みかんの缶詰のつくり方

Kさんのブログ『Kのブログ』

今回はKさんのブログ『Kのブログ』からご寄稿いただきました。

みかんの缶詰のつくり方
あなたは缶詰好きですか? 一言で缶詰といっても、シャケ缶・ツナ缶・カニ缶いろいろありますよね。しかもどれもおいしい。

今もあるのか分からないが、変わったところでは、昔有名な観光地の空気が詰まった缶詰というのもあった。もちろん缶詰の中身は空? いやいやきっと有名な観光地の空気が詰まっていると信じられている商品だ。それまで缶詰というのは、開けて中身を味わうものというのがあたり前だったため、中身のない缶詰? いやいや空気が詰まった缶詰というのはある意味衝撃だった。缶詰といえど開けることが許されない缶詰。当然一般庶民の私には理解のできない缶詰であることは言うまでもあるまい。

私は缶詰の中ではフルーツ系が好きだ。とくにみかんの缶詰が好きである。わざわざ皮をむかなくても食べられるだけでなく、あのみかんの汁が適度に甘くておいしい。ところでこのみかんの缶詰をどうやって作っているのかご存知だろうか? 日本人であればだれもがみんな一度は口にしたことがあると思うが、あのみかんの缶詰の製造過程を知っているという人は少ないであろう。みかんの缶詰の製造過程というのは、なかなかドラマチックなのでぜひあなたにも知ってもらいたい。

え? みかんの缶詰なんてただみかんを詰めるだけじゃん!? と思うかもしれないが、そう簡単な話ではない。なぜならみかんには皮があるからである。あなたもみかんを食べたことがあると思うのでよくわかると思うが……みかんには一番外側を覆っている分厚い皮や、果実をブロック分けしている薄皮がある。あなたも幼いころ、みかんをむいた後、あの白い部分を全部とってやろうとがんばった思い出はないだろうか? あんな無謀な挑戦をしたのは私だけではないはずだ。そんなのやったことないよという人がいたら、ぜひ一度挑戦していただきたい。貴重な人生の経験がひとつ増えることをお約束しよう。そのぐらいみかんの皮をむくという作業はたいへんで、気の遠くなるような作業なのである。

なので、パートのおばちゃんが一つ一つ丁寧に皮をむいている光景をイメージしている人がいたら、それは間違いである。そんなペースで作業していては、おそらく1日たっても10個と完成しないであろう。それどころか人件費の高騰で、みかんの缶詰がものすごく高値になったにちがいない。

手作業がダメなら文明の力で何とかしたいところである。ところが、みかんというのはものすごくやわらかい。かなり昔にりんごの皮むき機が話題になった。あれはある程度りんごの硬さを利用して皮をむく仕組みになっているので、みかんのように柔らかいものでは、皮がむけたとしても中身がぼろぼろになってしまうし、薄皮も残ってしまうであろう。

ではどうすればよいか? みかんの缶詰の製造過程は以下である。

・まず、一番外の皮をむく。これは手作業だったか機械だったか忘れたが、どちらでも問題なさそうだ。

・次に問題の薄皮と、あのにっくき白い部分を取り除くのだが……どうやっているのかというと、実は酸性の液体につけ込むのである。酸性の液体により薄皮とあの白い部分が溶かされる。みかんの缶詰に入っているみかんたちがなんとなく小さいのは、皮がないからということもあるが、多少この影響を受けているからであろう。

・そして実だけになったところで、今度はアルカリ性の液体に入れて酸を中和するのである。あとは缶に詰めて、みかんの缶詰の完成である。

なんて大胆な製造方法であろうか……。実はこのネタ、7年以上前に聞いた話なので、今のみかんの缶詰製造法とは違っているかもしれない。もし違っていたとしても、この発想はすごいと思わないだろうか?

製造過程を知ってしまった今では、どうってことないかもしれないが、これを一から考えてこの結論にたどり着くまでの過程を想像するとゾクゾクしてこないだろうか(みかんの缶詰だけど)? 発案者の努力が伝わってきそうである(みかんの缶詰だけど)。

執筆: この記事はKさんのブログ『Kのブログ』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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