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ニコニコ生放送の裏側に潜入~『ニコ生☆生うたオーディション』レポート

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大人になるといろんな事に慣れてしまって、緊張するということがなくなってしまう。最初はすべてが新鮮で、そして新鮮な体験をするたびに心地よい緊張を感じることができたはずなんだけど、そんないろんな出来事も慣れるに従ってだんだん新鮮味はなくなってしまう。もしかすると、そういった経験を積み重ね、緊張しなくなることが大人になるということなのかもしれない。

スタジオ入り直前の出演者

しかしここに、数百回もの路上演奏を続けてきた男でも数々のライブをバンドでこなしテレビ出演をしてきた女性ボーカルでも緊張のあまり震え上がらせてしまうネット生放送番組がある。それがこの『ニコ生☆生うたオーディション』。百戦錬磨の歌い手でも震え上がらせてしまうこの番組は、出演者にとってこれまで体験したことのない新鮮な出来事を多く秘めている。結果はまったく予測不可能。裏方スタッフをして「この番組には魔物が棲んでいる」と言わしめるこの番組。筆者はこの緊張感あふれる現場に潜入させていただいた。

番組の裏方さん

『ニワンゴ+247music』で制作しているこの番組、実はこの記事を配信している『ガジェット通信』のスタッフが裏方の一部をつとめている。さきほど「潜入」と大げさに書かせていただいたが、放送当日カメラに映らない場所で走り回っているのは、もう顔も見飽きた連中ばかりだ。もちろん『ニコニコ生放送』の公式放送なので『ニコニコ動画』の生放送技術スタッフも構えているし、『247music』の人もいて、現場は放送の画面では想像がつかないほどの人たちが動きまわっている。

ヘッドフォンと合格プレート

ご存じない方のために説明すると『247music』は『mF247』というインディーズ音楽サイトを運営する企業。『ニコニコ生放送』はネット生放送をおこなうためのウェブサービス。この『ニコニコ生放送』には一般ユーザー向けに開放された『ユーザー生放送』と企業向けの『チャンネル生放送』、そして数万人規模の集客力を誇る『公式生放送』の3種類の放送カテゴリがあり、普段『ガジェット通信』では『チャンネル生放送』を使って放送している。いつもの放送では視聴者1000名程だけど、この『ニコ生☆生うたオーディション』は公式放送であり、数万人の人が視聴するわけで、現場にはいつもとは違う雰囲気が漂っている。

出演者の立ち位置から

さてこのオーディション番組、9月にスタートして翌年2月まで続く、長丁場の企画である。今12月だからようやく折り返し地点。予備審査を通過した44名に対する一次オーディションがすべて終わったところだ。一次オーディションは3回に分けておこなわれたんだけど、筆者はそのすべての放送の舞台裏に立ち会い、出演者の方がカメラの前に出る直前にお話をさせていただいた。総じて言えるのは、出演者の人たちが異様に緊張している、ということ。オーディション番組に出るわけだからそれぞれ自分の歌には自信があり、さらに多くの人たちはバンドを組んでいたり、ストリートで音楽活動を継続しており、人前で歌うことには慣れているはずなのに。

独特のリラックス法なのだろうか

緊張の理由はいくつかあると思う。まずはこのオーディションの審査員の顔ぶれをみてほしい。作曲家の都倉俊一氏、ボーカリストの川村ゆみ氏、サウンドデザイナーの沖田純之介氏。なんとも豪華ではないか。なかでも都倉氏は、もはや伝説のオーディション番組『スター誕生!』の審査員もつとめた方だ。審査中、腕組みをして出演者の声にききいる都倉氏の姿を生で見て緊張しない歌い手がいるだろうか。

審査員控え室

ひととおりの番組の趣旨説明を出演者におこない、配信用着うたの収録が終わると、1時間ほどの休憩時間があるのだが、それがまた余計に緊張感をあおってしまう。このポッカリと空いた時間は、各自廊下などで声を出したり、ギターをかき鳴らしたりする人が多い。これは偶然かもしれないが、この休憩時間にしっかりと歌いこんでいる人に合格者が多い気がする。あくまで偶然だと思うが。

廊下で声を出す

さらに不思議なことにこのポッカリと空いた時間、自然と合唱が沸き起こることがある。例えば一次オーディションの第3回では、ギターを中心にして男性がアニソンを次々と歌っていたし、第2回では女性が中心になって合唱をしていた。やはり同じ音楽を愛するもの同士、歌が歌を呼び歌の輪が広がるというのは、まさにこういったことなんだろうなと感じる。もちろん、誰に強制されたわけでもない。この番組の舞台裏で唯一「ほっ」とできる瞬間である。意地悪な見方をすればハーモニーの中に溶け合うことで刹那(せつな)的な安堵(あんど)感を味わっているのかもしれないけれども。案の定、放送開始時刻が近づいてくると否応なしにまたあのピリピリとした緊張感が押し寄せてくる。

