他人の写真を無断盗用し公開「謝罪いたしました」とするも腑(ふ)に落ちず

genso

東京幻想というグラフィックスの活動グループがある。「東京幻想は日常の風景を幻想化するプロジェクトです」と公式ブログにも書いてある通り、殺伐とした東京の風景を幻想的な風景画にアレンジするのがメインの活動のようだ。いくつか作品を見てみると、さすがプロといった具合で東京の街がファンタジーの世界になっている。その道ではかなり定評のあるグループといえよう。

しかし、この東京幻想の写真盗用疑惑が浮上。インターネット上に公開されているプロのクリエイター・元田久治さんが撮影した写真を無断でトレース(写し描き)し、東京幻想のオリジナルとして作品を公開したというのだ。つまり、東京幻想のクリエイターが元田久治さんの写真を写し描きして絵を完成させたにもかかわらず、元田久治さんには何ひとつ連絡を取らなかったのである。

この騒動がまとめられた『気になった事まとめ 東京幻想 盗用写真使用事件』によると、「原爆ドームの写真に直接加工を施した画像がPixivで公開される。加工をした東京幻想は撮影者の許可を取っておらず、更に撮影者が焼き込んであった著作権者を示すエンボス加工での表示が意図的に削除されていた」とされている。著作権者が誰であるか判別するエンボス加工の文字は、東京幻想によって意図的に消された可能性が高い。なぜならば、正式に東京幻想が公式ブログ『東京幻想official blog』で問題の解決報告をしたからだ。つまり事実上、盗用を認めたことになる。

<問題解決のご報告>
「お久しぶりです。大変長らくお待たせしました。問題解決のご報告です。◆HIROSHIMA 幻想 ◆都庁幻想 ◆アキバ幻想 以上の3作品に関しまして、元画像を所持されている方々に直接謝罪いたしました。そして、「アキバ幻想」については、今後、作品掲載時にはクレジットを明記する事など、その他の契約も含めて交わした上で、作品としてこれからも生き続ける事が出来ました。東京幻想にとって「アキバ幻想」はとても大切な作品ですので、ほんとうによかったです。自分にとっても、いろいろ初めての事が多く、時間がかかってしまい申し訳ありませんでした。今回の件を通して、大変多くの事を学ぶ事が出来ました。これからも気持ちを新たに、作品制作に取り組んでまいりますのでどうぞよろしくお願いします」
(ブログより引用 / 句読点のみ編集部が追加 / http://tokyogenso.exblog.jp/ )

「問題が解決した」としているが、この解決報告、どこか腑(ふ)に落ちない部分がある。この文章内に、1文字も元田久治さんや関係者に対する謝罪の言葉がないのだ。謝罪がないかわりに、無断使用した写真で描いた絵が今後も掲載できるという喜びの報告をしている。そう、この解決報告を読んでも反省しているようにはまったく思えないのである。

確かに、当事者同士で謝罪の言葉や今後の契約などの話しがあっただろうし、東京幻想の描いた素晴らしい絵が今後も掲載され続けることは嬉しいことだ。だが、この解決報告の文からは「謝罪」や「反省」というよりも東京幻想の「プライドやメンツを保ちたい」という思いが見え隠れするのだが、皆さんはどうお思いだろうか?

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