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カイネの誕生は「男性のヒロインを入れて☆」と言う要望から 『ニーア レプリカント・ゲシュタルト』の横尾ディレクターにインタビュー!(前編)

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スクウェア・エニックスから4月22日に発売された『ニーア レプリカント(PS3)』と『ニーア ゲシュタルト(Xbox 360)』。ゴールデンウィーク前ということもあり店頭では品薄状態が続き入手困難となった。これらがネット上でも話題になったことは記憶に新しいだろう。さらにゲーム発売日前日に発売されたサウンドトラックも売り切れ、アマゾンでは2週間待ちとなっていた。ミュージック総合ランキングでも5位にランクインする程売れておりゲームだけでなく音楽の方も注目を浴びている様だ。そんな『ニーア』を製作したキャビアのディレクターである横尾太郎氏にガジェット通信がインタビューを行った。『ニーア』を愛するが故に実現された今回の企画。ニーア好きは是非読んで欲しいインタビューだ。

なお今回のインタビューは長くなったため前編と後編に分けてお届けする。

-企画の始まり 「プロデューサーの意見を聞かなかったから出来た作品」
記者 企画の始まりを教えてください。
横尾 『ドラッグ オン ドラグーン』でお世話になったスクウェア・エニックスさんに「新しい企画どうでしょう?」と持って行ったのが最初です。最初は比較的こぢんまりした提案だったんですが、スクエニの齊藤プロデューサーに「しっかりしたRPGを作ろう」と言われて今回のような作品になりました。
記者 提案した物は違ったんですか?
横尾 最初は簡単に作れそうなシンプルなゲームでした。それに対して「派手なRPGを作って大作感を出そう」と言われまして。それで街やNPCをガーッと増やしたんですが、それからしばらくして齊藤プロデューサーが「バリバリのアクションゲームにして欲しい」って言ってきたんですね。それを聞いた時は「コロコロ意見が変わる人だなあ」と思って、またどうせ変わるだろうし最初のRPGっぽい感じで作っていました。ところが齊藤プロデューサーはそこから最後まで意見が変わらなくて(笑)。ニーアに経験値や街が残ってるのは、そうした経緯ですね。

記者 ではプロデューサーの話を聞いて無かったがためにこのゲームが出来たと。
横尾 あの時、齊藤プロデューサーの意見を汲み取っていたらもっとアクション寄りのゲームにはなっていたと思います。ただ、どのみち僕はあまり真面目に人の話を聞くタイプでは無いので、バリバリのアクションにはなっていないと思いますが。

記者 『ニーア レプリカント』『ニーア ゲシュタルト』どちらを先に制作したのですか?
横尾 企画提案は兄妹のレプリカントベースでした。ただ、かなり初期の段階で親子(ゲシュタルト)のアイデアが入っています。ニーアはマルチプラットフォームですが、制作は『Xbox 360』から開始された為、開発期間の多くは「親子」で作られています。ですから開発中に初めて『PS3』で兄を操作した時はとても違和感がありました。すぐに慣れましたけど。

記者 制作にはどのくらいの期間が掛かっているんですか?
横尾 企画提案からだと3年。実際の制作は2年半くらいです。

記者 制作にはどのくらいの人数が関わったのですか?
横尾 キャビア社内では最小時で20人、最大時で50人と言ったところです。それにプラスしてあとは協力会社さんと進めさせていただきました。現世代機のRPGとしてはチームの人数は少ない方だと思います。

記者 続編やキャラクターのスピンアウト作品の予定は? カイネが主人公の作品をプレイしたいとネット上で要望が挙がっているようなのですが。
横尾 我々は作りたいですね。要望については是非スクウェア・エニックスさんにお願いします!

