spamを見て思ったこと

おごちゃんの雑文

ブロックしても毎日届くspamメール。どれだけの人がひっかかっているのだろう。その先のことを考えたことがありませんでした。今回はおごちゃんさんのブログ『おごちゃんの雑文』からご寄稿いただきました。

spamを見て思ったこと
最近は日本語のspamが多く、そのほとんどがありもしない無料出会い系サイトの「逆援助交際」の宣伝とか、荒唐無稽(こうとうむけい)な「情報商材」の宣伝だ。

当然そんなものにだまされる奴なんていない気がするんだけど、いまだ続くということは、だまされている奴がいていい商売になってるということだ。これ、良く考えたら、“だまされる奴が悪い”で済まないんじゃないか?

かつて、普通の風俗の広告は夢と称するウソを振りまくものであって、その“ウソ”にうまく乗ることそれ自体を遊戯を思えば、とりあえずは無価値ではなかった。「新人美少女ばかり」とか書いてあって、その実“風俗ズレのデブス”であっても、それはまぁ「ごあいきょう」と思うのが“大人の遊戯”であった。だから、いくら“夢と称するウソ”が満載であっても、情報量は0ではなかった。

しかし、最近の“無料出会い系サイト”の「逆援助交際」の類は、見事に100%ウソである。メールの相手は女ですらないキモヲタのバイトらしいし、「逆援助交際を求めるセレブ」なんてのは、あくまでも“設定上”でしかない。それどころか、そーゆー“架空の出会いサイト”すらなかったりする。リアルなものや、リアルなものとの接点は皆無であるから、情報量は0でしかない。

なんてことは、それなりの判断力を持っている人ならすぐわかる。仮に最初のいくつかでだまされかけても、すぐに「おかしい」と気がつくはずだ。ところが、そういったメールは飽きもしないで毎日ドンドコやって来る。

この手のメールの“打率”は非常に低く、100万通のオーダで出しても、数10人くらいがひっかかる程度らしい。つまり、打率は1/10万くらいなのだ。それでもペイするどころか大もうけらしいから、やめられないのだろう。

これはつまり、こーゆーのにひっかかるのは“10万人に1人”という超ド級のバカだということだ。果してその“超ド級のバカ”とはどんな人なのだろうかと、妄想してみる。

この“妄想”をしかけてふと思ったのが、これにひっかかるのは実は“10万人に1人の超ド級のバカ”ではなくて、“正常な判断力を持たない人”ではないかということだ。つまり、だまされているのは、本来なら被後見人になるべき人ではないかと。

これが、もっと打率が高いものであれば、「だまされるバカがいるねぇ」という程度のことであるが、ここまで打率が低いとなると、“バカ”ではなく、“本来は保護されているべき人”がだまされているのではないかという気がして来るのだ。“10万人に1人の超ド級バカ”ではなくて、“10万人に1人の被後見人候補でありながらとりあえず通常の生活ができているボーダーライン上の人”と考える方がすっきりして来る。

“被後見人”の候補であっても、定職に就き自活をしていれば、当然ながら“被後見人”にはならない。普段の生活をする分には十分であるから、その必要もないし、そんなことをしないのが“自立”だ。

私はいわゆる“気違いの野放し(潜在的加害性のある精神障害者の放置)”には賛成しないが、こういった“危険もなく頑張ればちゃんと社会参加できる”という人達は、ちゃんと社会で生活するべきだと思うし、それが社会の到達点の一つだと思っている。本当は前者も社会に存在できるのがいいとは思うが、残念ながらそこへのハードルは高過ぎる。

とは言え、少なくとも今のところ、そんな人達が就くことの出来る職は、そんなに給料が良くないものがほとんどだ。だからおそらくは、万年ぴーぴー状態だろう。そこに「あなたとの交際のために○百万円用意しました」「養わせて下さい」なんてメールが来たら、釣られてしまってもおかしくない。普段の生活をするには十分な判断力があっても、そーゆー非常識なことを判断する訓練や想像力が欠如していてもおかしくない。そういった“ギリギリ普通の社会生活のできるボーダーライン上の人”あたりが、かなりカモられているのではないだろうか? ある意味、“リフォーム商法”の儀牲者と同じ構図である。

となると、件のspamはこういった“ボーダーライン上の人”をカモっているということになり、この人達の、自立や社会参加の機会を奪うということになっているのということになる。そうなると、「spamにだまされる奴がバカ」という単純な話ではなくなる。

執筆: この記事はおごちゃんさんのブログ『おごちゃんの雑文』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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