伝説の勇者を救え! リアルRPG『ひきこもり勇者と4つの扉』に参加してきた

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「このマンガミュージアムの奥に住む、京都を守る“伝説の勇者”がひきこもっているので、最近の京都では悲しいことが起きています。どうか、みなさんの力で勇者を助けてあげてください」。“宿屋”でパーティを組んだ私たち4人は、館内に隠れている“勇者”を探しに旅に出た――あの『リアル脱出ゲーム』の『SCRAP』が手がける、初の“リアルRPG”イベント『ひきこもり勇者と4つの扉』に参加してきました(すべての写真付き記事はこちら)。

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冒険のスタート地点は“宿屋”から。まず、ここで冒険を共にする4人のパーティを組み、パーティ内で“魔法使い”“戦士”“盗賊”“漫画家”の役を割り振ります。参加時に4人のメンバーがそろっていなくても大丈夫。宿屋で仲間を見つけてパーティを組むこともできます。メンバーがそろったら、宿屋から『アドベンチャーシート』と『魔法の地図』をもらって冒険にいざ出発です。

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「元気がなく思い悩んでひきこもっている」勇者に会いに行くには、閉ざされた4つの扉を守る門番のモンスターたちと戦い、扉を開く6種類の『紋章』を手に入れなければいけません。第一の扉には土と岩で作られたモンスター・ゴーレム、第二の扉には火の精霊・サラマンダー、第三の扉には地獄の番人で三頭犬のケルペロス、第四の扉には最強の門番・ドラゴンが待ちかまえています。ちなみに、モンスターは「人間界で生活する勇者を守るために」人の形に姿を変えていました。

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まずは『アドベンチャーシート』を手がかりに4人で力をあわせて、広い館内に隠された謎を一つひとつクリアして戦闘に必要なアイテムをゲット。モンスターたちと戦い『紋章』を集めていきます。あまりにも強いモンスターにやっつけられてしまったり、謎が解けなくて困ったときは宿屋に戻って相談です。ヒントは最大3回まで出してもらえます。

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今回のリアルRPGは、マンガミュージアムという舞台を生かして、アイテムとしてマンガが使われていました。第四の門番・ドラゴンとの戦いでは「地球を救えるレベルの必殺技」を見つけるために、今まで読んだマンガのなかから最高の“必殺技”を思い出し、マンガミュージアムの中を探し回ることになりました。選んだ“必殺技”は、“漫画家”がマンガに描かれている通りに実演することでドラゴンを倒す“ヒッサツワザ”として発動します。

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冒険が進むにつれて、だんだんよみがえってくるのは子どもの頃の“ごっこ遊び”の感覚です。だれだって、好きなマンガやアニメの主人公になりきって、敵と戦ったり冒険したこと、ありますよね? 想像の世界でなら、いつまでも自由に冒険の旅に出ることができるんです。とはいえ、大人はたまにちょっと照れたちゃうこともありますので、そういうときはモンスターや宿屋の人たちがさりげなく想像の世界へと引き戻すべく手を引いてくれました。

ドラゴンの扉の前で待っている間、手にしたマンガを思わず読み始めてしまう人も続出。しばし、マンガネタで各パーティが盛り上がる時間にもなっていました。ドラゴンとの戦闘が終わった後、小さい子どもに「なぁ、モンスターってまた人間なん?」と聞かれたので、「今回はめちゃくちゃヤバイよ」と答えてちょっとビビらせてしまいました。ごめんなさい。

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さて、すべての謎がクリアできたら、いよいよ“勇者”が引きこもっている部屋の扉が開きます。ドーンと広い和室の真ん中でマンガの山に埋もれている勇者を元気付けるために私たちが用意したものは、やはりマンガです。それぞれが館内の本棚から勇者を励ましたいという思いで選んだマンガを使って、「このマンガを読んで元気になって欲しい」と説得しました。「なるほど、それなら僕もがんばれるかも」言ってくれた勇者、きっと今頃は京都を守るためにまた立ち上がってくれたにちがいありません。

