【日本のオタテク】めっちゃリアル! “拍手をする”それだけのマシン『音手(おんず)』

【日本のオタテク】めっちゃリアルやん! “拍手をする”それだけのマシン『音手(おんず)』

ギャグを言ってもウケてくれない。歌を歌っても反応がない。そんなのは寂しいと思っているあなたに、素敵なマシンを紹介します。それは拍手を模倣した多目的機械装置『音手(おんず)』。まさに拍手をするために生まれたこの機械装置、10月20日(木)~22日(土)に日本科学未来館で開催されていた『デジタルコンテンツエキスポ』でパフォーマンスが行われていました。かなりリアル、でもなぜこんなものを……。開発者の髙橋征資さんのお話を交えてこの面白装置を紹介いたします。

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『音手』を作ったのは慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の髙橋征資さん。エンタテインメントグループ『バイバイワールド』の代表も務めています。今年2月に開催されていた『文化庁メディア芸術祭』と共に展示が行われていた『学生CGコンテスト』では『今世紀マシトミン ~筋肉団の野望~』というパフォーマンスでエンターテインメント賞を受賞されていました。

音手と髙橋征資さん

マンガ!アニメ!ゲーム!日本公認メディアアートの祭典『文化庁メディア芸術祭』国立新美術館で開催『ガジェット通信』[リンク]
https://getnews.jp/archives/96713

そして今回彼が作った『音手』の動画はこちらです。

かなりリアル!拍手を模倣した機械装置『音手(おんず)』 『ニコニコ動画』
http://www.nicovideo.jp/watch/1319180938

“手が拍手をする”それだけに特化した『音手』は見た目もシュール。パフォーマンスでは機械とは思えないリアルな拍手が会場に鳴り響きます。すばらしい! しかし拍手するだけ、それだけのマシンです。彼はなぜこのようなものを作ったのでしょうか。開発者の髙橋さんにお話をうかがってみました。

記者:いきなりですが、なぜこのような“拍手をするだけ”というマシンを作ろうと思ったのでしょう。

髙橋氏:やわらかいものとやわらかいものがぶつかるときに生成する音と、手だけのキモアホっぽさみたいなものにピンときたんです。

記者:キモアホっぽさ! やはりそこですか。

髙橋氏:そこです(ニヤリ)。 もともとフィジカルじゃない生音響を制御したいと思っていました。声はもうかなりやられていますので、やわらかいものとやわらかいものをたたき合わせて出す音はどうかと考えてみたんです。これがけっこう使われていて、しかもそれだけで感情が表現できたりするので、いろいろ使えそうだぞということで、『音手』を作ろうと思うにいたりました。

記者:なるほど、キモアホっぽさだけでなく、いろいろ考えているんですね。このマシンを作るために苦労したところはどういう点でしょう。

髙橋氏:全部です。『音手』はほぼ全部手作りなんです。機械のところもアルミの一枚から自分で製作して、手も自分で型取って流し込んで、中に金属の骨が入っていますが、それも全部自分で鋳造して溶かして切って作ったので、結構大変でした。特に苦労したのは掌の形状と柔らかさです。いい音を出すために試行錯誤しました。

記者:うわ、気の遠くなるような作業ですね。掌は先ほど触らせていただきましたが、柔らかくてものすごく気持ちよかったです。

音手近影

髙橋氏:あれは軟質ウレタン樹脂、人肌ゲルと呼ばれているんですけど、人と同じような同等のやわらかさの素材です。ぼく自身、人と同じようなやわらかさで、中に骨のような鋼体が入っていて、そんな手の形状の人工物を叩き合わせたら、人の拍手と同じように鳴るのかと疑問だったんですが、やってみたら鳴りました。

記者:いい音が出ていますよね。

髙橋氏:特に音を重ねたりもしていないんです。

記者:鳴らすためのプログラムはどういったものなのでしょうか。

髙橋氏:コンピュータのシーケンスでこのポイントで打つぞと、機械の回転を制御しているだけです。リズムマシンのような感じですね。

記者:バンドを組まれていらっしゃるということですが、『音手』をライブなどで使う予定はあるのでしょうか。

髙橋氏:今回のパフォーマンスは普通に盛り上がる曲に合わせて拍手をしたんですけど、今後はバンドと音手を組み合わせて、オリジナルなパフォーマンスをしていきたいなと思っています。

記者:お客さんがいなくても拍手してくれるところがまたいいですよね。

髙橋氏:パフォーマンスの最後に『音手』が自分で拍手していましたしね(苦笑)。三本締めなど“手締め”にも使えるんですよ。

身体器官型のマシンを使った表現方法なり、創作方法というのは、まだいろいろ企画があって、さまざまなものを作って、機械が出す音を活かしたライブをやっていきたいと思っています。今後もまた「こんなんできました」とおもしろいものを報告できればと思っています。

記者:よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

開発者の髙橋征資さん

開発者の髙橋征資さん

『バイバイワールド』[リンク]
http://www.byebyeworld.com/
髙橋さんが代表を務める『バイバイワールド』のサイト。『音手』零号機の動画も見ることができる。

『慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科』[リンク]
http://www.kmd.keio.ac.jp/

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