先端テクノロジーを使いこなすバカの祭典『おばかアプリ選手権』へ行ってきた

ピース

今回が3回目だそうだ。おばかアプリ選手権。こんなの3回もやるなんてすごいと正直思う。東京はすげえなぁ。お台場は懐が深いなあ。参加メンバーも毎回そうそうたるもので、時代の先端をいく開発会社・プログラマーの人たちが顔を並べている。この人たちが「おばかアプリ選手権」でなにをやるのかを一言で説明すると「先端技術を使っていかにくだらないことをやるか」ということ。公式ページには、もっと違うことが丁寧に書いてあったけど、現場を見てそう思った。「くだらない」とはいっても、先端テクノロジーを駆使しているのであるから、それなりの技術的バックボーンや日々の努力、他の人はどうでもいいと思っていることに対する執拗なまでの粘着力が必要なのである。たぶん。「くだらない」のとらえ方も人それぞれで、はじめからふざけている場合もあり、本人たちはいたって真剣な場合もある。

東京カルチャーカルチャー

さて、開催場所はお台場にニフティさんがオープンしているカフェ“カルチャーカルチャー”である。この場所は、日夜ネット関連の面白いイベントが開催されている会場として有名である。少し遅れ気味で会場に飛び込むと壇上にはメイド服姿の女性と、なぜか吉野屋のどんぶりとオタマを持った女性の姿が。早速おかしな雰囲気。そして複数の男性がそれを取り囲んでいる。異様な風景だが、サイバーエージェントの開発チームの人たちらしい。タイトルは『牛丼ゲーム』。過程がよくわからなかったけど、確かに牛丼ができていた。

牛丼?

次はリクルートメディアテクノロジーラボの『MRお天気お姉さん』。MRとはMixed Realityの略で複合現実感という意味らしい。世界カメラとかで有名なAR(拡張現実)やバーチャルリアリティ(仮想現実)なんかをひっくるめてMRと呼んでるとのこと。で、今回の発表では、MRを利用した新しいプレゼンテーション方法を考える、というようなことをおっしゃっていました。

天気図と合成

どのような内容かというと、簡単に言えばブルーバックなしで壇上の人たちがプレゼン用の資料に映り込めたりする。よくテレビの天気予報なんかで天気図の上に予報士さんが合成されてでてくる、みたいなシーンがあるけど、それを壇上の人たちができちゃう、みたいな話。でも、ちっちゃく出てる分にはいいけど、拡大されると資料が見づらいという致命的な欠点があるような気がした。将来、東京ドームや大阪城ホールなどの大舞台で、一番後ろの席の人のためにでっかいスクリーンを立ててプレゼンするような場面になれば使えるような気がした。でもそんなプレゼンなんて見たことないけど。

らぼかへ

次に出てきたのはチームラボの山本さん。タイトルは『アクトトイレ×らぼかへ』。個人的には、この『らぼかへ』というプロダクトにはたいへん興味をそそられた。会社のコーヒーメーカーのコーヒーの残量がブラウザから確認できるってやつ。しかもFirefoxのプラグインになってて、ブラウザの下のところに常にコーヒー残量を示すアイコンが表示されてる。自分の席からコーヒーメーカーのコーヒー残量が確認できる。出先からでも確認できる。こりゃすごく便利じゃないか。ちっとも「おばか」じゃない。『アクトトイレ』は、会社のトイレのトイレットペーパーのとこにマウスを仕込んで、あまりトイレットペーパーを使いすぎないようにする、という仕掛け。仕掛けはよくできてるんだけど、トイレットペーパーを切りにくいのが難点らしく、僕としてはあまり評価できなかった。おばかをやるために現状に犠牲を強いるのはちょっといただけない。やってることはすごいけども。

