まるで結婚式? 大家さんと入居者の「はじめての共同作業」って?

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まるで結婚式?大家さんと入居者の「はじめての共同作業」って?(写真:iStock / thinkstock)

賃貸物件の大家と入居者。部屋を貸し借りする間柄であるにも関わらず、その関係性はけっこう希薄だったりします。ヘタすると契約期間中ただの一度も顔を合わせたこともなければ、話をしたこともないなんてケースもザラですよね。

そんななか、そうした業界の風潮に風穴を開けるかもしれない取り組みが、川崎市の賃貸物件にて行われました。なんでも、入居前にとある「共同作業」を行うことで、最初から両者の絆をガッチリつくってしまおうという試みなんだとか? 果たしてどんなものなんでしょうか? 現地に潜入してみました。共同作業でつくりあげる賃貸物件

件の物件は、神奈川県川崎市にある築9年の一般的な賃貸マンションなのですが、最大の売りが「カスタマイズ」、つまり入居者が部屋の内装や設備を自分好みにカスタマイズできる付加価値が付いているわけです。

こうしたカスタマイズ賃貸自体は少しずつ増えつつありますが、ここが珍しいのは「施工」を大家と入居者が“一緒に行う”という点。その他の一般的なカスタマイズ物件だと、入居者が契約後に内装や設備をチョイスし、施工業者がリフォームをしてから引き渡すというパターンが多く、改修作業自体に入居者が関わるというケースは稀。なるほど、これはユニークな試みです。

入居者としては自ら改修作業に携わることで物件に愛着も湧きますし、大家さんとの関係性もつくれるわけで、一石二鳥ということなのかもしれません。

では、さっそく「はじめての共同作業」の模様を見てみましょう。

【画像1】こちら入居者のMさん(写真中央)。顔出しNGということで鏡越しにご登場願いました(写真撮影:榎並紀行)

【画像1】こちら入居者のMさん(写真中央)。顔出しNGということで鏡越しにご登場願いました(写真撮影:榎並紀行)

【画像2】そんなMさんを見守る大家の石井さん(写真撮影:榎並紀行)

【画像2】そんなMさんを見守る大家の石井さん(写真撮影:榎並紀行)

この日は大家の石井さん、入居者のMさん(20代・女性)のほか、リフォームの施工業者さん、ペンキ屋さんが集結。カスタマイズビギナーの入居者をサポートすべく、万全の体制です。なお、Mさんの持ち場は壁。自ら塗料を調合し、居室の壁全体を塗り上げていきます。

【画像3】まずは調合から。少しずつ塗料を加えながら、理想の色に微調整(写真撮影:榎並紀行)

【画像3】まずは調合から。少しずつ塗料を加えながら、理想の色に微調整(写真撮影:榎並紀行)

【画像4】「師匠、どうっすか?」(写真撮影:榎並紀行)

【画像4】「師匠、どうっすか?」(写真撮影:榎並紀行)

【画像5】ペンキ屋さんによる指導を受け(写真撮影:榎並紀行)

【画像5】ペンキ屋さんによる指導を受け(写真撮影:榎並紀行)

【画像6】満を持して、はじめての左官作業(写真撮影:榎並紀行)

【画像6】満を持して、はじめての左官作業(写真撮影:榎並紀行)

【画像7】初心者とは思えない見事なコテさばきを見せるMさん。「この子はデキる!」リフォーム業者さんも感心していました(写真撮影:榎並紀行)

【画像7】初心者とは思えない見事なコテさばきを見せるMさん。「この子はデキる!」リフォーム業者さんも感心していました(写真撮影:榎並紀行)

【画像8】作業を見守る石井さん(写真撮影:榎並紀行)

【画像8】作業を見守る石井さん(写真撮影:榎並紀行)

改修は午前中にはじまり、夕方までの一日作業。和やかな雰囲気のなか、コミュニケーションを取りながらひとつの作業に没頭する。なるほど、これは仲良くなりますね。大家と入居者が“つながる”メリットとは?

作業がひと段落したところで、入居者のMさんに感想を聞いてみました。

「想像以上に楽しかったです。家をつくる人たちの思いも少しだけ知ることができて良かったですね。これまではキレイになった状態の部屋しか見たことがありませんでしたが、私たちが入居する前にこんなに一生懸命工事してくれていたんだなと思うと、大切に住まなきゃいけないなと思います」

― ― 大家さんとの距離は縮まりましたか?

「じつは、この日を迎える前から何度も打ち合わせにお付き合いいただいて、『どんな部屋にしたいか』を熱心に聞いてくれたり、壁の色やパーツも一緒に選んでくれたりしていたんです。打ち合わせの過程でいろんなお話をして、じつは地元が同じで通っていた中学校がすごく近かったりとか、そういう発見もあってすごく仲良くなりましたね。今までの家では大家さんとこんなふうに絡むことって一回もなかったので新鮮です。石井さんは常に入居者の立場に立って考えてくださる方なので、そういう人と一緒に理想のお部屋をつくり上げていくのは、とても楽しかったです」(Mさん)

【画像9】入居者思いの石井さん(写真撮影:榎並紀行)

【画像9】入居者思いの石井さん(写真撮影:榎並紀行)

一方、石井さんは大家さんと入居者が密に関わる意義についてこう語ります。

「これまでは大家と入居者の方は距離を取るのが普通でした。でも、本当は近寄ったほうがお互いにとってメリットはあるはずなんですよね。先ほどMさんもおっしゃっていましたが、こうやって大家と一緒に顔を合わせて部屋をつくることで『大切に住もう』と思っていただけますし、大家自身もお客さんと直接ふれあうことで、もっともっと顧客満足度を上げていかなきゃいけないという意識が芽生えますから」(石井さん)

確かにおふたりを見ていても、すでに大家と店子(たなこ ※借家人のこと)というつながりを超えた絆や信頼関係で結ばれているのがよく分かりました。どうしても設備や条件だけで選びがちな賃貸物件ですが、“契”を交わすにあたっては、こうした「大家の顔が見えるかどうか?」という点に着目してみてもおもしろいかもしれません。●セシーズイシイ 株式会社南荘石井事務所 ホームページ
HP:http://seses-ishii.jp/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/04/10/80724/

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