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ホームレスのご飯代と変わらない現代のサラリーマンの食生活

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ASSIOMA

今回は大元隆志さんのブログ『ASSIOMA』からご寄稿いただきました。

この記事は、以下の記事のつづきとなっておりますので、こちらも合わせてお読みください。
「Big Issue(ビッグイシュー)に入っていた一通の手紙」
http://getnews.jp/archives/64084
「ホームレスな生活」
http://getnews.jp/archives/66093

ホームレスのご飯代と変わらない現代のサラリーマンの食生活
『Big Issue(ビッグイシュー)』 *1 に入っていた、ホームレスからの手紙の第三回です。これは、ホームレスの自立支援を図るための雑誌『Big Issue(ビッグイシュー)』 に入れられているホームレスの方の日常をつづった日記の紹介であり、実話です。
*1:ビッグイシュー日本
http://www.bigissue.jp/
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その三。

顔を洗い終えてから、事務所へ向かう。中央公園から事務所へ向かう途中、ロッカーで仕事道具と寝袋を入れ替える。(このロッカー代もなかなか大変なのだが雑誌を盗まれるよりいいと思いロッカーを利用しています)
そして出勤。その前に朝ごはん。
いつもは朝はパンで済ますことが多い。
お金があれば、納豆定食350円を食べるときもある。
そこは、ご飯食べ放題なので同じビッグイシューの販売者の人たちも良く利用している。

自分みたいに何か仕事をしている以外の人たちはやはり炊き出しをまわる。
朝早く、午前5時ぐらいからやっている所もあるが数は少ない。
だから、大抵のホームレスの人々は、昼の炊き出し夜の炊き出しに並ぶ人が多い。
炊き出しをやっている所も教会・支援団体・個人とかがある。

東京都の場合は、東部方面と西部方面に分かれている。
東部方面は上野や池袋を中心とし、西部方面は新宿や渋谷を中心とした所である。

時間も朝早くから夜9時ぐらいとさまざまである。
炊き出しもパンやおにぎり、カレーやうどん、お菓子と色々ある。
多いところだと、リュックがいっぱいになるくらい、もらえる所もある。
(千食ぐらい用意するところもあるらしい)

中には支援団体の人々とホームレスの方々がいっしょに食事を作る共同炊事という形式をとっている所も増えてきている。
皆がいっしょに作って食べると、また、おいしく感じるものである。
自分の場合は、朝は三百円、夜は五百円(売上により変わる場合もあり)
と決めているので、いつものようにパンと飲み物を買ってまっすぐ事務所へと向かう。

次回へ続く。
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・ホームレスのご飯代と変わらない現代のサラリーマンの食生活
今回の手紙を見て、いちばん驚いたのは、朝食代と夜食代を出して、普通に食事をしていることでした。

私の中のホームレスのイメージは、普段はゴミ箱を漁ったりして食事をとり、時折、ボランティア団体の炊き出しで良い食事にありついているものだと想像していました。ところが、ホームレスの中にも色々あり、この方のように普通に食事をとられている方が居るんだなと、少し驚きました。私達の目からはホームレスという言葉でひとくくりに考えがちですが、恐らくはホームレスの中にも格差が存在するんだろうなと感じました。

驚いたことはそれだけではありません。私は普段、朝食は食べないので、昼食と夜食しか食べません。ですから、このホームレスの方と同じ一日二食です。一食にかける料金も平均して500円前後なので、あまり変わっていないということでした。ということは、私の食事代は、このホームレスの方と一日とほとんど変わらないということなんですね。

えっ、もしかして、昼ご飯代ケチリすぎ? と思って、一般的なサラリーマンの昼ご飯代を調べてみたら、寂しいことに、これも新生ファイナンシャルの調査 *2 によると、年々減少傾向で、500円だという事実がわかりました。日本のサラリーマンの食事は、ホームレスと同程度なのか……と思うと、なんだか少し寂しい気分にもなりました。

*2 :『2010年サラリーマンの小遣い調査』詳細リポート 平成22年4月16、17日 新生ファイナンシャル
http://shinseifinancial.co.jp/aboutus/questionnaire/kozukai2010/index.html

