティー:majority”という単語を英和辞典で引くと“多数派”と出てくるが、筆者はここで“常識的な選択”というニュアンスとして用いる。

# 起業したい
# 海外進出したい

このような言葉の背景には少なからず、“安定を求めサラリーマンとなるよりも、夢や志(こころざし)を持ってやりたい事をしたい”というものがあるだろう。僕も同様の想いを抱いて昨年2009年、初めて海外を訪れた。古来より男性は石橋を叩(たた)いて渡る堅実さよりも、危険を顧みず背水の陣で挑み続ける生き様を好む。

しかし最近僕の中で「起業・海外進出」に対する想いに変化が現れた。果たしてそこには、会社に勤める場合よりも多くの“夢”や“志”は必要なのだろうか?

ソフトバンクの孫正義氏や、Appleコンピューターのスティーブ・ジョブス氏のプレゼンを目にすると、「あぁ、企業家って本当にすばらしいな」という感想を抱くだろう。僕もその一人ではあるのだけれど、申し訳ないが大多数の企業家にそれほどの志はないと確信している。必要ないと言った方が正しいかもしれない。

何のために海外進出するのか?
現在の日本で暮らしていると、あるいはその“夢”や“志”が、起業・海外進出する際に必要条件となるのかもしれない。

これは僕の2009年までの感想だが、世間で騒がれるほど生活のための給料を企業からいただくことは困難な道ではないからだ。派遣切りにあった方々とずいぶん大きなギャップがあるかもしれないが、職種を選ばなければ、日本にはまだいくらでも生活するに困らない程度のお金を得る手段が残されている。しかし2015年、2020年に同じことを口にできるだろうか?

ご承知の通り、2006年から我が国の人口は減少に向かった。さすがに危機感を抱いている方はかなりの数いらっしゃるが、それでもまだ足りない。ハッキリ言えば国民全員が危機感を持たなければならないような事態である。

人口が減少すれば、全体として見ればどう計算しても顧客が減る。そして消費の主役とも言える労働人口が減少し、その人口のパイが65歳以上の高齢者に流れている。数字で見る人口の減少数以上に、“モノは売り難くなっている”。

国内の市場が縮小するなら、必然と海外に顧客を求めるようになる。それは“もっと会社を大きくしたい”とか“海外に携わる仕事をしたい”という情熱から来るものではなく、“生活するために”という必要最低条件から生まれはじめる可能性がある。

起業は必要か?
「起業は必要か?」ということに関して、大多数の方は必要ないと考えている。

第一に、起業までしなくとも海外に活路を見出した企業で被雇用者となれば良い。もしくは外国企業に直接雇ってもらえばすむ話だ。

第二に、「4人に1人が社長なんてワケ分かんない社会になっちゃうよ」という常識を皆信じてしまっているから、そもそもそんなに多くの起業家は生まれない。

第一条件の対象となる方々は一体どれほどいるだろうか?現在の就職状況よりも厳しくなることは、容易に想像できる。つまり逆説的に必要だと言っているわけで、第二条件や「雇用されなければ生活するためのお金がない」という常識すら打ち破る必要がある。

また、「こんなアイデアを思いつていたのに気付いたらヒット商品になってた」という方はいないだろうか?現在の世の中は本当に色々な事象が早く起こってしまう。ちょっとしたアイデアを並行して進めていく事で、“生活の足し”になる可能性は大いにある。

マジョリティーとしての起業・海外進出
ここまで読んでいただければ、僕が何を言いたいかご理解いただけただろう。従来の“起業・海外進出”のカッコ良いイメージを損ねるかもしれないが、それは“サラリーマンとして安定を求める生活”と何ら変わらない。

“起業=成功” この様なイメージとしての方程式は、近い将来崩れるだろう。

だから僕は声を大にして言いたい、「これをやってみたらどうか?」というモノの中から、ベターなモノを選択し起業してみてはどうだろうか?就職の際、大多数の方がベターな会社を選ぶのと同じように。もちろん何も検証せず起業することは、ほとんどの場合無謀な行為として完結してしまうであろうけど、現在の就職戦争を勝ち抜く気概をそちらに注げば、より安定した生活を得る可能性も大いにあるのではないだろうか?こうして海外進出の声に加担すれば、日本の人口減少、その傾向をより顕著にする手助けをすることになり、日本人で心の痛まない方はおそらくほとんどいないだろう。

しかし憶えておいて欲しい。僕等が今まで求めて来た“安定した中流家庭”のマジョリティーは、すでに起業・海外進出の中にあるかもしれないということを。

執筆: この記事はTakahiro Saitoさんのブログ『建国物語』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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