ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

名作Flash『ウシガエル』の塚原重義が新作長編アニメ『クラユカバ』の制作支援を募集! 「僕は生きています。ずっと作り続けています」

作品の中に立つ体験、身体に電流が走る

今回『クラユカバ』本編とは別に、VRを用いたコンテンツも準備しているという。塚原作品とVR……ピンと来なかった筆者の様子を察したのか、塚原はまだ試作の仮想世界を見せてくれた。
※注・VR画面写真はプロモーションムービーによるイメージです。取材時のものとは異なります。

ヘッドマウントディスプレイをかぶると、UnityでのVR開発画面から一転、“あの光景”が広がる。
切り立った崖沿いの板張りの通路。赤錆の浮いたトタン。折り重なるような建物。それら全てが眼前に広がっている。今までモニター越しで見ていた“塚原ワールド”に自分が立っている驚きがあった。

インターフェースも世界もまだ未完成ながら、その世界を“歩く”ことで首の後ろの神経がさざめく。誇張ではなく鳥肌が立った。
「アニメーションに3Dを用いたとしても、手描きとして見せる」ことにこだわり続けてきた塚原だからこそ、このなめらかな没入感を得ることができたのだろう。当時、Flashムービーに没頭した人たちには是非観て、そして驚いてほしいと感じた。

空気のにおいがする並行世界

『クラユカバ』本編について塚原は、テーマのひとつに「並行世界」の存在がある事をにおわせた。

重機はもちろんのこと、もともと廃路線や廃墟が好きだった塚原は「鉄道車両そのものより線路設備」や「重さのある駆動機械」そして「闇の垣間」が見えるような世界観をこれまでの作品群で構築し続けてきた。

乾いた土埃や硝煙の香りを描いていた初期作品から、次第に空気のよどんでいく感じ、コケが生え湿気を含んだ空気など有機的な表現も積極的に取り入れるようになる。それらは前出の『端ノ向フ』や『押絵ト旅スル男』、30秒に凝縮された奇妙な会話劇『よろず骨董 山樫』などでも見てとることができる。

<写真:『よろず骨董 山樫』>
『クラユカバ』の「並行世界」は、おそらく明と暗が交錯するひとつの完成形を描くのではないだろうか。

今回、過去作品のオマージュも入れつつ、エンタメとして面白いものを作りたいと考えています。短編では成し得なかった、入り組んで少し考えられるスケールを描きたいんです

作りたいものを作るという原点

Flashブーム後に時間を巻き戻そう。『甲鉄傳紀』シリーズから『ブリキ帝國』『カラクリ戦記 鬼ヶ島』などいくつかの作品を作り続けながら、塚原は映像制作会社への就職、そして退社を経験する。
「一番つらかったのは2008年から2010年ごろですね。自分の作風とは違う作業的な仕事が続くときもありました。自分の作品が作りたい、どうしたら作れるか、ってそんなことばかり考えていました。ネットでは石田祐康さんの『フミコの告白』のような個人製作の良作が出てきたりしていた頃です」

「とにかく自分の作品を作ろう」と考えた塚原は当時、会社に企画書を提出することを思いつくが、思いとどまる。

誰かの許可を得なくても、今は自分で作ってしまえばいいんだ、って気づいたんです。忘れていた感覚がその時蘇って」

再び個人作家に戻った塚原は、作りたいものを作るようになった。そして、「来る仕事が変わった」という。『SEKAI NO OWARI』の『「炎と森のカーニバル」イメージアニメーション』(2013年)もそのひとつだ。塚原の和なレトロに欧風テイストが加わり、まさしく和洋折衷した新しい雰囲気が見られる。

<写真:『炎と森のカーニバル』イメージアニメーション>

自分の作品はどんどん出しておいた方が良いですよ、って若いクリエイターの人たちには言いたいですね」

ファンとともに作品を作りたい

最後に『クラユカバ』への支援募集を行うにあたり、呼びかけたいことがあるかを聞いてみた。

アニメなどではとかく、有名原作じゃないと作りづらい現状というのも有ると思います。僕が作ってきたのは無名のオリジナル作品ですが、みなさんの力を借りて一緒に作っていきたいです

技術は格段に変われど、Flash黄金期から塚原の根の部分は変わらず、みずみずしいままだった。
しかし、かつては出来なかった長編をネットを通じファンと新しいやり方で作り上げようとしている。

一緒に歴史を作りましょう。“塚原はワシが育てた”と言ってほしいです(笑)。 支援、おねがいします!

■『クラユカバ』制作支援プロジェクト
https://www.makuake.com/project/kurayukaba/ [リンク]

■クラユカバ:あらすじ

―いつかみた、どこかへ。

皆知っているが誰も知らない。
すぐ足元にある、クラき異郷。

街の地下には様々なものが吹き溜まる、未知の広大な空間があった。
光あふれる地上からあぶれ落ちた人や物。
あるいは、奈落の奥底より湧き出た「何か」たち。

「坊や、あの祭列についていってはいけないよ」
「どうして?」
「永遠に、クラガリを彷徨うことになるからね」

いつもの朝、いつもの道、いつもの街角。
それらのすぐ脇に闇はぽっかりと口を開け、踏み込む者をじっと待っている。
これは「異郷」を往来する者たちと、その中を邁進する謎の装甲列車「ソコレ四六三」の、冒険の物語である。

■弥栄堂 / 塚原重義
http://iyasakado.com/ [リンク]

前のページ 1 2
オサダコウジの記事一覧をみる

記者:

「予備校生のような出で立ち」で写真撮影、被写体(スチル・動画)、記者などできる限りなんでも、体張る系。 「防水グッズを持って水をかけられるのが好き」などの特殊な性質がある。 好きなもの: 食べ物の写真、昔ゲーム(の音)、手作りアニメ、昭和、穀物

TwitterID: wosa

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

山寺宏一&高木渉で『ポプテピピック』

GetNews girl / GetNews boy