イベントが行われたのは6月27日(土)と28日(日)、小学生から年配の人まで老若男女515名が“冒険”を楽しみました。今回のイベントのために、『SCRAP』では約4ヶ月の時間をかけて、TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)の手法を元にして戦闘方法を検討。ゲーム会社の人に相談しながらゲームバランスを考え、試行錯誤を繰り返しながら作り上げていったそうです。

「スタッフの子どもの頃からの夢を実現させたイベントの第一歩。やっぱり冒険は自分でやりたいですよね」と『SCRAP』のディレクター・藤田珠美さん。初めてのリアルRPGイベントでしたが、ゲームの内容はもちろん、「マンガを選ぶ」「マンガで想像する」という参加者のクリエイティビティを引き出す場面を設定するなどのシカケ作りも鮮やかでした。

実は、『京都国際マンガミュージアム』の建物は、明治2年(1869)創立の元『龍池小学校』の跡地。小学校時代の雰囲気が残る建物のなかでゲームをしていると「小学校の休み時間に廊下で遊んでいる」ような気分になれて、今回の企画にピッタリでした。帰る時に渡された小さな紙には「次回『わんぱく魔王と泣きむし勇者(仮)』でお会いしましょう」と書かれていましたが、下の方には「次が本当にあるといいですね」との小さな小さな文字が。いやいや、冒険はまだ始まったばかり。次なる展開を期待したいと思います。

■SCRAP
http://www.scrapmagazine.com/
京都を中心にフリーペーパー『SCRAP』の発行、イベントの企画・プロデュースなどを行う人たち。京都で5回、大阪で3回、東京で1回行われた『リアル脱出ゲーム』のほか、くるりの『京都音楽博覧会』とコラボレーションする『京都1000人の宝探し大会』など、大中小の“あそびイベント”を多数手がけている。

ボードゲームとタイ料理の宴
http://www.scrapmagazine.com/wps/archives/1885.html
最先端のゲームにちょっとだけ疲れちゃったファミコン世代のみなさんに送る、激烈においしいタイ料理とともにボードゲームを一緒に楽しめる桃源郷的システム。仕事帰りにちょっとおしゃれな夜をどうぞ。2009年7月10日(金)18時から、京都北山CHang Noiにて。入場料1500円(+1オーダー)。

びゃーっとコトバつなぎBAR「オレさ、もしかしたらお前の兄かもしれない」
http://www.scrapmagazine.com/wps/archives/2235.html
『ピュ―と吹く!ジャガー(うすた京介、集英社ジャンプコミックス)』5巻、第101笛で登場した“言葉あそび”をほんとにやっちゃおうというイベント。2009年7月26日(日)18時オープン、19時スタート。BAR私立探偵(京都)にて。前売り1500円、当日1800円(+1オーダー)。

■京都国際マンガミュージアム
http://www.kyotomm.jp
京都市と京都精華大学が協同で開設した日本初のマンガ博物館・図書館。所蔵マンガ資料30万点以上、開架で自由に読めるマンガは5万冊以上も。開館時間は10時~18時(7~9月は20時まで開館、入館は閉館の30分前まで)、水曜・年末年始休。入館料は大人500円、中高生300円、小学生100円。

特別展『妖怪天国ニッポン――絵巻からマンガまで』
江戸時代の妖怪画資料や、現代の妖怪マンガ資料、『妖怪張り子』『人魚のミイラ』など妖怪資料なども展示。暑い真夏の京都を忘れて心の底から涼しくなれそうな特別展は、2009年7月11日(土)~8月31日(月)まで開催(会期中は無休で開館)。観覧料は大人1000円、中高生500円、小学生200円(ミュージアム入館料含む)。
 
 
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Kyoko Sugimoto

京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。

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