選挙直前!山田太郎参議院議員インタビュー(下) 「国会の中に表現の自由を守る勢力を作る必要がある」

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2016年2月に表現の自由を守る党を作り、2016年6月22日に公示される参議院選挙に新党改革から全国比例区に出馬する山田太郎参議院議員へのインタビュー。前半では主に表現の自由を守る活動についてお聞きしました。

※選挙直前!山田太郎参議院議員インタビュー(上) 「表現の自由を守る活動をしてきた人たちにリスクを取っている」
https://getnews.jp/archives/1479277 [リンク]

後半では、みんなの党の解党になり新党改革から選挙に出ることになった経緯や、表現の自由を守る党を結党した意図、そして選挙を戦う上での意気込みについてお聞きしました。

新党改革から出馬するまでの紆余曲折

--今回の参議院議員選挙に、新党改革から比例代表で出馬することになりました。そこ至る経緯についてもお話し頂ければと思います。

山田太郎議員(以下、山田):もともと、みんなの党の比例代表で出ていて、正直解党してなくなっちゃうとは思っていませんでした。日本を元気にする会を作ったのは、みんなの党の政策をそのまま引き継ぐ政党が必要だと思って、基本的には松田(公太)さんをはじめとして作りました。私も政治家、特に比例代表の選出議員ですから、どういう形で有権者に選ばれたかということは重要なので、最後まで本当は日本を元気にする会という枠組みで出馬したかったんですけれど、去年の年末に井上(義行)さんが離党することになって、政党要件が満たせなくなりました。そうすると、比例代表で出られないので「なんとかしなきゃいけない」ということでやってきたのですが、「ちょっと、それはかなわんな」ということになりました。
もう1つ、表現の自由を守る活動、運動というのも全国でやっているので、全国比例というのは前提として考えたかった。そんな中で、第三極ということでは、大阪維新の会が近いところだろうと。大阪維新の参議院のメンバーは、昔から仲よくやってきているので、個別に誘われたことはこれまでもあったんですね。
そんな話をしているうちに、大阪維新からの出馬ということで声をかけていただいて、入党の申込みをしたんですけれども、埼玉選挙区での出馬という話になりました。別に議員を続けたいだけでやるわけじゃなく、表現の自由を守るというのが第一義の1つ、政策的に考えているのであれば、私を選んでくれた、あるいはこれまでずっと言ってきたことを違えてしまいます。それでは大阪維新から出ることは難しいということで辞めました。その時は次が決まっていることはなくて、意志を通したということなんです。
それでも、もう一度、日本を元気にする会の再結成を、最後のギリギリまでずっと模索していたんですが、松田さんが代表を降りるというような状況になって。
同時並行的に、新党改革の荒井(広幸)代表とも話はずっとしてきました。これまで安保法制であれ、あるいは参議院選挙制度改革であれ、脱原発の問題であれ、いくつかの政策で一緒にやってきたこともあるので、もし最後の最後、日本を元気にする会から出るということが難しい状況であればと。そう思っていたので、今回新党改革から公認というか、無所属・推薦ということで出馬することになりました。