記者 難易度なんですけど、かなり詰まりかけたんですよ。薬草の制限が10個というのがキツかった。
横尾 申し訳ありません。ボス戦が難しいという声をいただいています。一方で簡単過ぎるという声もあって……かなりアクション寄りのRPGですので、ユーザーさんによってはアンバランスな形になってしまいました。イージーだと死んだ後に体力が回復するので、そちらでゴリ押しをしていただければと思います。

-カイネがフタナリの理由 女性社員が「男性のヒロインを入れろ!」という要望を……
記者 カイネは何故フタナリキャラに?
横尾 開発チーム内の女性社員が「男性のヒロインを入れろ!」と言い出しまして、それをモニャモニャしているうちにこうなりました。

記者 カイネのセリフに「ピー」と放送禁止用語みたいなのが入りますが、あれってゲームでも必要なんですか? 自主規制なんで必要無いと思うんですが。
横尾 あれはあえて入れています。『ドラッグ オン ドラグーン』の開発時に規制の修正が多々あったので、先に伏せておけばいついかなる時も大丈夫かなと(笑)。あとピー音がなるPRGは今まで見たことが無いのでやってみたかったというのもあります。

記者 ゲシュタルトには「ピー」が無いようなのですが。
横尾 英語版は「ピー」って入るとコメディみたいでおかしいと言われたんです。日本でもコメディみたいではあるんですが。

記者 声優さんが声を入れる際には実際に言って貰ってるんですよね?
横尾 もちろん声優さんにはピー音部分は本当に喋って貰っています。長さが取れませんので。

記者 ゲシュタルトだとポポルが「アン」って言うんですけどそれが色っぽくて。レプリカントだと「あら」なのですが。
横尾 その部分は会話の冒頭の音声だけあって、残りはノンボイスのテキストですね。「えーと」とか「あら」に該当する英語がそういう音声になっているんだと思います。そうしたタイプの冒頭台詞は汎用的なものにしなくてはいけないので、選定には苦労しました。

-図書館のはしごは外すことができなかった
記者 ワールドマップは東京湾なんですか? 似てますが。
横尾 あれは東京のどこかということになってます。日本が水没したり地殻変動して地形が変わったらこうなるんじゃないか?という感じで作りました。ちなみに別のリージョンでは場所は違う設定です。ちなみに海外版では東京タワーは出てきません。発売地域によって異なり、「東京タワー」「エンパイアステートビル」「ビッグベン」「ドイツテレビ塔」「エッフェル塔」などが出てきます。

記者 ジャンプしたりして、行けないところに行けるんじゃないかって試してるんです。
横尾 発売後にデバッグするのはやめてください(笑)

記者 街の高台の更に上にも行けるんじゃないかって探し回りましたよ。
横尾 でも、そうやって隅っこの方まで楽しんで頂けるのは開発としては嬉しいです。

記者 図書館の本も読めるんじゃないかって一個一個調べましたからね。
横尾 いやいや、無いです! 調べられるときはマーカーがちゃんとでます。

記者 図書館のハシゴが使えないのは罠ですか? あれって登れるって思っちゃったんですが。
横尾 あれは「登れるように見えるから外して」って言われたんですけど、言われたときには間に合わない状況だったのでそのままにしました……。

記者 本とか一個くらい取れたり隠し部屋があったら良かったですね。ファイナルファンタジーみたいに「エッチな本」みたいな。
横尾 そこまで手が回らなかったです。ただ、ポポルの部屋の向かいに謎の彫像置き場を作っています。そちらを見てイロイロ思いを馳せていただければ。
記者 レプリカントとゲシュタルト、どっちが好きなんですか?
横尾 個人的な感想ですが、『Twitter』などを見ていると若い女性ユーザーさんはレプリカントを選ぶ傾向があるように思います。若くてイケメンだからという事もあると思いますけど、そもそもスクエニさんのRPGを好きなユーザーさんはレプリカントを好む気がしますね。

記者 レプリカントもゲシュタルトも両方遊んだ方が良いですか?
横尾 個人的な想定として片方遊んだら十分かなと。ほぼ一緒なので。

-先が読めないようにいろんな要素を入れた
記者 いろんな要素を入れたのは何故?
横尾 最近、色んなゲームでそうなんですが、最初の30分をプレイすると残りの10時間とかが想像出来てしまいます。大体、ザコ戦がこのぐらいで、ボスが何体で、とか。そうなるとモチベーションが下がってしまうんですね。ゲーム業界に長く居るせいか年をとったせいかよくわかりませんが、そういう気分になる事が多くて。じゃあクルクルと体験が変化するようなゲームはどうだろうか? という観点から様々な要素を入れてみました。

