首都圏の新築一戸建ても価格が上昇? マンション価格の高騰の影響か?調査結果を詳しく解説

首都圏の新築一戸建ても価格が上昇? マンション価格の高騰の影響か?調査結果を詳しく解説

リクルートが2024年首都圏の「新築分譲一戸建て契約者調査」を実施し、その結果を公表した。この調査は、首都圏の新築分譲一戸建てを契約した人を対象に、購入物件や購入行動などを聞いたものだ。購入価格や広さ、駅からの距離、購入者の資金計画などに変化はあったのだろうか?

【今週の住活トピック】
「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」の結果を公表/リクルート

新築一戸建ての平均購入価格は4844万円で、調査開始以降で最高額

まず、2024年に新築分譲一戸建てを契約した人の購入物件について、見ていこう。購入物件価格の平均額は4844万円で、2014年の調査開始以降で最高額になった。内訳を見ると、「6000万円以上」のシェアが20.1%になり、前年の13.2%から大きく増加した。

■購入価格(全体/実数回答)

購入価格(全体/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

次に、購入物件の広さを見ると、建物の平均面積は98.5m2で、2022年の97.9m2、2023年の98.0m2とわずかながら2年続けて拡大している。一方、土地の平均面積は118.5m2で、こちらは2022年の122.0m2、2023年の119.3m2とわずかに縮小傾向にある。

物件最寄り駅からの距離を見ると、「バス・車利用」が2023年・2024年ともに最多の25.7%だったが、徒歩圏の平均を見ると2023年の14.0分から2024年の13.6分と、少し短縮している。

平均価格の上昇は東京23区のシェアが増えたから?

首都圏の新築一戸建ての購入平均価格が上昇したのは、駅距離や広さの条件によるというよりも、所在地の影響が大きいと考えられる。購入した物件の所在地で「東京23区」のシェアが前年の13.3%から15.9%に増えたからだ。

■購入物件所在地(全体/単一回答)

2023年契約者全体

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

物件所在地別の平均価格を見ると、「神奈川県」では2023年と2024年で違いはないが、「東京都下」、「埼玉県」、「千葉県」では2024年に上昇している。しかし、目につくのは、「東京23区」の平均価格の上がり方だ。2024年にはついに7000万円を突破したほど、急な上がり方をしている。

価格上昇が続く東京23区のシェアが増えたことで、平均価格を押し上げたといえるだろう。

■平均購入価格の推移

平均購入価格の推移

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

平均購入価格の上昇に伴い、ローンの借入額や世帯総年収、共働き比率も増加

ちなみに、リクルートではすでに、「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」を公表している。このマンションの調査を見ると、平均購入価格は6629万円でやはり調査開始以降の最高額となった。ただし、物件の所在地のシェアでみると、東京23区が前年から大きく減少した。

これは、新築マンションの平均価格、特に東京23区の平均価格が8440万円になるなど、手が届きにくい価格になっていることの影響が考えられる。手の届きやすい価格帯の東京23区外のマンションを購入する動きがあった、とみられている。

では、新築マンションの価格上昇により、新築一戸建ての購入動向にも変化がみられるのだろうか?

新築一戸建ての平均価格が調査依頼最高額となり、東京23区の物件を購入したシェアが高まっていることは、すでに紹介した。このことから、23区内のマンションから一戸建てに切り替えた世帯が一定数いたことが想定できる。ちなみに、東京23区の平均価格は7202万円で、新築マンションより低い。

購入する価格が上がれば、ローンの借入額も増える傾向がある。2024年の調査結果を見ると、住宅ローンを借り入れた世帯の借入総額の平均は、4524万円となり、調査開始以来最高額となった。特に目立つのが、「5000万円以上」のシェアだ。2023年では「4000~5000万円未満」が最も多くなっていたが、2024年になると「5000万円以上」が31.4%で最多となっている。

■ローン借入総額(ローン借入者※/実数回答)

ローン借入総額(ローン借入者※/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

借入額が増えたことの影響か、全体の世帯総年収額や共働き世帯比率も増加している。
まず、平均世帯総年収は2023年の814万円から2024年の875万円と上昇し、調査開始以来の最高額となった。なかでも、「1200万円以上」のシェアが大きく増加した。

■世帯総年収(全体/実数回答)

世帯総年収(全体/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

共働き比率は全体で72.0%となり、調査開始以降で初めて7割を超えた。

さて、金利がある時代に変わり、住宅ローンの金利も上昇トレンドに入った。そうはいっても、まだ低金利の状況にあるといえる。購入価格の上昇に伴い、ローンの借入額を増やしても、低金利の恩恵で利息を抑えることができるが、長期間返済するうちには金利が上昇する局面もある。無理のない資金計画を立てることが重要だ。

価格は当面下がりそうにないのに、金利は上がりそうないま、住宅購入を決めるのは難しいかもしれない。今は損得よりも、家族の生活拠点をどうしたいかを優先し、無理のない返済プランにすることを重視するのがよいだろう。日々の暮らしを快適にするために住宅を購入するのだから。

●関連サイト
リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」
リクルート「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」

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