表現の自由を守る党結党の理由

--2016年に入って、表現の自由を守る党をお作りになりました。「党」というのが重要なポイントだと思うので、その意図についてもお伺いできればと。

山田:表現の自由を守る党は2月14日のバレンタインデーに結党宣言をしました。もう3年かけて、表現の自由を守る運動をしてきたんですが、例えばみんなの党や日本を元気にする会を経験してきて、支持してくださる方々が「この政策は嫌だけど、この政策はいい」とか、表現の自由を守るところについては支持できるけど、みんなの党の新自由主義的な部分が嫌だとか、いろいろ出るんですよね。
そのときに、シングルイシューで表現の自由を守っていくパーティというかグループは必要だろうということを昔から思っていたんです。逆に言うと、日本を元気にする会のほうが、みんなの党が持っていた政策を継承しつつ、直接民主制をやりましょうということを言ってるんだけど。何をもっと力強く変えていったり、守っていったりするのかということについては、ややメッセージ不足なところがある。
それは悪いことじゃないし、それが日本を元気にする会のスタンスではあるんだけれども。私個人としては、それプラス、表現の自由を守るということについては、もっと強く主張するべきだということがあったので、じゃあバランスを持って、日本を元気にする会にも所属しながら、表現の自由を守るということができるのであれば、それはアリだよねと思って、表現の自由を守る党というのをつくって。しかも「党」にしたのは、いつかこれが、枠組みとしても政党要件を満たして、党になる日も期待して、立ち上げたということでもあります。
一方で、私も所属がちょうど揺れてたところで、「どうするんだ」って言われたんですけど、それ以前に「何をしたい人なの?」っていうものが、あってしかるべきだったと思うので。この表現の自由を守る党という枠組みで、支持者がどんどん増えていけば、当然それを組みたいとか、吸収したいとかという人たちも出てくるのでは、と。ただ、その場合には当然、この表現の自由を守るという政策、公約を丸ごとのんでもらえるというところがあるべきなので、とにかく数というか、結集も力だというふうに思っていたので、そういうグループとして、既存の政党の枠組みにこだわらずに作りました。

--例えば自民党や民進党に入党して、その中で「表現の自由を守っていくんだ」とネゴシエーションして勝ち取っていくという考え方もあったと思うのですが。

山田:正直、いろいろな党から誘われました。去年の年末にガタガタしている時に「うちからはどうだ」と。ただ、選挙に出るっていうのは、次のこともあるんだけど、有権者の洗礼を受けるという色彩もあります。変な話、私が自民党に行っちゃったら、「何なんですか?」っていう人もいると思います。経済政策などは政権与党に近い部分も多いのは確かです。
しかし、表現の自由を守るということを、あくまでも政権党と対峙して、国会で質疑をしてきました。スタイルとしては緊張感のある中でやっていて、まるっとそういうところに入っちゃうということでもないのではないかと考えています。一方で、民進党みたいなパーティとして、もう完全に政権与党と対峙していますよね。もっと別の枠組みでぶつかっちゃっている勢力に入れば、表現の自由を守るというテーマは、どんなに政権から勝ち取ることができる内容があったとしても、逆に話が壊れちゃうと考えています。
私のもう1つのポリシーは「変えてなんぼ」。「変えてなんぼ」は別に政権にすり寄ることでもないわけです。大きい既存政党に入るという選択肢は、たぶんないんだと思うんですよね、「党の中に入って変えればいいじゃないか」って言われるし、それも1つの手段かもしれないけれども、まずこれまでやってきたことのやり方、国会というオープンな場で、世論も巻き込みながらやってきたことの評価は、今回は選挙の洗礼として受けなければいけない。
一方で、これは日本を元気にする会で学んだことでもあるんだけど、党議拘束が大きい政党もあるし、全議員の意見なんか聞いてるわけじゃなくて、政調会とか総務会でやっぱり多くのことが決まっていくという現実の中で、果たして大きい政党の中にいたからといって、自分の意見が通りやすいのかというと、必ずしもそうでない部分もあるだろうと。そういうことも考えて、今のような、どちらかというと自分はミニ政党に所属しつつ、イデオロギッシュにやらずに、結果を勝ち取るようなことを目指す。こういう立場で来たので、当面はそれを変えるつもりはないんです。

--先ほど、表現の自由を守る党をいずれは大きくしていきたいというお話もありました。選挙後にどのようになっていくのか、展望もお聞かせ頂ければと思います。

山田:国会の中に表現の自由を守るという勢力をつくらなきゃいけないので、国政レベルで党としてできた時に、シングルイシューの党に入ってもらうのか、緩やかな関係で協力関係を取っていくのか、まだちょっとわかりません。国会議員と言っても、衆参で717名しかいない中で、誰がどういう考え方を持ってやってくるか、まだわかりませんから。
例えば松浦大悟さんとか、森ゆうこさんとか、そういう人が今回(参院選)出馬しています。そういう人たちが表現の自由を守ってやってきた先輩議員で、松浦さんたちが戻って来られたならば、ある程度連携をするということになるのかもしれないけど、彼ら彼女らにもいろいろな考え方があるから、選挙後じゃないとその枠組みはわからないと思うんですよね。
あと、地方議員もアリだと思っています。青少年育成条例なんかは、都道府県とか基礎自治体によって強弱があるし、中には地方議員のレベルで、こういう問題を取り上げている人もいます。その人たちが地方自治体の条例と戦っているようなことがあるのであれば、連携していくことはあると思います。

選挙を勝ち抜くためには?

