君はちくわとカニカマ企業が生んだご当地ヒーロー『スギヨ仮面』を知っているか? 石川の幼稚園児は全員知ってるぞ(笑)
2015年3月に北陸新幹線 金沢開業を控えた石川県。地元ではさらなる盛り上がりを見せている。
そんな石川県のご当地ヒーロー『スギヨ仮面』はご存じだろうか。『スギヨ仮面』は石川県内では抜群の知名度を持つと言われるヒーローなのだが県外ではまだそこまで知られていない。
今回、『スギヨ仮面』が実際に“活動”しているところを見られるということで、ガジェット通信は能登半島へと取材に向かった。
『スギヨ仮面』のルーツは石川県七尾市に本社を持つ株式会社スギヨ。スギヨはなんと世界ではじめてカニカマを作った会社なのだ。
スギヨの商品は魚のすり身を中心とした食材が多いのだが、その中でも有名なのは、『香り箱』や『大人のカニカマ』、『ロイヤルカリブ』といったカニ風味かまぼこ、そしてロングセラーの『ビタミンちくわ』だ。余談だが長野にはこの『ビタミンちくわ』が数十年前から多く流通しているので、長野市出身の筆者にも非常になじみ深い商品なのだ。
幼稚園に出没した本格的ヒーロー
今回向かったのは石川県の内灘町というところにある誠美幼稚園。住宅地に隣接した非常に広い敷地を持つ幼稚園で、現在の園児は130人が在籍している。
プロジェクターや紙芝居のセッティングが施されると、園児たちが誘導されてくる。幼児向け番組のうたのお姉さんよろしく“ショー”の導入を担当しているのはスギヨの社員さんなのだとか。
「食べ物を大切に」「好き嫌いはしたらいけないぞ!」という“スギヨ仮面の紙芝居”が終わると、おねえさんが声掛け。「今日は本物のスギヨ仮面が来ているかもしれないよ?! それじゃあ、みんなでスギヨ仮面を呼んでみようか! せーの!」「スギヨ仮面~!!」園児たちの絶叫にも似た呼び声に、さっそうと走りこんでくるスギヨ仮面!
赤いボディがめちゃくちゃカッコいい!!
よく見るとスギヨ仮面のボディはカニの胴体がモチーフ。肩はカニのツメ、ひざ当てはフンドシと呼ばれる部分だ。ベルトは青色のラインで、ナイトライダーのナイト2000のように光る。背中のマントはまるで大漁旗のようで『ビタミンちくわ』と書かれている!
渋い。渋すぎる。
決めポーズはスギヨの「ス」。立ちポーズもアゴを引き、足首が決まっている。
必殺技は『カニカマフラッシュ』。更に『スギヨ仮面』は左手のカードスロットにカードを入れることで様々な能力を発揮することが出来るのだ。
スーツアクターは専属の方が……と言いたいところだが、実は、その年の新入社員で一番「キマっている」人が担当するのだ。敵役はスキキライビームが得意技の『イヤヨイヤダー』。今回は後述のDVDのみでの登場だがさらに大きい舞台では一緒に登場することもあるという。
登場したスギヨ仮面に子供たちは大興奮。おねえさんは食べ物の大切さなどをパネルとクイズ形式で説明。スギヨ仮面も一緒にDVDを観て“ショー”は終了となる。記念撮影の間も、スギヨ仮面の周りには子供たちが集まり、かわるがわる握手を求めていた。
「企画ありき」ではなく“気づけば始まっていた”
スギヨ仮面のアレコレについて教えてくれたのは、株式会社スギヨの広報室室長の中村さん。偉い人なのに、なぜ、スギヨ仮面?
「企画としては、最初は私一人でやり始めたんです」と語る中村さん。5年前くらいから始まったこの企画、もともとはこうした形になることは想定していなかったそうだ。
成り立ちは、FM西東京のラジオ番組の1コーナーから。ここで初めて架空の戦士『スギヨ仮面』が登場するが、ビジュアルなどはもちろん決まっておらず、その時点では名前と声だけだった。その放送イメージから、イラストレーターのメソポ田宮文明さんが描きおこし、実写ヒーロー化に至ったという。
「あくまで食育を唱える、というのがスギヨ仮面の使命ですね。なので名前も“食育戦士”となっています(笑)」
食育のために、現在、スギヨ仮面は石川県内の保育園、幼稚園、小学校、お祭り、福祉施設などを無料で回り、その数は年間80か所にも及ぶという。
調整は大変だけどやりがいがある
中村さん自身も2年前までは“中の人”を担当していた。「(子供たちの様子を見ると)ここまで喜んでくれるか、と本当に嬉しくなります。社内調整は大変なのですが(笑)子供たちの喜ぶ顔はやりがいです」
その人気から、今ではスギヨ仮面のグッズも登場したが「あくまで(ショーの)食育がメインです」と中村さんは語る。「DVD映像の続編の構想もあるけど、制作はお金がかかるので……」と、特撮ならでは(?)の悩みものぞかせた。
取材の帰り、スギヨ仮面から記者に渡されたのは『ビタミンちくわ』(笑)。
「実はこれ、長野の有名七味『八幡屋磯五郎』とのコラボなんです。こっちは、善光寺の門前みそ『すや亀』とのコラボです。どちらもレアものですよ」
食すと風味がすごい!七味の味は間違いなく善光寺のあの七味だし、みそ味はこれ以上ない信州みそ感だ。
「『香り箱』はカニの身の繊維の形状を意識し、カニのむき身に徹底的に近づけて成形しているこだわりの一品です。扱っているところは限られているかもしれませんが、見かけたら是非、手に取ってみてください」
そう言い残すと、スギヨ仮面と中村さんは社用車で去って行った。能登の海が生んだスギヨ仮面、今日もどこかで子供たちの食を育んでいるだろう。
スギヨ|おいしさを能登から|カニカマ・ちくわ・おでん等 水産練製品の加工販売|株式会社スギヨ(石川県七尾市)
http://www.sugiyo.co.jp/
スギヨ仮面(YouTube)
http://youtu.be/w-2p-EW_fmc
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