じゃあ、今と大して変わらない食生活を送れるなら、ホームレスになってみようか? とまでは、行きませんが、何故、この人達はホームレスになったんだろう? という疑問がわき、少し調べてみることにしました。東京都福祉保健局の作成した『ホームレス白書 』*3 に、興味深い調査結果がありましたので、紹介したいと思います。

*3 :『ホームレス白書2』 平成19年5月 東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/seikatsu/rojo/hakusyo2/index.html

・何故ホームレスになるのか?
「仕事したくない人がホームレスになるんでしょ」と考えている方も多いのではないでしょうか? 実は私もそう思っていました。向上心のない人がホームレスになる、だから自分には他人事だと考えていました。しかし、国の調査によると、どうも実情はそうではないようです。

ホームレスのご飯代と変わらない現代のサラリーマンの食生活

『東京23区のホームレスの実態』 平成19年1月 東京都福祉保健局 P15参照
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/seikatsu/rojo/hakusyo2/files/3.pdf ※Adobe Acrobat Readerが必要です

ホームレスになった理由の50%以上が、“仕事が減った”、“勤め先の倒産”、“失業”といった、不景気による物が占めています。大半の企業の寿命は30年程と呼ばれており、私達の就業年数よりも短いのが事実です。ということは、ホームレスになる原因の大半が企業の倒産によるものであるなら、いつ自分達がその立場になるかもしれません。就業構造の変化などの社会経済的要因を背景にもつ全国的な問題であり、社会のセーフティネットにかかわる問題でもあります。日本人一人一人にとって、ホームレス問題というのは他人事ではないと言えるのではないでしょうか。

・ホームレスの長期化が復帰への希望を閉ざす

ホームレスのご飯代と変わらない現代のサラリーマンの食生活

『東京23区のホームレスの実態』 平成19年1月 東京都福祉保健局 P19参照
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/seikatsu/rojo/hakusyo2/files/3.pdf ※Adobe Acrobat Readerが必要です

ホームレス1〜3年未満であれば、本人の就労への復帰意欲も高いのですが、10年以上ホームレスを続けていると社会復帰を望まず「今のままで良い」と考えてしまう傾向にあるようです。これは、ホームレスの期間が長期化すれば、社会復帰への意欲が失ってしまうということの現れだと思います。

・私達にできること
いつ、会社が倒産してもおかしくない不景気が続く日本。ホームレス問題は決して他人事ではありません。でも、私達一人一人の力は無力です。それでも、何かしてあげられることってあるかな? と考えた時に、少しだけ「これならできるかも?」と思うことがありました。

それは、ホームレスの人達と、ほんのわずかでも良いから接点を持ってあげることです。

今回の手紙には、ホームレスの方のメールアドレスが記載されていたそうです。恐らくは、社会との接点を持っていたい、孤独になりたくないって言う思いの表れなのではないかと思います。お金は失っても、都心のホームレスの方々は福祉団体等のお陰で、餓死する程の思いをすることは最近はほとんどないそうです。しかし、“ホームレス”という烙印(らくいん)が、一般人との見えない壁を作り出してしまう。自分の今までの行動を振り返ってみても“ホームレス”という人達を見ると、避けて通ったり、どこか見下した目で見てしまっていたと思う。実際、ホームレスを襲撃するという事件は後を絶たない。しかし、“ホームレス”は現在の社会環境の変化が生み出した、だれにでも訪れる可能性のあることだという現実を理解しないといけない。

私達にできること、別にお金を寄付してあげる必要はないと思う。しかし、“ホームレス”としてではなく、一人の人間として接してあげることではないかと思う。もし、街中で『Big Issue(ビッグイシュー)』を販売している方々を見かけたら、「頑張って下さいね」と声を掛けてあげて欲しい。そして、一度『Big Issue(ビッグイシュー)』を手にとって、その内容に興味がもてたのなら、一度買ってみてあげて欲しい。

社会とのつながりを持っていること、自分たちは見捨てられていないと、自信を与えてあげること。それが私達、一人一人にできる支援ではないだろうか。

執筆: この記事は今回は大元隆志さんのブログ『ASSIOMA』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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