マイナー避難所の支援方法
マイナー避難所の支援方法について、早稲田大学大学院商学研究科専任講師、西條剛央さんよりご寄稿いただきましたので、掲載します。文中太字はガジェ通深水がおこないました。
【東北の津波主被災地のマイナー避難所の支援方法】
●1)まず現場で「今」求められているであろう支援物資を集めます→http://p.tl/mLiX
●2)現地にバンか何かに搭載して自力でもっていきます(大きな行政を介せば介すほど末端には届きません)。
そのとき支援チームに、ある程度土地勘のある人がいた方がベターです(僕の場合は父が宮城県の道はほとんど知っている、そして昨日は三浦さん)。というのも普通の道がなくなっていたりするのでナビがあまり役に立たないからです。
父はパソコンとかはまったくできないのですが、僕らがない能力(土地勘、訛り、人脈)をもっていました。多様な人材でチームを組んだ方がよいです。北川さんは旧ソ連特殊部隊で採用されていたシステマのインストラクターなので万が一何かあっても大丈夫という安心感がありました。
地元的な人を一人チームに入れるのはコツです。これはMBAでは認められないかもしれないけど、田舎でスムーズに受け入れてもらえるためにはかなり重要なことです。
誤解があったようなので補足すると、南三陸町の役場では「トップと若い人は一部だけ生き残ったけど(屋上の柱にしがみついてどうにか助かった)、そこをつなぐ中間の実質的なマネジメント力を発揮する人が死んでしまった」と地元の人がいっていました。つまりほとんどの人がなくなったのです。
だから余計役所は機能しないのです。しかも未曾有の災害です。何をすべきか、何をしたらよいかわからないのです。それはボランティアも同じです。だから、想像力と頭を働かせて、行動して柔軟に進めていかなければならないのです。
●3)現地に着いたらこの人は良いひとそうだなと思う人に話しかけてみましょう。それでとにかく「現地の生の情報」を集めるのです。それはテレビにもネットにも載っていません。父はすぐ話しかけていました。都会と違って田舎の人はそれが普通です。
●4)世話好きそうな人がいたら、事情を話して各避難所(特に物資が行き届いていないところ)を案内して貰えうのが一番の近道です。道にも迷わないですし、知人が必ずいるので警戒心もなく受け入れてもらえます。
●5)その辺一帯の本部(主避難所)を活用する方法。まずそこに支援物資を届けにきましたとはいわない方がよいです。足りてますからと追い返されます。
●6)。あ、その辺一帯の本部(主避難所)を活用する方法を話していなかった。まず本部で「親戚がこの辺の避難所にいるのはわかっているんですが、どこかわからないので、各避難所が書いてある地図をもらえませんか」と聞きます。
●7)できれば、案内してくれる人をつかまえられるといいです。地位はなくとも地元で信頼されている人がベスト(例、南三陸町の三浦さん)。次には「役所」に毒されていない10代後半から20代の若い人。柔軟だしメールやパソコンのリテラシーが高い。
●8)若い人がキーマンになります。今回雄勝でキーマンになってもらったのは高校生でした。「行政を通すと==ということになるから、君がここの窓口になってね」といったら、「はい、わかりました」と。
●9)要するに現地の一つの避難所で、純朴で(こういう人は東北人に多いからふつうそうです)柔軟に動いてくれる人とネットワークをつくれれば、その後の支援がかなりやりやすくなります。友達になってその人を媒介にあらゆる支援をすればよいのです。
●10)顔や雰囲気をみて判断しましょう。暗い感じの人はダメです。エネルギー低いのでネガティブな反応が多いです。リーダーは信頼されている人か、疲れ切っている人ですが、後者の場合は効果的な支援はできません。明るい雰囲気の人、目尻のしわが深い人がよいです。
案内してくれる人、もしくは地図を頼りに物資をもって避難所にいきます。そこで「こういうのがあるので必要なものがあれば必要な分だけもっていってください」といいます。するとみんな大喜びでもっていきます。
必ずしも避難所のトップを介さなくてもいいです。一人の人間が一人の人間に対して、「欲しいものがあれば使ってください」というだけです。できるだけ組織構造をシンプルにすること。それが機能的な組織の条件。これはドラッカーが言っていることです。
●11)その辺にいるひとに、自衛隊等の支援があるか、物資が行き渡っているか、足りないものはないかを聞きましょう。自衛隊の支援をもらっているところはほとんどの物は揃っています。必要としていないところで物資を降ろす必要はありません。
●12)物資がないところは自衛隊に連絡するという手段を知らないこともあるようです(同じ本部を頂きにしていても)。近くの避難所が自衛隊に支援してもらっていて、そこがされていないときは、そのことを話してみましょう。
●13)物資が行き渡っていないところは、物資が行き渡っているところにアクセスする方法自体がわかっていないことが多いです。物資が豊かなところでその方法を聞いて、教えてあげましょう。
●14)必ず確認しなきゃいけないこと。ライフラインの状況。携帯がつながるか。パソコンがつながるか。窓口の人は携帯、パソコンに強いひとの方がよい。そして若くて柔軟な人がベター。
●15)本部の人もパソコンはできなかった。それ以前に、本部のその地区で唯一つながるとされているパソコンがつながらなかった(設定できてない)。現地のマネジメント層のパソコンリテラシーはないと思っていたほうがよい。だから若者が頼りになる。
●16)どうも海岸の主被災地にパソコンに強いひとはいない(いろいろ回ってきいた範囲であったことがない)。そういうところに長期滞在ボランティアがその地区に一人連れてきたらものすごい貢献(秋葉系といわれる人が大活躍できる場)。
●17)各避難所の、話が分かってメールやパソコンができる人に窓口になってもらう。個人的にやりとりをして、そこの避難所で欲しいものを聞いてもらい必要な物と数をまとめたものをメールしてもらう(メールができない状況ならその場で書いてもらう)。
●18)忘れていたけども必ず郵便、宅急便の配達状況を聞く(今現在どちらかはだいたい届いているはず。)窓口になってくれた人の避難所の名前と住所、氏名、電話番号などを聞くこと。
●19)意外と大事なのは「名刺」。昨日はたまたまある程度カバンに入っていて助かったが、今日はそれが無くなっていたのでかなりやりずらかった。名刺はたくさんもっていったほうがよい。
●20)避難所の人が実際に欲しいものリストを自分で(友人が)開設したブログにアップする(被災地窓口の人がアップできそうなら各自にやってもらった方がベスト)。自分たちは有力者にRTしてもらって物資を直接そこへ届くように後方支援。
●20)現地にいって個人的に顔がみえるつながりを持つことが大事。日本は契約社会ではない。信頼の社会。特に東北の沿岸部はそう。都会とはまったくちがう。そのことはいつも念頭においておいた方がよい。都会的な合理主義の発想は3割しか機能しない。
●22)地元人がいない場合でも大丈夫。現地まで行ったらその辺の気のよさそうな人に話しかけて「行政を通さずに直接現場の人々に云々」と事情を話しましょう。じゃあ案内しますとなったら一緒に動いて避難所を紹介してもらうとスムーズです。
※この記事は早稲田大学大学院商学研究科専任講師、西條剛央さんよりご寄稿いただいたものです
●元記事
東北の津波主被災地のマイナー避難所の個別支援方法
http://plaza.rakuten.co.jp/saijotakeo0725/diary/201104030000/
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