「この作品はディズニーから日本へのラブレター」 『ベイマックス』フィルムメイカー来日記者会見レポート

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12月20(土)より日本公開となる、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作『ベイマックス』。本作は、天才科学者の少年ヒロと、事故で亡くした兄タダシが残したケア・ロボット“ベイマックス”が繰り広げる感動アドベンチャー。

サンフランシスコと東京を融合させた架空都市“サンフランソウキョウ”を舞台にし、その世界観が日本とつながりの深い映画であることから、東京国際映画祭のオープニング作品として上映が決定。ディズニー・アニメーション史上初、アメリカ以外の国で行うワールドプレミア(世界最速上映)となります。

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これに合わせ、ドン・ホールクリス・ウィリアムズ両監督、プロデューサーを務めたロイ・コンリ、さらにウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのエグゼクティブ・バイス・プレジデントであるアンドリュー・ミルスタインが来日し、10月22日に記者会見を実施。会見の後半には、日本語吹替版声優として、主人公ヒロたちを母親代わりに育てる“キャス”役を演じた菅野美穂さんと、ヒロの兄で科学者としても道しるべとなる“タダシ”の声を務めた小泉孝太郎さんも登壇。日本ならではの着物姿を披露し、監督らを笑顔で迎えました。

ちなみに、ドン・ホールは、2011年公開版の『くまのプーさん』を監督。クリス・ウィリアムズは、テレビの世界を現実と信じているスター犬の冒険を描いた『ボルト』の監督で、実は『アナと雪の女王』で山小屋の主人オーケンの声も務めていた方です。そして、ロイ・コンリは、『塔の上のラプンツェル』の製作を担当した名プロデューサー。ディズニーの『ベイマックス』にかける本気度が伝わってくる豪華で強力なタッグですよね。

『ベイマックス』はディズニーから日本へのラブレター

――まずは、それぞれご挨拶をお願いします。

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クリス:みなさんこんにちは。『ベイマックス』で監督を務めたクリス・ウィリアムズです。我々は3年半ほど前に視察旅行で来日し、そこから製作を進めてようやく完成した作品をみなさんにご覧いただけるのをワクワクしています。

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ドン:クリスと共同で監督を務めたドン・ホールです。視察旅行の際には、13日間ほどでさまざまな場所を散策し、日本で夢のような体験をさせてもらいました。その時に日本の文化から本当に多くの影響を受けて、『ベイマックス』を通じてその文化への愛を表現することができました。

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ロイ:プロデューサーのロイ・コンリです。世界で最も美しい街のひとつであるここ東京が、今回の舞台“サンフランソウキョウ”のインスピレーションの源です。これからその作品を日本の方たちと分かち合えるのを楽しみにしています。

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アンドリュー:こんにちは。日本でのワールドプレミアを明日に控え、本日この会場にいることを誇りに思います。この映画に限らず、ディズニーの作品を日本で上映できることにいつも喜びを感じています。我々が日本を愛しているのと同じくらい、映画を観たみなさんがこの『ベイマックス』という作品を愛してくれることを願っています。

――サンフランソウキョウという架空都市を作るに当たってこだわった点は?

クリス:存在しない都市を作るためには、モチーフとなっている日本の東京、およびサンフランシスコについて徹底的に調査を行いました。我々はストーリーを語る上で、見たことがない世界を観客に見せるということが大好きです。それは、アニメーションという世界観を最大限にいかした手法です。例えば、ジブリの宮崎駿監督が作り上げるアニメも、どこか存在していそうな世界でありながら、まったくの架空世界が描かれていますよね。この映画を観た人たちが、サンフランソウキョウに行ってみたいと思うような世界観を心がけました。

ドン:今回の世界観を作り上げるために、日本でたくさんの風景を撮影しました。街並みや商店だけでなく、自動販売機やマンホール、電信柱などの細部からも造形を参考にし、アニメのデザインに反映しました。

――ベイマックスの顔は日本の鈴をモチーフにしているんですよね?