勝手に谷間を合成

休憩をはさんで登壇したのはカヤックの男女お二人。カヤックは「面白法人」という冠をつけた面白い会社だ。面白アプリをつくっているチームの人たちは、このところiPhoneアプリに力を入れているそうだ。主に紹介されたのは、ちょっとエッチなiPhoneアプリふたつ。これまでに発表された「おばかアプリ」はおばかといっても実用的な側面を持ったものが多かったので、笑いながら、ちょっと感心するという要素があった。そこへもってきてエッチなiPhoneアプリである。実用性など微塵(みじん)も感じられない。しかしながら会場は終始笑いに包まれた。またこの二人がプレゼン上手なのである。ひとつめのエッチなiPhoneアプリ『タニマニア』だが、まずは最初にiPhoneで女性のバストアップの写真を撮らせてもらう。そしてその写真の胸元に勝手に「谷間」を追加する、というアプリだ。もともと谷間のある女性であれば必要がないので、谷間のない女性がターゲットである。谷間の種類は普通と巨乳の二種類から選べるそうだ。だからなんなんだ。

パンティノン神殿

次の『パンティノン神殿』は、女性の全身、もしくは腰から下のあたりを撮影してもらって、膝のあたりにパンティがひっかかっている様子の合成写真を勝手につくることができるアプリである。そんなにうまくそれっぽい合成写真が作れるのかと思ったが、意外とうまくできていた。これも、ひっかけるパンティを3種類から選べるそうである。この一見どうでもいいこだわりが「おばか」を増幅させる。

マネトロンズ

『カヤック』のエッチなアプリの次は『マネトロンズ』によるiPhoneアプリ演奏である。『マネトロン』というiPhone用の楽器アプリでプログレッシブロックの楽曲を熱演。この『マネトロン』は『メロトロン』という鍵盤楽器をシミュレーションしたアプリで、山崎潤一郎氏が制作したもの。今回の演奏では、サプライズゲストとしてあの有名なiPhoneアプリ『ポケットギター』の作者である笠谷真也氏が登場し、ポケットギターを携えて演奏に参加した。

ポケットギターを作者が演奏

なんと『ポケットギター』の笠谷氏と『マネトロン』の山崎氏が組んで『ポケットオルガン』という名前のオルガンアプリを公開する、という驚きの発表もあった。このセクションで唯一残念だったのは、まったく「おばか」じゃなかった、ということだ。演奏も迫力あるもので、なんだかちょっとおしゃれなお台場の夜、って感じでこそばゆかった。あえておばかっぽいところをあら探しすれば、ボーカルの人以外、全員うつむいてiPhoneをなぞっていた点だけだろうか。

農力村の三兄弟

さて、最後に現れたのは『AR三兄弟』のお三方。三兄弟は麦わら帽子をかぶって登場。農力村というのは、アール単位で田んぼを「大人買い」できるサイト。『AR三兄弟』は、そこへでかけていって、稲を刈るのだが、なんと稲を「ARタグ」の形に刈ってしまう、というストーリー。ARは、さっきも少し出てきたけど拡張現実という意味。コンピューターのカメラで現実を映しているんだけど、そのカメラに映った現実にコンピューターがつくりだした仮想の映像などを合成してしまう、という技術。わかりやすく役に立つ例でいえば、iPhoneなどのスマートフォンを使って自分の周りを撮影すると、そこにある建物の名前やお店の紹介などが画面内に表示されたり、というアプリケーションが存在する。で、この『AR三兄弟』さんは、そのARの技術をパフォーマンス込みで面白く見せてくれるプレゼンをいつもやってくださることで有名なのです。みなさんが醸し出すなんともいえない、オトボケ感もいいですね。今回のパフォーマンスはヤヤウケでした。

司会の林さん

さてさて、こんな感じで、お台場の夜は濃密にふけていったわけですが、会場は終始笑いに満たされておりました。僕は初めてこの会場へ行ったのですが、食べ物がおいしかったです。この「おばかアプリ」イベント、また開催されるかもしれないので、まだ行ってない人は、ちょっとお台場に足を伸ばしてみては?

マイク

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深水英一郎(ふかみん)

深水英一郎(ふかみん)

トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

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