記者 突然サウンドノベルが始まりますしね。これはサウンドノベルのオマージュですか? 『ロストオデッセイ』かと思いましたが。
横尾 サウンドノベルや、テキストアドベンチャーと呼ばれるもの全体ですね。ちなみに、ノベル部分は「夢の中」という設定です。

記者 このゲーム本当に良いゲームだから本当に沢山の人に遊んで欲しいけど、どういうゲームか説明が難しいですね。
横尾 そのあたりは問題ですね。ズルズルとゲームが変化するので色んなモノに似ているくせに「○○っぽい」という言い方がしづらくなってしまいました。強いて言えば「ゼルダの伝説」でしょうか。それで弾を沢山撃ってくる。さらにパズル要素をさし引いて、グラフィックをもっとシリアスにしたような……もはや全然違うゲームですね。

記者 何周も遊べるような作りにしたのは何故ですか?
横尾 制作チームの規模的に「通常のRPG」で要求されるような広大なマップを作るよりも、周回プレイでプレイボリュームを稼ぐ為にデザインすべきと判断しました。「前編」「後編」「後編でマモノボイス有り」という3種類をステージに対して用意する事で3回遊ばせようと。よく「何故途中から周回スタートにしたのか?」と聞かれるんですが、こうした理由で「3回マップを遊ばせる」という点から来ています。

記者 あとMMORPGにもなりそうですね。少し手を加えたら『ニーア オンライン』とかも出来そう。
横尾 フィールドとかちょっとそれっぽいですね。でもそんなノウハウは無いですし、簡単にはMMOにはならないですね。

-黒の手は『ベヨネッタ』じゃなく偶然です
記者 黒の手が『ベヨネッタ』に似ているのは何故?
横尾 あれは偶然です。『ベヨネッタ』発表前から作っていたら似たような魔法が出ててビックリしました。

-透明感のある音楽に聴き入ってしまう サントラがアマゾンでも音楽総合5位
記者 このゲームの音楽ってかなり凝っていると言うか、聞き入ってしまうんですが。
横尾 音楽の再生は工夫しています。様々なトラックがオン・オフされたりローディング画面でも曲が途切れないようにしたり。スタート後の村では、噴水の近くに行くと村の曲に合わせてデボルが歌を歌うような仕組みも入れています。

記者 歌詞は造語ですよね。この歌詞の意味ってわかります?
横尾 造語は歌い手のエミ・エヴァンスさんが作詞されました。開発からキーワードを渡しただけで、細かい部分にどういう意味があるのか僕も知りません(笑)。

記者 歌詞はどのように書かれているのですか?
横尾 エミさんは何カ国語か話す事が出来る方で、そうした素養をベースにいろんな言葉を交ぜて歌詞にして頂きました。

記者 サウンドトラックCDの売り上げもかなり好調な様で。
横尾 おかげさまでアマゾンでも2週間待ちとなってしまいまして……(アマゾンミュージック総合で8位 前日は5位)。ありがたい限りです。

記者 仮面の街の言葉が日本語に聞こえるんですが。
横尾 仮面の街の言葉は日本語がベースですね。専用の自動変換ツールを作ってるんですが、時々日本語が交じってます。あれは多分バグだと思うのですが、面白いのでそのまま残しました。

と、前半はここまでだ。ニーアの製作期間から製作人数、そしてカイネに関することまで聞き出すことができた。ガジェット通信にて4時間ほどインタビューして、中には公開出来ない面白い話まで飛び出た。今回の企画はこのゲームに心底惚れたからこそ実現できたインタビューなのである。スクウェア・エニックスおよびキャビアの皆様に本当に感謝したい。みなさんも今回の記事を読んで更に興味を持って頂ければとそういう思い出決行したインタビューだ。また文中にあったゲームに対する要望はキャビアではなく、スクウェア・エニックス側に出して欲しいとのことだ。カイネのスピンアウト作品、ダウンロードコンテンツの追加なども要望を出せば通るかもしれないぞ。まだ『ニーア』を遊んでいない人はゲームショップに行って早速遊んで頂ければと思う。

気になる後半はネット上で噂されるゲーム中のパロディ要素の真相やネットユーザーからの質問、そしてヨナの日記の秘密が明らかになる。後半は近日公開なのでガジェット通信のRSSフィード、もしくは『Twitter』を登録して更新情報を確認しよう。

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