ヒット中の映画『まほろ駅前狂騒曲』大森立嗣監督インタビュー「死生観に共感出来る」
「まほろ市」で小さな便利屋を営む多田啓介のもとに、変わり者の同級生・行天春彦が転がり込んで、身の回りの様々な出来事に振り回されていく……。人気作家・三浦しをんによる同名小説を瑛太さん&松田龍平さんのダブル主演で映画化した『まほろ駅前』シリーズ。第3弾となる『まほろ駅前狂騒曲』が10月18日より公開となります。
本作のメガホンをとったのは『まほろ駅前多田便利軒』に引き続き、大森立嗣監督。2005年に花村満月原作の『ゲルマニウムの夜』で長編監督デビュー後、『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』『さよなら渓谷』など、次々と話題作を手掛けています。今回は大森監督に映画について色々とお話を伺ってきました。
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―『まほろ駅前多田便利軒』に続いての監督作品となりましたが、原作の『まほろ駅前狂騒曲』を読んだ時はどんな印象を持ちましたか?
大森監督:多田が恋をしたり、行天の子供が登場したりと、シリーズの中では主人公たち自身に色々な出来事が起こる回ですよね。『まほろ駅前協奏曲』を読む頃にはすっかり『まほろ』シリーズのファンだったので、これから何が起こるんだろうとワクワクしながら読みました。
―この『まほろ』シリーズって映画という枠を越えて、多田と行天という人が実在する様な、この2人をずっと観ていたい空気感が魅力的ですよね。
大森監督:そうそう。瑛太と龍平って2人で何かをすりあわせているわけではないのに、現場に入るとこの空気感になるんだよね。この作品の、多田と行天が「逃げんなよ」って面と向かって言い合う、男同士の関係性の濃さが好き。
―監督も一人の男として、2人に共感したりする事があるのでしょうか?
大森監督:行天が仲の良いおばあちゃんの話を通して「死生観」がメッセージとして表れていると思うんですが、行天が「人は思ったより簡単に死んじゃうんだよ」って言うシーンには共感出来ますね。「人はいつか死んでしまう」という事って、今の時代に忘れられがちだから、それをちゃんと口に出す行天を観ていると、一生懸命生きているなと感じますね。
―『まほろ駅前狂騒曲』では、子供の存在が印象的に描かれていますね。
大森監督:多田と行天って子供に対して、子供扱いするのでは無く、一人の人間として接するキャラクターだと思うので、俺もその姿勢で臨みたいと思いました。“由良公”役の横山幸汰君は前作からの出演ですが、以前より演技が上手くなっていて、上手くなり過ぎない様に調整したり。行天の娘である“はる”を演じた岩崎未来ちゃんは町田出身で。「まほろ町」のモデルとなっているのが町田市なので、空気感をすぐに分かってくれて良かったですね。
―小林を演じた、永瀬正敏さんの存在感も素晴らしかったです。
大森監督:永瀬さんとはWOWOWのドラマでご一緒して、いつか映画を一緒にやりたいと思っていたので今回は願いが叶いました。永瀬さん演じる小林と、行天の間には幼少時代に何かがあったわけですが、この話だけで映画一本撮れるほどのエピソードなんですね。でも映画の時間は限られていますから、ストーリー無しで、永瀬さんの表情だけで表現しなくてはいけない。そんな難しい役柄は永瀬さんだからこそ演じられたのだと思います。
―そんな小林と行天の過去であったり、本作はシリアスなシーンも多く見応えがありました。でも『まほろ』っぽいほのぼのとした空気感もあり。これからも続いて欲しいシリーズだなあと改めて。
大森監督:俺が作る映画ってお客さんを選んじゃう部分があるんだけど、このシリーズは明るいし、映画館を出た後に爽やかな気持ちになると思うし、前作を観ていない人でも楽しめる作品になっているから多くの人に観て欲しいですね。原作はこの『狂騒曲』で完結という事になっているけど、出来るならばこれからも『まほろ』を作りたい、そんな気持ちはありますね。
―今日はどうもありがとうございました!
映画『まほろ駅前狂騒曲』大ヒット上映中!
http://www.mahoro-movie.jp/
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