ピントは合わないけど、なんだか愛おしい。 ジャンクで拾った「キヤノネットジュニア」で撮りたくなる理由

街のカメラ屋さん。いつものようにフラフラと立ち寄った先で、店先のジャンク箱に目が留まりました。
その中に鎮座していたのは、角ばったボディがひときわ目を引く、小さなフィルムカメラでした。その名も「キヤノネットジュニア」。1960年代に作られた、Canonの隠れた名機です。
ファインダーは曇っていて、レンズの中にはほこりの影。ピントも合うかわからない、どこか心もとない佇まい。でも、なぜだか一目惚れしてしまって。気づけば、手のひらにそのずっしりした重みを感じていました。
小さくて、かわいらしくて、頼りない相棒

「キヤノネットジュニア」は、小ぶりなサイズ感で、頑張ればポケットに入るぐらい。角ばったフォルムと、少し無骨なダイヤルやレバーのデザインがとても愛らしいんです。

でも、かわいらしいだけじゃなくて、金属ボディの質感や、手に持ったときの詰まった重みにはちゃんと“道具”って感じがあります。

カメラというより、小さな機械式時計を触っているような心地よさ。たとえば、レバーを巻き上げれば「ギュルッ」という少しかすれた音がして、シャッターを切ると「カチャン」という機械的な音が指先に小さく跳ね返ってくる。
音ひとつにも、作られた時代の空気が詰まっているように思えます。写真を撮るためだけに設計されたモノが、ここまで愛おしくなるとは思っていませんでした。

写るかどうかは、運まかせ
フィルムを装填してから実際に自宅や街で、気になった被写体をパシャパシャと撮影してみました。

結果はというと、ピントが甘いものばかり。……というより、ピントがちゃんと合っている写真のほうが少なかったかもしれません。

本来はピント用のゾーンフォーカスである程度ちゃんと撮れるはずなんですが、ファインダーは曇りきった状態。レンズで焦点距離と絞りを調整しつつ、目測でシャッターを切るしかありません。

でも、それでもいいんです。むしろ、ブレた感じや光の滲み、予想の裏をかくような露出にこそ、“偶然の芸術”みたいな味わいがある気がします。
現像が仕上がるまで、「どんな風に写ってるんだろう」と想像して待つ時間も、また楽しい。

仕上がった写真には、ちょっと懐かしい記憶みたいな色合いの風景や、時間のにじんだような光が写っていました。

わざと裏蓋を開けて、感光させてみたカットもいい感じ。まるで、思い出に直接レンズを向けたみたいな、そんな写りです。
フィルム代&現像代は重いけれど、それでも撮りたくなる
もちろん、コストはそれなりにかかります。フィルム1本と現像やデータ化で3,000円以上かかることも。
1枚1枚にかかる金額を考えたら、スマホの撮り放題には勝てるはずもないのですが、それでも、またフィルムを入れたくなるんです。

「なんとなく撮る」ことができないからこそ、「撮りたい」気持ちが研ぎ澄まされる。

そうして生まれた1枚は、撮る自分にとっても、見る人にとっても、ちょっとだけ特別な何かを持っている気がします。
SNSにアップすると、けっこう聞かれます
現像した写真をSNSにアップすると、「これ、何で撮ったの?」ってよく聞かれます。

写りすぎない画質、ほどよいボケ、ちょっと懐かしい雰囲気。スマホのフィルターやアプリじゃ出せない“気配”があるみたいです。
「ジャンクの『キヤノネットジュニア』なんです」と伝えると、「そんなに古くても使えるんだ!」と驚かれることもしばしば。
でも、実はそこがいちばん面白いところ。ちゃんと“写るかどうか”が不確かなところも含めて、このカメラの魅力なんです。

たぶん、いつかは壊れる。でも、それまで
もともとジャンク品なので、いつシャッターが切れなくなるかはわかりません。でも、その不確かさごと、大切にしたいと思っています。
今日撮ったこの1枚が、もしかしたら最後の写真になるかもしれない。

そう思いながらフィルムを巻き上げて、そっとシャッターを切る。そんな時間が、なんだかとても贅沢に感じられるんです。

キレイすぎる写真にちょっと疲れてしまったら、こういう“不完全なカメラ”がいい相棒になるかもしれません。「キヤノネットジュニア」と一緒に、今日もぶらぶら散歩してみようかな、なんて思っています。

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