--参院選を戦う上で、勝ち抜いて再び国会に戻ってくるために、何が一番必要だと考えていますか?

山田:いや、勝ち抜くも何も、有権者の人たちに支持されなければ、もうしょうがないですよ。必要とされないんだったら、議員になってやっていてもしょうがないし、まあ受からないですよね。
だけど僕が努力するのは、表現の自由を守らなければいけない、守ってもらいたい、あるいは一緒に守りましょうという声はいっぱい届いているけれども、届いてない人たちが、まだいるはずなんですよね。その人たちに、私がこういう活動をやっていて、あるいは一緒にやりましょうと呼びかけるのが私の責任だから、「死んでもそれはやらなくてはいかん」ということで、ネットでもっと拡散してみたり、ネットだけの世界じゃダメだから、全国行脚したり。だからわざわざ、秋葉原に事務所も構えて、伝わるようにこだわってるんです。

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--表現の自由を守るという大切さについて、「届いていない人がまだいるはずだ」というお話しがありましたが、まだ届ききっていないという感覚がおありだということですね。

山田:例えば『さんちゃんねる』(山田議員のニコニコチャンネル)とか、『Twitter』とかやっていると、初見さんだったり、「あっ、こんな人、いたのね」「あらためて知りました」という人が2~3割いるんですよ。まだまだそういう人は多いと思ってるんですよ。それはうれしいことだし、よかったと思ってるんです。同じ人が何回も、ずっとファンで(生放送を)見てくれる人も多いんだけど、それだけだと絶対数が増えないですから。でも、まだまだいるってことだし、足りてないっていうことでしょ、努力が。だから同じことだとしても、繰り返し続けるってことは大事なのかなと考えています。

--しかし、お話しを伺っていて国政選挙に当選するということは大変で重いことなんだと改めて感じました。

山田:選挙が経営と違うなと思うのは、売上が1億でも10億でも、きちっと利益が出て従業員を守っていければ勝ちなんだけれども、例えば変な話、10億きちっと売り上げて、しっかりやっていても評価されないんですよね。

--と、いいますと?

山田:例えば私は票数はそんなにない(2010年の参議院選挙でみんなの党で10位)。だけど、表現の自由を守ってきました。私が自負をしているのは、表現の自由を守る党に現在約21000人のサポーターがいて、これは奇跡的と言われています。というのは、社民党さんは約17000人の党員で、みんなの党も最初は16000人くらいしかいないんです。それでも政党は100万票くらい取っていましたから、それがスライドして私がいけるかどうかはわからないけれど、それくらいの人がいろいろな形にせよ参画してくれたわけです。だけど、数は力になっていますが、選挙制度の中でのルールがあるから、バッジをつけるところまで持っていかなければ負けで、すごく難しいですよね。

--なるほど。比例代表だと政党によっても当選・非当選が違ってきますよね。

山田:これは選挙制度の矛盾もあって、大政党で比例で立ったならば(当選に)十数万票いるし、第三極レベルならば数万で受かっちゃう人もいる。それほど差が出るわけですよ。商売ならば小さかろうと大きかろうと、その枠組みの中でちゃんとやっていれば正しいのだけど、政治だと今回242議席の半分の121の席取りゲームで、しかも比例はその中の48。そこで勝利するための戦略はちゃんと考える必要がある。それも政治のプロとしての私の責任です。
だから、いくつかの要素が掛け算で積み重なっていかないと勝てないのですけれど、やっぱりオーソドックスには、(自分の主張を)届けないとしょうがない。届けて、アクションを起こしてもらうようにして、かつ選挙制度にのっとって、議員になれるように戦略を立てる。もうこれしかないんじゃないですか。

--わかりました。お忙しい中ありがとうございました。

参議院議員 山田太郎 オフィシャルWebサイト
https://taroyamada.jp/ [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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