NHK出版『シェア<共有>からビジネスを生みだす新戦略』出版記念シンポジウムへ行ってきた
こんにちは。立食パーティが大の苦手なふかみんです。ガジェット通信でも「シェアな生活」というテーマで共有・共感・共生に関する最新の出来事を伝える記事をお送りしておりますが、12月16日、シェアビジネスに関する書籍『シェア<共有>からビジネスを生みだす新戦略』がNHK出版様より発売されることとなり、その出版記念シンポジウムに招待されたので、遊びに行ってきました。会場には椅子が並べられており、「やった、立食パーティじゃない!」と喜んでいたのですが、途中で椅子がすべて撤去され、結局立食パーティ風になってしまいました。立食パーティは苦手です。なんかソワソワする。
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イベントとはぜんぜん関係ないですが、たまたま会場に来ていたAR三兄弟の長男こと川田十夢さんがイメチェンしてたので写真掲載しておきます。髪型がかわってヒゲもなくなってさわやか&かわいい風になってました。ファンの人はびっくりするんじゃないでしょうか。AR界に激震。次は何を狙っているのか!?
イベントは二部構成になっており、第一部はフリー討論。第二部はシェアに関連するビジネスに携わる人達による3分プレゼン大会。
第一部は『シェア』監修・解説の小林弘人さん、スープ専門店「スープストックトーキョー」や新しい形のリサイクルショップ「PASS THE BATON」などを展開するスマイルズの遠山正道さん、愉快な企画が沢山のウェブサイト『デイリーポータルZ』の林雄司さんが登壇してのフリー討論で、たいへん興味深い内容でした。実はこの登壇者の組み合わせをみたとき、どんなトークになるかまったく想像つかなかったのですが、意外や意外(?)、とても面白い討論でした。
この『シェア』という書籍は、主にネット上のシェアビジネスのサービスを紹介しながら解説・分析をおこなっているものだそうです。ネットの利用者が十分に多くなり、こまやかなやりとりまでサポートできるようになったことで、以前だとややニッチで成立しなかったサービスでも、できるようになったんだなと、お話をききながら実感しました。モノを貸しあったり、物々交換したり、いらないものをあげちゃったり、ということは、これまでは近所の人や友達の間では当たり前におこなわれてきたことなんですが、その当たり前のことが、ネットを通じて、遠く離れた知らない人(でも、それを求めている人)と、当たり前のようにできるようになった。ネットがそれを無理なくサポートできる時代がやってきた、ということでなんだかワクワクしました。
比べるのもどうかとは思うのですが今話題の電子書籍の世界なんかは、Apple,Google,Amazonのでっかいプラットフォーム戦争が存在しています。そしてそこに乗っかろうと思っている人達はその周りで見守ってるような状況なんですが、独自プラットフォームを構築できない限り、最終的には巨大プラットフォームのために作家がかんばってるような構図となってしまう。もちろんそれで作家がハッピーならいいかもしれないんですが、どうも雲の上の戦いの結果にちょこっと乗っかるなんて、話としてはあまり面白くはないですよね。一方、こちらシェアビジネス方面はまだまだアイデア勝負で面白いサービスを育てていける余地がたくさんあり、草の根的なものもこれから伸びてくるんではないかと思います。そういう意味でも見てて楽しいですね。
遠山さんの、リアル店舗での体験を踏まえたトークも大変興味深かったです。「ブックオフは過去を消して売っているけど、その消している部分に価値があるのでは」というお話は印象に残りました。まぁ、リサイクルで手に入れるものはきれいにこしたことはないんですけど、売られているものを、「とある製品」という単位でみるんじゃなくて、「そのモノそのもの」「そのモノに込められたストーリー」とセットで見ることで、新しい楽しみ方が発見できるんじゃないかというヒントを得られたと思います。
デイリーポータルZの林さんはあいかわらず鉄板で面白かったです。会場は笑いにつつまれつつも、話の内容は示唆に富んでいました。なんていうか、あるモノに対して決まった使い方だけじゃなくて、独自の目線で別の楽しみ方を提案しているような企画が面白いですね。これは、シェアとは関係ないかもしれませんが、モノに新しい情報を付帯することによって新しい楽しみ方を提案するという意味ではとても面白いと思いました。メガネの度数を測る機械をイベント会場に持ち込んでメガネをかけている人のメガネの度数をはかって同じ度数の人どうしでメガネを交換したりとか。ぜんぜん意味ないですけど面白いですし、モノに対する新たな見方を提示できてる気がします。
第1部が終了し、椅子が撤去されて立食形式でスープがふるまわれ(もちろんスープストックトーキョー)、SOURというバンドの演奏に突入。なんかきいたことあるー、と思ったら、YouTubeのPVが面白くて有名になった『日々の音色』のバンドでした。えぇ曲やわー。個人的には、ベースの人がなんか好きでした。
その後、3分プレゼン大会(ライトニングトーク)に突入。4名の方がプレゼンをおこないました。
車をシェアできるサービス「カフォレ」の話。キャラクターがかわいかった。
ヒルトンの「タイムシェアリゾート」。リゾートホテルをシェア。
JTBのコミュニティーサイクル「旅チャリ」。自転車のシェアはこれからどんどん増えそうです。
ソーシャルレンディングの「AQUSH」。お金のシェア。
最後に、NHK出版の人による「シェアリーダー」の説明もおこなわれました。気になるテキストをみんなとシェアする機能があるらしいです。
イベント終了後、刷り上がったばかりの『シェア』が、ひとり2冊ずつプレゼントされていました。1冊は読むために、もう1冊はシェアの実験として、周りの人に渡して欲しいとのことでした。シェアされた本がシェアされた回数や、どのような経路をたどっているかは、シェアのウェブサイト( share-biz.jp )で確認できます。初回出荷分にはこの実験へ参加するためのIDが帯に印刷されていますので、興味ある人は初回出荷分を入手しましょう。少し読んでみましたが、なかなか刺激を受ける本です。この本が世の中に影響を与え、新しいウェブサービスがさらに生まれてくるのではないかと今から楽しみです。
レイチェル・ボッツマン¥ 1,995
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トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。
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