アニソンの輪

この番組は生放送なのだが、おそらくその「生放送」という点も緊張を増幅させているのではないだろうか。生番組ということは、どんなミスを犯してもリテイクはあり得ない。カットもできない。完全に一発勝負。そしてただの生放送ではなく、これは『ニコニコ生放送』であり、1回の番組で10万以上のコメントが付く状況であるということ。『ニコニコ生放送』をご覧になったことがあればご存じの通り、辛らつなコメントも中にはあるということ。もしミスをしてしまったら怒濤(どとう)のような批判コメントがつくのではないかという恐怖感。これらが一斉に出演者を襲っているのは間違いない。

ニコニコ生放送の画面

さらに、楽屋は大部屋になっており、出演者は皆ひとつの部屋で待ってもらっているのだが、その前面にプロジェクターがあり、そこには今まさに放送されている生放送の内容が映写されているのである。これは、出演者を緊張させるために置いてあるわけじゃなくて、単に番組の進行を出演者に知らせるための意図で設置してあるものなんだけど、番組が始まると、楽屋は全員画面に釘付けとなってしまう。そして、落選者が出たときのなんともいえない凍りついた空気のたまらなさ。控え室は一瞬水を打ったように静かになり、ため息に包まれる。

番組進行をモニターで見守る出演者

歌い手にとって、過度の緊張は大敵である。緊張して声がでなくなったら、もうおしまいだから。しかもこれはオーディションである。すこしでもいい声で歌いたいはずなんだけど、この慣れない環境の中「いつものように歌う」ことがいかに難しいことか。筆者も出番直前の出演者さんに声をかけさせていただいて、少しでも緊張を解きほぐしてあげたいと思っているのだが、かけられるのはせいぜい「いつもの通りに」とか「大きい声だしていきましょう!」ぐらいで気の利いた言葉なんて浮かびやしない。なんとも自分が残念である。

出演直前…奥が収録スタジオ

出番が終わった直後の出演者のほっとした表情といったらない。もちろん、合格者は晴れやかで、落選者は残念そうだけど、えもいわれぬ緊張感から解放された人たちの表情は自然で、こちらも安堵(あんど)してしまう。

出演直後の表情

ただ、かける言葉は難しい。もちろん、合格者は「おめでとう!」で済むのだが、惜しくも不合格、敗者復活戦にかける人へかける言葉は難しい。難しいが、合格者以上に声をかけたくなる、かけるべきなのは不合格の方である。中にはスタジオからでてくるなり泣き崩れたり「もう歌はやめたい」というようなことを口走る出演者もいる。しかし今回のオーディション審査というひとつの基準ではとらえられない魅力がそれぞれの出演者にはあるわけだし、たまたま今回ダメだったからといってそこまで否定的に考えては欲しくない。審査員の沖田氏も「落選した方にこそ何か伝えてあげたいし、声をかけてあげたいんだけどなぁ」と控え室でおっしゃっていた。

この番組は終了しました

番組が終了すると、やっと出演者の人たちの間にも安堵感がひろがる。中にはメアドの交換をはじめる人たちや、集合写真を撮ったりする人たちもいて、和気あいあいとした雰囲気になる。合格・不合格の違いはあれど、同じ戦いをくぐり抜けてきた仲間達だから、これは自然なことなんだろう。そして、歌を通して知り合った友達とのつきあいは、意外と長いものになるのかもしれない。

記念写真撮影中

一次オーディションをすべて終了し、現在この企画は折り返し地点にあるとさきほど書いたが出演者にとってはこれからひたすら上り坂。二次オーディションが待っている。一次オーディションは自由に歌う曲を選ぶことができた。つまり、自分が得意な曲を歌うことができたわけだ。しかし二次は違う。あらかじめ課題曲が決まっているのだ。しかもピアノ伴奏つき。一次オーディションとはまったく勝手が違うのだ。課題曲は以下の通り。

1.ハリウッド・スキャンダル / 郷ひろみ
2.五番街のマリーへ / ペドロ&カプリシャス
3.個人授業 / フィンガー5
4.あずさ2号 / 狩人
5.冬の色 / 山口百恵
6.UFO / ピンクレディー

わかるだろうか。この課題曲、すべて審査員である都倉俊一氏が作曲したものなのである。これはヤバい。誰もが聞き慣れた名曲。それを作曲家を前にして歌う。これ以上のプレッシャーはないだろう。この企画をつくった人間は一体何を考えているんだろうか。間違いなくSだと思う。

この番組の目的は「才能発掘」である。出演者も10代の若い男女からおっさんまでさまざま。一体誰が勝ち残るのか予想もつかないが、新しい才能が開花するのを目撃することができるかもしれない。そして、あなたの一票が誰かの人生を変えるかもしれない。その瞬間に、立ち会ってみないか?

『ニコ生☆生うたオーディション』ホームページ

マイク

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深水英一郎(ふかみん)

記者:

見たいものを見に行こう――で有名な、やわらかニュースサイト『ガジェット通信』発行人。トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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