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太っている人に朗報・あなたは何も悪くない

サイエンスあれこれ

ぽっちゃり体型の科学的ないいわけをここに見つけました。今回はscience_qさんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

太っている人に朗報・あなたは何も悪くない
もちろん世の中には、自らの暴飲暴食を自覚した上で、メタボに突き進んでいらっしゃる方も大勢いるかとは思いますが、中には普通の人と同じくらい、いや逆に少ないくらいの食事量なのに、ぽっちゃり体型で悩んでいる方も多いかと存じます。ビジネスマンの世界では、太っていることで自己管理能力を疑われ、出世にも影響すると聞きます。太っている人間を一緒くたにするな。ただオレは少しばかり太りやすい体質なだけなんだ。そう、あなたは何も悪くありません。最新の研究 *1 によれば、太りやすい体質というのは、腸内細菌相の異常による、れっきとした感染症、そして治せるかもしれない感染症の可能性があるからです。
*1:『Science』「Metabolic Syndrome and Altered Gut Microbiota in Mice Lacking Toll-Like Receptor 5」
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/328/5975/228

事の始まりは、細菌感染による自然免疫とメタボリック症候群の関連を調べようと、細菌感染を検出して、自然免疫を活性化することがわかっているToll 様受容体5(TLR-5) *2 遺伝子を失ったマウスを作製したところ、このマウスが見事メタボリック症候群を発症したことに始まりました。ここまでなら、ある意味期待通りの結論で、研究者らは、自然免疫力の低下がメタボリック症候群の発症に関連することを証明できたと当初は大喜びだったことでしょう。
*2:『ウィキペディア(Wikipedia)』「Toll様受容体」
http://ja.wikipedia.org/wiki/Toll様受容体

しかし、その後、このマウスに起こったメタボリック症候群は、TLR-5遺伝子を失ったことで、自然免疫力が低下したことによるものではないことがわかり、なぜこのマウスがメタボになったのかその原因を求めて話は振り出しに戻ってしまったのです。

決め手となった実験は、抗生物質を使って、このメタボマウスの腸内細菌を一掃したところ、メタボから回復したというものでした。そこで、今度は逆に、腸内細菌を一掃された(TLR-5を失っていない)正常なマウスに、TLR-5を失ってメタボになったマウスの腸内細菌を植えつけたところ、この正常マウスは、TLR-5を失っていないにも関わらず、メタボリック症候群を発症しました。

この結果から、メタボリック症候群を発症した直接の原因は、腸内細菌相の変化にあり、TLR- 5遺伝子(をもたないこと)は、その変化を誘発しただけだったということがわかります。このことから、TLR-5遺伝子を失うなど、自然免疫の活性化が影響を受けると、その影響は、腸内細菌相に反映され、それによって変化してしまった腸内細菌相は、太りやすい、糖尿病になりやすい、などのメタボリック症候群を発症する十分な原因になりうるということがわかったわけです。

将来的には、腸内細菌相の中で、どういった種類の細菌がメタボを誘発しているのかを特定し、それによって肥満という一種の感染症を「治療」できる日が来ると期待されます。でも、さらに突っ込んで考えてみると、治療する必要すらないかもしれません。なぜなら、このような異常な腸内細菌相をもつ人は、普通の人より少ない食事量で、健康的に生きていけるかもしれないからです。食事量を減らせるということは、老化を遅らせることであり、普通の人より長生きできる可能性すらあります。太りやすい体質のすべてが悪いことばかりじゃないんですよ。多分……。

執筆: この記事はscience_qさんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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