スタバがアートマガジンを発行。しかも好きなドリンク一杯を楽しめる

座高さんとアートマガジン

スターバックスの『ビバレッジカード』をご存じだろうか。スターバックス(以降スタバ)では、夏と冬に限定してクーポン付きメッセージカードを発売している。それが『ビバレッジカード』。売価は600円。スタバで好きなドリンクをひとつ頼むことができるクーポンが付いている。例えばコーヒージェリーフラペチーノの最大サイズは580円だが、これを注文することも可能。このメッセージカード、封筒にも入るサイズなので、挨拶のメッセージを添えて郵便で友達に贈る、なんて使い方もされていたようだ。ある日友達からスタバのクーポン付きメッセージカードが送られてくる。こういうちょっとしたサプライズは嬉しいものだ。いつもスタバに通っている人にとってはコレクターズアイテムとして。また、たまにしかスタバには行かないよ、という人にとっては、プラスアルファがついてくるお得なクーポンとして『ビバレッジカード』は人気のアイテムだった。そしてこの冬、その『ビバレッジカード』がアートマガジンになった。

アートマガジン

フォトグラファー市橋織江のアートマガジン

その内容は、今コマーシャルフォトの世界で有名な女性フォトグラファー市橋織江さんの写真集。市橋織江さんは独特の色合いを持つ写真家であり『ユニクロ』『キリン一番絞り』『マクドナルド』等の広告写真、雑誌『ダ・ヴィンチ』の表紙写真やCD、単行本のジャケット写真、映画ポスター等と活躍のフィールドを拡げつつある著名な方である。その写真集とクーポンが融合しひとつになったのである。そしてその売価が600円。尚、クーポンのイラストは『Dior』の『ファインジュエリー・ゴルメットちゃん』や『日産』の『CUBOX』、『Nike+』の『ランランらん』で著名なイラストレーター、タロアウト氏によるもの。写真集をたのしみ、スタバのドリンクで好きなものを注文できてこの価格である。これは今までありそうでなかった、出版界のみならず広告業界をも揺るがす新しい試みではないだろうか。

写真集GIFT

オシャレ+オトク、二つの価値を一体化。業界を揺るがす新しい試み

読者から見ると600円でスタバのドリンクと市橋織江の写真集という二つの価値を手に入れることができるわけで、考えてみればとてもお得な組み合わせである。スタバにとっては新しいお客さんが来店する可能性がひろがり、コンビニエンスストアはまるでスタバの全商品が新商品として加わったとも言うこともでき、しかもマガジンが売れる。なんかとてもハッピーな仕組みなんだけど、一体どのような仕組みになっているのだろうか。

このプロジェクトに関わった人物に取材した。このビバレッジカード、形態はマガジンであるが、スタバはこのアートマガジンに対して一部の経費制作費のみ負担して広告費としている。基本的にスタバはドリンクを提供するのみ、という形でこのプロジェクトに参加している。

自社の商品を提供するのみでプロモーションを成立させ、このビバレッジカードを持って来店したお客さんの数を正確に把握することができる。最小限のコストで効率的な広告がそこで成立しているのだ。こうやってきくと、誰かこれまでにやっててもよさそうな仕組みであるが、前例はなさそうだということ。もしかしたら誰も思いつかなかっただけかもしれないけれども。もちろんこのマガジンを販売するコンビニエンスからも好評で、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクス、ampm、ポプラ他の主要コンビニエンスストアで購入できるそうだ。また、一部書店でも手に入れることができるが、このアートマガジンが置いてある書店はかなり限定されている模様。きいてみたところ、「スタバ併設のツタヤさんにしか置いてありません」とのこと。既に数日前にスタバのサイトでは予告が始まっており、書店経由での問い合わせも届いているとのことだが、そういう事情で、書店であればどこにでも置いてあるというわけではないのでご了承いただきたいとのこと。

座高さんとスタバとアートマガジン

くつろぎの空間『サードプレイス』への招待状

スターバックスという場所は単にコーヒーを飲むだけではない、家庭や職場・学校とはまた違う、くつろぎの場所を目指しているという話をきいたことがある。確かにお気に入りのカフェがあればゆったりとおしゃべりをしたり、アイデアを練ったり、原稿を書いたりといったことに使いやすい。スタバは外観や家具にはじまる雰囲気づくりにこだわり、くつろぎと日常とのここちよい断絶が同居する空間、『サードプレイス』を生み出す努力をしているそうだ。このくつろぎの空間『サードプレイス』への招待状が添えられた写真集。それがこの新しい『ビバレッジマガジン』だと言うこともできるのかもしれない。

ビバレッジマガジン表紙

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深水英一郎(ふかみん)

深水英一郎(ふかみん)

トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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