ガジェ通日誌「日本のジャーナリズムは警察のポチか……警視庁に言われたことを調べもせずにそのまま書く新聞に失笑」

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ウロウロしていたマスコミの人

新聞各紙がネット報道の後追い…しかも3ヶ月遅れのポチジャーナリズム

カゼで寝込んでたら「なんかマスコミがガジェ通編集部の周りをウロウロしてるよ」と編集部から連絡がきたので、なんじゃそれと思ってニュースサイトやらを眺めて爆笑。産経の朝刊一面に「2ちゃんねる捜査」の件が掲載されたそうだ。おせーよ。そしてそれを見た他のマスコミが例のごとく一斉に横並び報道を開始したらしい。そもそも捜査の件が雑誌やネットで報道されていたのは昨年の11月。今はもう3月なので、3ヶ月以上も前のニュースを今更記事にしているわけだ。しかも意気揚々と朝刊の一面トップに掲載。情報が遅いにも程があるし、新しい情報も特に無い。しかも産経だけ抜いたということは、警視庁側の公式発表ではない。まぁ、要するに警視庁側が新聞に書かせたということなんでしょう。そうでもない限り、ネットや雑誌から遅れをとること3ヶ月の古いネタを朝刊一面に掲載なんかしない。そもそも日本にジャーナリズムって存在するんだろうかと常々疑問に思っていたが、とりあえず新聞ってのは本当に薄っぺらな存在になってしまったんだなぁと実感。子供の頃、新聞てのは賢くて偉い人が書いてるものだと思って読んでたけど、長い年月を経て劣化してしまい、遂にはネットの後追い報道をやるようになってしまった。

しかも警察からの情報提供だからってスクープよろしくこんな古いネタをご丁寧にトップに載せるなんてレベルが低い。だいたい、こんなものにお金を払って読んでいる人がまだいるということが信じられない。新聞なんて今すぐ解約してスマホかタブレットでも契約しに行った方がいい。そうすりゃ新聞記事だって無料で最新の記事を読めるし断然賢い「選択」だろう。

そしてテレビも……報じてみたものの既にネタ切れ

新聞だけかと思ったら、なんとテレビも横並びで取材をはじめたらしく、ガジェ通編集部のビルの窓を遠方から狙って撮った映像をNHKがニュースで流しだす始末。次々に報道関係者がコメントくれと言って編集部にやってくる。今更何を言えというのだろう。ちなみに取材に来てたのは「警視庁記者クラブ」所属媒体の人たち。警視庁サイドからガジェ通に関しては昨年の時点でシロだと言われてるのだが、そんなことも調べずにきたのだろうか。他社横並びで勢い良く報道はしてみたものの、実のところさっぱりネタがないので困っているのだろう。しょうがないので、ガジェ通が入っているビルの周りをウロウロしたり、映像撮影してたのだが、飽きたのかいつのまにやら居なくなっていた。

まぁしかし、警察はなんでこんなネタを仕込んだんだろうと疑問に思ったので、以前ガジェ通に来た警視庁の中の人に電話(結構いい人)。なんで産経にペラったんですか、と率直にきくと、今回は広報にまわってくれといつもと違う雰囲気。2ちゃんねる捜査関連では、強制捜査前に捜査情報が「週刊朝日」に漏れるという情報漏洩問題が昨年起きている。いやいや、産経朝刊一面に捜査のニュース載ってましたよ、意図的に産経にしゃべったから載ってるんでしょ? ときくと、「新聞が取材にきたから答えただけでしょう」。いやいや、何も無いのに当てずっぽうで取材になんか行かないでしょう。しかも「スクープ!」みたいな勢いで何ヶ月も前の古〜いネタを載せるなんて、ありえないですよ、とかなんとか話をしてたのですが、なしのつぶて。広報から行けば、警視庁の中の上の人が取材を受ける可能性はある、と言ってましたが本当かな。今度行ってみよう。とりあえず、目新しい情報はなかったので、次にコメンテーターの井上トシユキ氏に電話。なんで今頃こんな情報リークがおこなわれたのかきいてみる。「なんで今か、と言われるとわからんですが、新しく就任した警視総監が2ちゃんねるはけしからんとおっしゃっているときいてます。SNSサイトなども売買春や違法薬物売買の温床になっているとされていますし、それらに対する警告の意味があるのではないでしょうか」――なるほど。ともあれ、こういうメディアリークが続いた後に逮捕というのはひとつのパターンのようだ。ということは誰かを逮捕するための地ならしのようなもんなのかな。まぁ、警視庁の意図はそうかもしれないけど、そんじゃ、それに乗っかって動いている新聞・テレビって一体なんなんだろう。そんなんがジャーナリズムなら、もうほんと、ジャーナリズムなんて要らない。

ちゅ、中南米にサーバー??――読売新聞が誤報

そして翌日、今度は読売新聞がやらかしてた。2ちゃんねるのサーバーが中南米にあった、と意気揚々と書いている。そもそもそんな話きいたことないし、詳しい人なら、そんな判断はあり得ないだろうということは容易にわかるはずだ。中南米にサーバー移して一体何のメリットがあるんだ。わかる人は教えて欲しい。読売新聞が、警視庁にリークされたことを、調べもせずにそのまま書くからこういうことになるんだろう。新聞はもう少し頭を使ったり、取材とかしてみたらどうなんだろう。なぜ警視庁が数ある情報の中からそこだけリークしたのか――しかもよく精査されてもないその情報を何故あせって使う必要があったのか。その意図を分析するぐらいのことはやって欲しいものだ。昭和の香りがプンプンするこのやり方、そろそろ現場の人もおかしいと気づいてるんでしょうし、この際やめてみたらどうなんでしょうね。(たぶん、つづく)

「2ちゃんねる」サーバー、米や中南米など転々 : (読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120308-OYT1T00007.htm

関連)
【警視庁 VS 週刊朝日】警視庁からの捜査情報漏洩問題「事前に捜査情報をキャッチしていたのは事実」 – ガジェット通信
https://getnews.jp/archives/167220

警視庁がまた捜査情報漏洩
https://getnews.jp/archives/158069

警視庁の人によれば週刊朝日の内容はデタラメで記事は捏造
https://getnews.jp/archives/162333

朝日新聞出版と警視庁による2ちゃんねる捜査情報漏洩の件について
https://getnews.jp/archives/163613

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深水英一郎(ふかみん)

深水英一郎(ふかみん)

トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。

ウェブサイト: http://getnews.jp/

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