プライオリティ・インボックス

経済学101

今回は青木理音さんのブログ『経済学101』からご寄稿いただきました。

プライオリティ・インボックス
「IDをめぐる争い」*1 では『Facebook』が電話を駆逐するという記事を取り上げた。

*1:「IDをめぐる争い」『経済学101』
http://rionaoki.net/2010/08/4449

今回はGoogleの取り組みを見てみる。

「Gmailが電話に進化 – Googleが米国で「Call phone」開始」 『マイコミジャーナル』
http://journal.mycom.co.jp/news/2010/08/26/005/

電話の弱点としてあげられていたものの一つはノイズだ。

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制御不能 誰(だれ)でもその10桁(けた)をダイヤルできる。別れた彼女も、選挙運動員も、押し売りも。番号非掲載、ナンバーディスプレー、着信拒否リスト等々でこの問題を解決しようとしたが、いずれの方法も望まれない電話を防いでくれない。
**********
*1より引用
元記事は「電話番号は死んでいる、気付いていないだけだ」『TechCrunch Japan』
http://jp.techcrunch.com/archives/20100828phone-numbers-dead/

電話は電話番号さえ分かればコールできるのでコミュニケーション手段として効率が悪いのに対して、『Facebook』ならポリシーを使ってコントロールできるというわけだ。同じ問題はメールにもあてはまる。スパムの判定は正確になってきたものの、膨大なメール処理に追われている人が多いだろう。Google のこの問題に対する答えが『Priority Inbox』*2 だ。

*2:「Gmail Priority Inbox Sorts Your Email For You. And It’s Fantastic.」『TechCrunch』
http://techcrunch.com/2010/08/30/gmail-priority-inbox/

『Priority Inbox』は入ってきたメールを過去の情報に基づき分類する。今まではスパムかそうでないかだけを区別していたのに対して、今度は重要性まで判定する。これによってまず処理すべきメールに優先的に対応することができる。スパムフィルター同様“鍛える”ことができるので重要性判定の精度も徐々に上昇するだろう。『Facebook』が交友関係をベースにメッセージを区別するのに対し、過去のメールやユーザーの行動をもとにアルゴリズムでメッセージを分別するのはいかにもGoogleらしい。

Googleの本当の目的は『Gmail』をさらに便利にすることには留まらないはずだ。『Priority Inbox』が便利であれば、ユーザーはその精度を高めるためにより多くの情報を登録し、アドレス帳にはソーシャルな情報が集まってくる。最近、Googleが『Gmail』のアドレス帳機能を強化してることとも整合的だ。『Buzz』では『Gmail』にソーシャルな機能を後づけしようしたが、今回は 『Gmail』そのものをソーシャルな方向に進ませているように見える。『Facebook』の登録にもメールアドレスが必要なようにIDとしてのメールアドレスの地位は電話並に強固だ。今後の展開が興味深い。

執筆: この記事は青木理音さんのブログ『経済学101』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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