Big Issue(ビッグイシュー)に入っていた一通の手紙

ASSIOMA

今回は大元隆志さんのブログ『ASSIOMA』からご寄稿いただきました。

Big Issue(ビッグイシュー)に入っていた一通の手紙

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「目覚め」

朝5時、いつもの様に目を覚ます。自分は大きく伸びをして目をあける。
目の前には、ブルーシートを透かして薄日が見える。自分は起きるとまず寝袋から出て寝袋をたたむ。

そして風よけと目隠しのブルーシートをはぎとる。 目を空に向ける。
本日の天気の確認。晴れているとホッとする。

自分達ホームレスにとっては天気はとっても重要である。
雨だと行動範囲が限定されるからだ。

とくに自分は、ビッグイシューの販売をしているので雨は売上を大きく左右する。天気の確認を終えると寝袋とブルーシートをカバンにしまい、囲っていたダンボールを片付けいつもの場所に隠しに行く。

このダンボールをうまく隠すのがとても大切である。
でないと毎日ダンボールをさがさなくてはならない。

これが中々大変なのだ。ダンボールは早い者勝ちな所がある。
だからダンボールの出が少ない日は早い時間から争奪戦が始まる。
だから自分はいつもダンボールを隠しているのだ。場所は秘密である。

話を少し前に戻そう。
皆さんは朝、何で起きているだろうか。目覚まし時計、お母さんや奥さんの声、子供の声、テレビの音など色々だろう。

自分の場合は、人の足音や人の話し声などで起きる事が多い。
俺(おれ)の寝ているすぐ横をコツコツと歩く音。
キャリーバッグを引く音、楽しげな声、眠たげな声などが俺(おれ)にとっての目覚まし時計といえるのではないだろうか。

ダンボールを隠し終えるとリュックとキャリーを持って顔を洗うためにある場所へと向かうのである。

次回へ続く。
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この手紙は、私の会社の人が、渋谷東急本店前でホームレスの人から『Big Issue(ビッグイシュー)』 *1 と呼ばれるホームレス支援の雑誌を購入した時に受け取った手紙だそうです。話の内容は、このホームレスの方の日常をつづっている。“次回へ続く”と書かれている事から、続きがあるのでしょう。
*1:ビッグイシュー日本
http://www.bigissue.jp/

・ホームレスの自立支援
正直な所、私は『Big Issue(ビッグイシュー)』という雑誌を買った事がありませんでした。ホームレスを支援するという目的で、一冊300円で販売され、そのうち160円がホームレスの方の収入となる、このビジネスモデルに、どうも共感出来なかったからです。「どうせ、内容薄いんでしょ」という偏見もありました。特に販売する工夫もせず、同情心で買ってもらう。そういうもんだと思っていました。同情心で買ってもどうせ数ページ眺めただけで捨ててしまうだろう。それなら寄付しているのと同じと思っていました。単なる寄付ならば決して助けにはならないのではないかと思っていたからです。

しかし、この「目覚め」と題した手紙を購入者に手渡している人はどうでしょう? 単なる自分の日常を読んでもらいたかっただけなのか、“オリジナルコンテンツ”として付加価値を創造しているのか?

ホームレスの日常なんて、そうそう知れる事じゃないですし、実際この手紙を見て“続きを読んでみたい”と思いました。こういう買ってもらうための工夫をしている人からなら、買ってみたいと思いました。同情心ではなく“応援したいな”という気持ちで買わせてもらえるなら300円なんて安いものです。こんな工夫が出来る人なら、きっと立ち直れると信じることが出来ますし、立ち直ろうという意志を感じます、だから素直に頑張って欲しいと思います。

・寄付と支援
ボランティアには詳しくはないので、間違っているかもしれませんが、私はこう考えています。

あなたは、食料に飢えている人がいた場合どちらの施しを行いますか?
 A.自分の食べている物をわけてあげる
 B.食料の作り方を教えてあげる

Aは寄付であり、Bは支援だと思います。私は、AとBなら私はBを選びます。

Aは一時的に空腹を免れる事が出来ると思いますが、施しを受けた人は“依存”するでしょう。Bは空腹を満たすために、時間がかかりますが、“自立”する事が出来るようになるでしょう。大切なのは、働く喜びと、自分の力で生きているという誇りを感じてもらえるようにする事が“支援”だということです。同情から生まれた“寄付”では“誇り”は生まれません。大変偉そうな物言いで申し訳ありませんが、上記のように日々考えています。

・自分が世の中に貢献出来る事
時折、「自分って世の中に対してどんな役に立つ事が出来るんだろう」と考える時があります。別段お金持ちなわけでも、実業家でもないし、権力者でもない。あー、自分は駄目な人間で、情けないなぁと思います。

しかし、最近こうやってブログを書く事で、就職活動中の学生の方、社会人になったばかりの方、ITに関心のなかった女性など、普段ITというものに興味のなかった方から、「分りやすい、理解出来ました」という励ましの言葉をいただくたびに、“分りやすく伝えようとする努力”は、案外世の中の人の役にたっているのかも?と思うようになってきました。

私が一冊目の本を書いた時に考えていた目標は、「頭の良い人達には、情報量や理解の深さでは到底かなわない。読んでもらった人が読みやすいように、理解してもらえるように工夫しよう」という事でした。きっとこのスタイルはこれからも変わりません。このブログを書くときも常に意識している事です。

今、世の中で起きている事を、興味深く、分りやすく読んでもらう。そして、一人一人が自分の力で情報を整理し、賢くなってもらえたら。僕はそんな風に思います。これがささやかな今出来る自分の世の中に対する貢献です。

執筆: この記事は大元隆志さんのブログ『ASSIOMA』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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