東京メトロ、有楽町線・南北線の延伸工事に着手へ!約20分の豊洲―住吉間が約9分に短縮、さらに品川には地下鉄駅が誕生!詳しく解説

東京メトロ、有楽町線・南北線の延伸工事に着工へ!豊洲-住吉まで約20分から約9分のアクセス時間短縮、更に品川には地下鉄駅が誕生!?詳しく解説

東京地下鉄(以下、東京メトロ)は、有楽町線(豊洲・住吉間)と南北線(品川・白金高輪間)の延伸工事に着手したと発表した。東京都による両線延伸の都市計画決定が、告示されたことを受けたものだ。開業は2030年代半ばを予定している。どういったルートになるのか、延伸計画について詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)ついに始動/東京メトロ

東京メトロの新線プロジェクトは2008年開業の副都心線以来

東京メトロは、民営化を目的に、2004年に営団地下鉄から衣替えした。その際には、2008年開業の「副都心線」を最後に新線整備は行わない方針だった。

そもそも今回の両線の延伸は、2016年4月に答申された、国の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」で、国際競争力の強化や地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実などに資するとして挙げた、24のプロジェクトのうちの2つだ。

その約5年後の2021年7月に答申された、国の「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」では、東京メトロの役割や株式売却などに言及するとともに、今回の有楽町線の延伸と都心部・品川地下鉄構想(南北線延伸)については、「早期の事業化を図るべき」とされた。

それ以降は事業化が加速し、東京都の都市計画が決定したことを受けて、このたびの着工となった。

出典:東京メトロニュースリリースより転載

出典:東京メトロニュースリリースより転載

紆余曲折があった、江東区を南北に貫く有楽町線の延伸

有楽町線は埼玉県の和光市駅から江東区の新木場駅までを結ぶ路線。和光市駅では東武東上線、新木場駅では京葉線や武蔵野線など、豊洲駅ではゆりかもめといった地下鉄網ではない路線ともつながっており、途中でJRの飯田橋駅や市ヶ谷駅、有楽町駅などへ乗り換えが可能だ。

有楽町線の延伸は、総建設費約2690億円を見込み、豊洲駅で枝分かれして北上し、東西線の東陽町駅を経由して、半蔵門線の住吉駅まで4.8キロメートルをつなぐもの。その途中に千石駅と枝川駅(いずれも仮称)の2駅を新設する。江東区を南北に貫く鉄道網となるため、以前から地元江東区の要望も強かった。

答申で「早期の事業化を図るべき」とされた理由は、国際競争力強化の拠点である臨海部へのアクセス利便性が向上することに加え、東西線や京葉線の混雑緩和にも資すると期待されているからだ。

事業化が遅れた理由は、事業主体となる東京メトロの株式を国と東京都が保有していることにある。採算性の見通せない新たな投資に慎重な国と、豊洲市場への移転などで臨海部を活性化したい東京都の思惑や、東京メトロの株式の売却などがからんで、計画はなかなか進まなかった。

その道筋がついて、2024年5月に東京都の延伸に関する都市計画が、都の都市計画審議会で承認され、同年10月23日には東京メトロが東京証券取引所プライム市場に上場した。こうした流れの中で着工にたどり着いた。

リニア中央新幹線始発の品川に地下鉄駅誕生。南北線延伸で都心部が近くに

南北線は、目黒駅から麻布十番駅や六本木一丁目駅、四ツ谷駅や飯田橋駅を経由して赤羽岩淵駅までを結ぶ路線。目黒駅ではJRに加えて、都営三田線や東急目黒線へ、赤羽岩淵駅では埼玉スタジアム線への乗り換えも可能。

南北線の延伸は、総建設費約1310億円を見込み、白金高輪駅で枝分かれし、品川に新設する地下鉄駅までの2.5キロメートルをつなぐもの。白金台駅の近くを通るが、経由はしない。南北線の延伸計画も、有楽町線の場合と同様の流れの中で進められたが、構想自体は有楽町線の延伸に比べると新しい。

品川駅がリニア中央新幹線の始発駅となることに加え、品川駅周辺では再開発が進み、国際競争力強化が期待されている。その品川と六本木などの都心部へのアクセス利便性の向上が大きなメリットとなる。そのため、計画が着々と進んで、今回の着工となった。

今回の両線の延伸により、都心部への交通アクセスが向上する。巨大な交通網により便利になる期待もある一方、接続駅や新駅周辺の地価などへの影響も想定される。

また、2021年の答申では、「都心部・臨海地域地下鉄構想」についても「事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべき」とされた。ルートは、東京駅(仮称)から新銀座(仮称)、新築地(仮称)、勝どき(仮称)、晴海(仮称)、豊洲市場(仮称)を通って、有明・東京ビックサイト駅(仮称)をつなぐ想定だ。

今回の2路線に加え、臨海地下鉄の3路線が開業されると、臨海部へのアクセスが格段に良くなる。そうなったときに、東京の街はどのように変わっているのだろうか。

●関連サイト
東京メトロ「有楽町線延伸(豊洲・住吉間)及び南北線延伸(品川・白金高輪間)新線プロジェクトがついに始動」
国土交通省「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」(2016年答申)
国土交通省「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」(2021年答申)
東京都「東京メトロ有楽町線の分岐線(豊洲~住吉間)計画及び本線(豊洲駅改良等)計画」
東京都「東京メトロ南北線の分岐線(品川~白金高輪)計画
江東区「地下鉄8号線(有楽町線)の延伸(豊洲~住吉)」

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