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「グルジア」の呼称を「ジョージア」に変更──日本語の呼称が変更された国・されなかった国

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10月6日付の読売新聞によると、政府は今月下旬に予定されているグルジアのマルグベラシビリ大統領訪日に合わせ、かねてから同国政府より要請されていた国名の日本語呼称をロシア語名の”Грузия”を基にした「グルジア」から英語名の”Georgia”を基にした「ジョージア」へ変更する方針を固めたとされています。

グルジアは中央アジアのカフカス地方にある人口約430万人の国で、18世紀にロシア帝国へ併合され20世紀の大半は旧ソビエト連邦の構成国と言う地位にありましたが1991年のソ連崩壊で独立国となりました。グルジア語での自国の名称は「サカルトヴェロ」ですが、グルジア正教会が聖ゲオルギウスを同国の守護聖人と定めていることから国外では「聖ゲオルギウスの地」を意味するラテン語の「ゲオルギア」(Georgia)をそれぞれの言語に訳した名称で呼ばれています。英語の場合はラテン語と同じつづりの”Georgia”で、1996年に米国で開催されたアトランタオリンピックでは同市がジョージア州の州都であることからグルジア選手団の入場に際して大きな歓声が挙がりました。

日本の場合、同国が長らく旧ソ連の構成国だったため地域事情がロシア語の文献を介して知られた経緯よりロシア語由来の「グルジア」と呼ばれて来ましたが、同国が独立後にバルト三国を除く旧ソ連構成国が組織した独立国家共同体(CIS)へ直ちに加わらず1993年に加盟した後もロシアとの対立から2009年に脱退し、さらにロシアと国交を断絶したことからもわかるように国内では伝統的に旧宗主国であるロシアに対する反発が強く、日本にロシア語由来の「グルジア」から英語由来の「ジョージア」へ呼称を変更するように働きかけて来たのもその一環と見られています。もっとも、日本で「ジョージア」と言うと米国のジョージア州の方がイメージされることが多いので、混同を招かないように呼称変更を周知する必要がありそうです。ちなみに、缶コーヒーの『GEORGIA』は製造元のコカ・コーラ本社が米国ジョージア州のアトランタにあることが名称の由来となっています。

類似の事例としては1989年に当時のビルマが「自国語を基にした国名に変更する」としてミャンマーへ改名し、日本政府もこれに応じていますが米国を始め同国の軍事政権に批判的な国や非政府組織は現在も旧国名を基にした”Burma”を使用しています。ただ、ミャンマーの場合は改名された後も公用語の名称は「ミャンマー語」と呼ばれることは余りなく従来通り「ビルマ語」と呼ばれています。同じようにイランの公用語も旧国名を基に「ペルシャ語」と呼ばれているので、グルジアの場合も日本語の呼称が「ジョージア」に変更されても「ジョージア語」でなく「グルジア語」と呼ばれ続ける可能性もあります。

ミャンマーの場合は対外的な呼称に限らず自国の呼称変更でしたが、今回のグルジアと同じように日本語の呼称変更が提案された事例としては駐日オーストリア大使館が提唱した「オーストリー」があります。オーストリアは日本に限らず世界各国で南半球のオーストラリアと混同されることが多く、東京都港区元麻布にあるオーストリア大使館には港区三田にあるオーストラリア大使館への道順を案内する看板が掲示されていることがそれを物語っていますが、そのことに業を煮やしたのか2006年に大使館のサイトで突然「オーストリー」への日本語呼称変更が提案されました。その理由として、19世紀から20世紀半ばまでは日本で「オウストリ」表記が主に使用されていたことなどが掲げられていましたが同国政府から日本政府に対して外交ルートを通じた正式な呼称変更の要請はなく、現在は大使館のサイトでも「オーストリア」表記しか見当たらなくなっているので「オーストリー」への変更提案は半ば自然消滅した形になっているようです。

画像:在日グルジア大使館

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