津波を防ぐ巨大防潮堤に希望のアートを描く「海岸線の美術館」がクラファンに挑戦

津波を防ぐ巨大防潮堤に希望のアートを描く「海岸線の美術館」がクラファンに挑戦


宮城県石巻市のSEAWALL CLUBが、クラウドファンディングサービス・READYFORにて、「海岸線の美術館」の壁画作品を新たに制作するために、プロジェクト「海が見えない海岸線|災害大国日本の新しい未来をつくる美術館。」を公開。300万円を目標に、9月18日(水)~10月31日(木)23:00の期間、支援を募っている。

アートプロジェクト「海岸線の美術館」

宮城県石巻市雄勝町は、2011年の東日本大震災で壊滅的な被害を受け、その後、雄勝町の海岸線を囲うように、高さ最大10m、全長3.5kmにもわたる巨大防潮堤が建設された。どこまでも続く灰色の大きな壁によって、美しい海岸線・風景、そして海と一体だった生活・生業・文化など様々なものが失われてしまったという。

壁画MAP

「海岸線の美術館」は、この防潮堤に壁画を描くアートプロジェクト。人の暮らしを津波から守る壁でありながら、同時に美しい海の景色を遮る壁にもなっている灰色の防潮堤に絵を描くことで、海沿いに新しい風景を生みだし、海と人を、過去と未来をつなぐ場所に変えていくことを目指している。

防潮堤に4作品を展示中


アートプロジェクト「海岸線の美術館」は、2022年からスタートし、現在防潮堤には、2022年に完成した、壁画 NO.1『THEORIA | テオリア』と、


壁画 NO.2『A Fisherman | 漁師』、


2023年に完成した、壁画 NO.3『GOLDEN TWILIGHT | 黎明』と、


壁画 NO.4『BIG CATCH | 名振のおめつき』の4作品を展示中。

今後、年に2~3作品ずつ制作を続け、町全体を美術館に変えて、たくさんの人に雄勝を訪れてもらうための活動をしていくという。

撮影:Sugimoto Ryusei

また、2022年の美術館開館以来、彫刻家の安井鷹之介氏が毎年2〜3枚の壁画を描いてきたが、さらに活動を広げるべく、美術館は次のフェーズに向かうとのこと。

撮影:Shinya Rachi

2024年秋期と2025年春期には、アーティスト・建築家の岩村寛人氏、


画家の多田恋一朗氏、

撮影:竹久直樹

アーティストの布施琳太郎氏、

撮影:山口梓沙

アーティスト・アニメーターの米澤柊氏の4名が加わり、壁画7作品を制作する予定だ。

雄勝小中学校には2作品を展示

南海トラフ地震をはじめ、日本各地で災害の可能性が示唆される昨今、同様の巨大防潮堤が建設される可能性は日本全国にあると考えているSEAWALL CLUB。「海岸線の美術館」の取り組みは、その先行事例にもなりえるという。

東日本大震災から14年、これからも被災地の人々は残された防潮堤と共に暮らしていかなければならない。同プロジェクトに当初は否定的な意見もあったが、雄勝小中学校の校舎の壁面に、子どもたちと一緒に壁画を制作するなど、地域にも受け入れられ復興のシンボルとなりつつあるそうだ。


2024年現在、雄勝小中学校では、2022年に完成した壁画『HIGHLIGHT | ハイライト』と、


2023年に完成した地上絵『GOLDEN CAVE | 黄金窟』の2作品が展示されている。

計36コースのリターンを用意

READYFORで実施中のクラウドファンディングでは、「壁画原画ポストカード」「美術館の現地に名前を刻む」「クラフトビール&グラス」「出張壁画制作」など、3,000~5,000,000円まで、計36コースのリターンを用意。集まった資金は、2025年春期までの壁画制作費と運営費に充てられる。

壁画の詳細は、クラウドファンディングページをチェック!地域の暮らしに「希望」をつくりだすための「海岸線の美術館」の挑戦を、応援してみては。

READYFOR:https://readyfor.jp/
プロジェクト名:海が見えない海岸線|災害大国日本の新しい未来をつくる美術館。

海岸線の美術館:https://kaigansennobijutsukan.com/

(佐藤ゆり)

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