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ケインズの乗数理論(Theory of Multiplier)がどうしようもなくしょぼいことのサルでもわかる説明

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国は難しい問題を先延ばし先延ばしにしているのでしょうか。今回はケインズの乗数理論について藤沢数希さんのブログ『金融日記』からご寄稿いただきました。

ケインズの乗数理論(Theory of Multiplier)がどうしようもなくしょぼいことのサルでもわかる説明
国会で菅副総理兼財務大臣が「乗数」についての質問にぜんぜん応えられなくてしどろもどろになってしまい、方々からものすごくdisられている*ようです。
* 『池田信夫blog part2』2010年01月27日「乗数効果を知らない財務相」参照
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51353169.html

この話題はネットではすでに消化されてしまい旬が過ぎてしまったようですが、今日は経済学の勉強ということでこの乗数理論(Theory of Multiplier)をじっくり学びましょう。僕はこのケインズの乗数理論が日本をこのような苦境に追いやったのではないかと思っており、大変に危険なものだと認識しています。

さて、乗数(Multiplier)です。

政府が公共事業をしてG円使うとしましょう。そうするとこの公共事業を受注した会社にはG円の売り上げが発生します。この時点で当たり前ですがGDPはG円増えます。ところが話はこれで終わりません。このG円はこの土建屋の社長のボーナスになったり、取引先の社員の給料になったりと必ずだれかの所得になるからです。

基本的に人の消費は所得が増えるほど増加します。300万円の給料の人が1000万円もらうようになれば、つかうお金もそれなりに増えるでしょう。ここで限界消費性向(Marginal Propensity to Consume)というのを考えましょう。なんかむずかしい名前がついていますけど、100万円収入が増えたらいくら消費を増やすかというただそれだけのことです。100万円収入が増えたら70万円使うのであれば、この消費性向は0.7になります。

最初の政府支出のGはだれかの所得になって、このだれかの所得の増加はそのだれかの消費を増やします。そのだれかの消費は、これまた他のだれかの所得になります。たとえば公共事業でもうかった土建屋が、飲み屋でお金を使えばそれは飲み屋の売り上げになります。そして飲み屋は土建屋のおかげでもうかった分で、何か買い物したりと、このプロセスが永遠に続いていくことがわかるでしょう。

消費性向をcとおくと、結局のところ最初の政府支出のGは、GDP(国内の売り上げを重複を取り除いたりして全部足したもの)を次の分だけ引き上げることがわかります。

 GDPの増加 = G + c x G + c^2 x G + c^3 x G …

これは無限等比級数の和の公式を使えば簡単になって次のようになります。

 GDPの増加 = 1 / (1 – c) x 政府支出

この1/(1-c)の部分が乗数というやつです。c=0.7だったら3.3ですね。この式は政府が1000億円使えば、GDPが3300億円増えるといっているわけです。あら、不思議。これが乗数効果(Multiplier Effect)です。

ちなみに減税にもGDPを引き上げる乗数効果があり、計算すると次のようになります。

 GDPの増加 = c / (1 – c) x 減税額

そしてこの乗数理論はどのマクロ経済学の教科書にも載っているし、公務員試験にも出るので、日本の法学部出身の政治家や官僚はこれが大好きです。自分たちの利権を増やせるという世俗的な欲望もあるとは思いますが、何といっても無限等比級数が出てくるあたりが何となく高級そうな理論にみえて、そのあたりが彼ら法学部卒業生を駆り立てるのでしょう。

そんな東大法学部出身の彼らは、不景気になると得意げな顔してケインズの乗数理論を使って公共事業を連発します。「よーし、瀬戸内海にもう一本橋つくっちゃうぞー」とかいってるの。もう見てらんない。だいたい政府がお金を使えば芋づる式にどんどんGDPが増えるんだったら世界の貧困問題はとっくに解決しているんじゃないのかという疑問が、ふつうの知能を持っていればふつふつとわいてくると思うんですけど、なぜか法学部出身の政治家も官僚もそういうことがさっぱりわからないようなのです。

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