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生中継の案内役を務めるジョン・カビラに聞く 第88回アカデミー賞授賞式の見どころは?

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2月28日(現地時間)にロサンゼルスのドルビー・シアターにて開催される第88回アカデミー賞授賞式。WOWOWでは、日本時間2月29日(月)午前9時より同時通訳による二か国語放送を独占生中継し、また、同日夜9時からは字幕版、3月5日(土)にはダイジェスト版が放送される。番組の案内役はジョン・カビラさんと高島彩さんが務め、現地からはレッドカーペット・ナビゲーターの武田梨奈さんがその模様をリポートすることになっている。

作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞など、今年も話題の尽きない発表の瞬間を直前に控え、案内役のジョン・カビラさんに今年の注目作や授賞式の楽しみ方を聞いてみた。

【参考記事】第88回アカデミー賞の候補一覧が発表
http://getnews.jp/archives/1348406[リンク]

――アカデミー賞受賞式の中継で案内役を務めて10年目を迎えました。カビラさんが思う授賞式の魅力とは何でしょうか。

カビラ:もう、全てですね。実際にセレモニーが始まる前のレッドカーペットからショーは始まっていますから。女優陣がどんなドレスを身に着けているのか、エスコートするのは誰なのか、候補者たちはどんなコメントをするのか。映像、製作、演者のプロフェッショナルが会場に集結していて、全米、全世界からの注目が集まるイベントです。米国のエンターテインメント界のエッセンスが凝縮されているので、最初から最後まで瞬きせずにチェックして欲しいですね。

――作品賞にノミネートされた8作品の中で、カビラさんが注目している作品を教えてください。

カビラ:米国の情報サイトなどをチェックしていると、『レヴェナント:蘇えりし者』、『スポットライト 世紀のスクープ』、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』の三つ巴と言われていますよね。でも個人的には、主演男優賞も含めてレオナルド・ディカプリオに取らせてあげてください、と思っているので、『レヴェナント:蘇えりし者』でしょうか。そうすると、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の作品が2年連続ということになります(昨年は『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)。もし実現したら、これは歴史的な快挙です。

――『レヴェナント:蘇えりし者』は既にご覧になりましたか?

カビラ:観ちゃいました。凄かったです。鑑賞後はすぐに立ち上がれませんでしたね。究極の生還劇、究極の復讐劇。ネイティブ・アメリカンをどのくらい蹂躙してきたのか、という米国の開拓時代の闇をえぐりつつ、生きることとは何か、人間にとってプライドとは何か、というテーマを鋭く描いています。ディカプリオがあそこまで自分を追い込んで、ネタバレはできないですけど……、実際に生肉を食べちゃうの? って。

――ディカプリオが本来はベジタリアンだというのも凄いですよね(笑)。

カビラ:この環境で生き延びるためにはそこまでするよな、という強烈な意思を感じる映画でした。撮影技術の素晴らしさも相まって、自然の美しさ、厳しさにも圧倒されました。

――『レヴェナント:蘇えりし者』『ブリッジ・オブ・スパイ』『スポットライト 世紀のスクープ』『マネー・ショート 華麗なる大逆転』と、実話ベースの物語が多くノミネートされるのもアカデミー賞の特徴ではないでしょうか。

カビラ:そうですね。一方で『マッドマックス 怒りのデス・ロード』みたいな作品もありますけど(笑)。

――『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は10部門にノミネートという予想以上の結果でした。カビラさんのご感想をぜひ聞いてみたいです!

カビラ:いや~、スカッとしましたねぇ。どうやって撮ったんだ、というシーンばかりですよね。とは言え、このディストピア映画がここまで評価されるのは意外でした。厳しい環境の中で、なるべくCGを排除しながら、あれほどのスケール感で描き切った。絶対に守らなければならない人間の尊厳があるんだ、命をかけてでも戦う価値のあるものが存在するんだ、なおかつそれを全力で表現しているのは女性(シャーリーズ・セロン)である、という部分が高く評価されたのではないでしょうか。

――その他、注目の男優、女優の方はいらっしゃいますか?

カビラ:『キャロル』で主演女優賞にノミネートしているケイト・ブランシェットが受賞するとなると、『ブルージャスミン』から2年ぶり2度目ということになりますよね。大変な栄誉を身にまとって、“大大女優”になる瞬間が見られるかもしれません。

カビラ:あとは、助演男優賞のシルヴェスター・スタローン(『クリード チャンプを継ぐ男』)にも注目しています。一緒に「エイドリアーン!」と叫んでいた世代なので、もし受賞した際にはどんなスピーチを披露してくれるのか、非常に楽しみです。

――『思い出のマーニー』が長編アニメ映画賞にノミネートした他、ノミネート外ではありますが、坂本龍一さんが『レヴェナント:蘇えりし者』の音楽を担当し、タランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』では日本人の種田陽平さんが美術監督を務めて高い評価を得ています。

カビラ:映画のエンドクレジットで、今は自然と日本人の方を探してしまいますよね。ハリウッドで日本人が活躍することが普通になっている、ということだと思います。非常に嬉しいことですし、今後はもっと日本人の活躍が当たり前になって、アカデミー賞のノミネートが常連になる世の中も遠くはないと期待したいですね。

――その一方で、ハリウッド業界、アカデミー会員の多様性の問題が騒がれていますが、その意味でも今年は注目が集まるのはないでしょうか?

カビラ:米国が抱えているショービジネスと社会的な課題が表裏一体になって生きている、ということですよね。予定調和ばかりで、大人の事情という言葉で全てが解決されるような、どこかの国と違って……。

――そんな中で司会を務めるのがクリス・ロック、というのも面白いですよね。2007年以来2回目です。

カビラ:エンターテイナーとしてのプロフェッショナリズムが試される場ですよね。なおかつ、自分が今ここに立っている意味は何か、求められるのは何か、というアフロ・アメリカンとしての自我が問われるわけです。普段よりも司会者としてのハードルが高くなっている中で、僕らの想像を超えるようなものを提示してくれると期待しています。クリス・ロック節を炸裂させて欲しいです。

――カビラさんが案内役を務める上で心がけていらっしゃることはありますか?

カビラ:素直に反応することが一番でしょうね。僕は映画の専門家ではなく、どちらかというと視聴者のみなさんと近い立場の人間なので。公平な立場の司会者として、そこまでディカプリオに肩入れしていいのか、というご指摘は甘んじて受け入れます。もしディカプリオが受賞できなかった時のカビラの顔もお楽しみに(笑)。

――最後に、中継を楽しみにしている視聴者に向けてメッセージをお願いします。

カビラ:同時通訳版の生中継を観て、出演者の喜怒哀楽、ショーの豪華さを楽しんでもらった後に、さらに字幕版の再放送を観ると、最初には気付かなかった意外な発見があると思います。好きな映画を何度も観ると新たな発見があるのと一緒です。ぜひ、その日のうちに2度の楽しみを味わって欲しいです。

――本日はありがとうございました!

WOWOW 第88回アカデミー賞授賞式 番組サイト:
http://www.wowow.co.jp/extra/academy/

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記者:

PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

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