生きてるうちに言ってやれよ

おごちゃんの雑文

今回は生越昌己さんのブログ『おごちゃんの雑文』からご寄稿いただきました。

生きてるうちに言ってやれよ

伊良部とゆー人がが死んだそうである。野球はからっきしなんで、どんな人か知らんけど。
で、いろんな記事が出て来てるんだが、とりあえず1つリンク。

「伊良部さんは「永遠にヤンキースの家族」球団が声明文」2011年07月29日『asahi.net(朝日新聞社)』
http://www.asahi.com/national/update/0729/TKY201107290268.html

いろいろと心温まるいいメッセージが出ているようなんだけど、これらを見て思ったのは、
生きてるうちに言ってやれよ
だ。

よく知らん人で自殺らしいんで、あんまり人物がどーだとか言うつもりはない。ただ、いろんな記事を見て思うのは、そういった“いい言葉”は生きているうちにかけてやれよと。もしその“いい言葉”が彼が生きているうちにかけられていたら、自殺なんてしなかったかも知れないじゃん。

とかって話を『Twitter』でしてたんだけど、そしたらある方が

@ogochan 終戦直後、職業軍人の奥さんと子どもが焼け出されて、電話ボックスに身を寄せたが、食べるものも飲み物も入手できず、3人とも死んだら、みんなが電話ボックスにお供えし始めたという話があった。あれから66年。

http://twitter.com/#!/hikarus/statuses/96880399086649344

@ogochan こないだの大阪二児餓死もそうだったよ。部屋の前にお供え多数。。。

http://twitter.com/#!/hikarus/statuses/96881942275964928

という話をしていた。“お供え”とか、生きてるうちにもらったら、死なずに済んでたかも知れないのに。
宗教的にそうなのかどうなのかよくわからないし、それが“日本人”だからかどうかのか知らないけど、どうも
死んだらいい人
みたいなものがあって、死んでからだといろいろしてもらえるようだ。「惜しい人をなくしました」みたいなそーゆーのだ。惜しいと思ってるなら、死ぬ前に何とかしてやれよ。

そしたら、別の方が

@ogochan 1回だけ供え物をすれば免罪されたという気分になるからでは。生きているときだと継続的に食事を提供しないと、やはり死んでしまうので負担が大きい・・・ということでは。

http://twitter.com/#!/talk2daigo/statuses/96886633445601280

とか言ってたんで、なんとなく納得。つまり、生きてる間にいろいろしてやると、それには“責任”が発生してしまうものだから、それを避けたい。とは言え、人には“善行欲”みたいなのがあって、いいことはしておきたい。となれば、死んだ時ってのは絶好のチャンスだと。そう言えば、“タイガーマスク事件”も似たようなところがあるな。

そうしてみると、冒頭の“心温まる話”ってことの深層が見えて来る。つまり、
“善行欲”を満たすためのリップサービス
だってことだ。死んだ人に何しても、責任は発生しないし、何か要求されたりもしない。面倒なことはあまり起きない。でも、“いいこと”はした気になれる。

「いや、そんなことはない。心からの言葉だ」と言いたいんだったら、
生きてるうちに言ってやれよ
だって、死んでからそんなこと言われたって、本人には何の得にもならないんだから。生きてるうちに聞いてたら、生きる励みになるだろうし、言われた感謝の言葉を返してくれるはずだ。まぁそんなことを死んでから言いたいと思うのは勝手だし、それ自体は自然な気持ちだろうが、それを言葉にするのは
いい人アピール
に過ぎない。

抹香臭いオマケをつけ加えると、キリスト教で忌み嫌われる“偶像崇拝”ってのは、そういったことである。つまり、“いい人”そうに見える姿を見せるために、本来“無”であるものを崇拝している様子を見せる。それは“信仰”の類ではなくて、“いい人”っぽく見せるための自分のための行動だと。

抹香臭いことはさて起き、もし誰かが死んでしまった時に「あの人はいい人でした」って類の言葉を発したいと思ったら、それは生きてるうちに言っておくほうがいい。不慮の死の時に「相談してくれれば」の類を言うつもりだったら、普段からそうしてやれ。

まぁ、俺がそうされたいんだけどさ。

執筆: この記事は生越昌己さんのブログ『おごちゃんの雑文』からご寄稿いただきました。

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