ドン:日本のお寺で鈴を目にした時に、それが顔のように見えたんです。ベイマックスはそこにいるだけで温かい気持ちになる優しいキャラクターにしたくて、かつ単純な見た目が良いと思っていたので、鈴のモチーフはパーフェクトだと思いました。

――完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

ロイ:本当に満足のいく出来でした。この作品を実現するに当たっては、特別に日本人のチームを編成して、少しでもおかしな点があれば指摘してもらうように徹底しました。さらに、日本に住んだこともあって現在はサンフランシスコ在住のアート・ディレクター、スコット・ワタナベの活躍は大きいです。

――『アナと雪の女王』の世界的成功も記憶に新しいですが、ディズニー・アニメーションが世界で受け入れられている理由は何でしょうか。

アンドリュー:まずは日本のみなさんに、『アナと雪の女王』を愛してくれてありがとうと伝えたいです。ディズニー映画におけるインスピレーションの源は何と言ってもスタジオで働く約900人のスタッフたちです。もしスタジオに足を運んでもらえれば、彼らが素晴らしいストーリーを作り上げようとする情熱、魂を感じ取ってもらえるはずです。さまざまな分野において世界中から集結した一流のスタッフたちが、毎日努力を続けて愛情を注ぐことで、世界中のファンにそれは伝わると思っています。

――今作では、キャラクター同士の“愛情”をテーマとする一方で“心の傷”も描かれていますよね?

ドン:我々が作品を手掛ける際にいちばん大切にしているのは、“感情”をきちんと描くことです。今作では、ヒロとベイマックスの関係を中心にストーリーが展開します。

クリス:ヒロは大切な人を失うという経験をします。しかし、その人は完全に消えてしまうわけではなく、自分たちの心を通じて存在し続ける、ということを描きたかったんです。ベイマックスは心をケアするための優しいロボットです。でも、ヒロはそのことに気付かず、格闘ロボットに改造しようとします。そんな2人の関係がどう変化していくのかが“感情”を通じて描かれています。

ロイ:この作品の製作に当たっては、“兄弟”の関係性も詳しくリサーチしました。ヒロと兄タダシの関係性を理解するために、兄弟がいるスタッフが集まってお酒を片手に語り合う“ブラザーフッドサミット”というセッションを開催しました。そこでリアルな兄弟関係を理解し、作品に反映させたんです。

――感情の表現にはキャラクターのデザインも重要ですよね?

クリス:今作では特にシンプルなデザインを心がけました。ベイマックスは顔のパーツが目しかないんですが、とても表現が豊かなキャラクターです。例えば、まばたきの速度や頭の動かし方でベイマックスの気持ちを表現していますが、観客のみなさんはきっと彼の感情を読み取ってくれるはずです。

――ワールドプレミアを日本で開催し、日本からプロモーションをスタートするに至ったのはなぜでしょうか?

ロイ:以前から東京国際映画祭に出品したいという思いが強かったし、作品自体がディズニーから日本へのラブレターであるからです。

クリス:日本の美的感覚から多くのインスピレーションを受けているので、日本のみなさんにいち早くご覧いただけるのがうれしく思います。

ドン:明日のワールドプレミアで世界最速上映できることを誇りに思います。

菅野美穂・小泉孝太郎が着物姿で登場

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会見の後半には、日本語版キャストの菅野美穂さん、小泉孝太郎さんが着物姿で登場。

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ディズニーから日本へのラブレターと称する作品を作り上げた監督らへのお返しに、ベイマックスの可愛いキャラクターがデザインされた法被をプレゼントしました。

――吹替えを担当していかがでしたか?

菅野:日本語版のキャスの声を担当しました菅野美穂です。多感な時期の男の子を温かく見守るというおばさんの役で、明るくてパワフルなキャラクターです。ディズニー映画に参加させていただいて本当に光栄です。過去のディズニー作品を見直して勉強しつつ吹替えに臨みました。

小泉:ヒロの兄タダシの声を担当した小泉孝太郎です。声優は初挑戦だったので、普段の俳優業やナレーションの仕事とは全く違って、想像をはるかに超える難しさでした。たったひと言の「大丈夫だよ」というセリフでも、30テイクくらい録り直しました。途中で心が折れかけたこともありましたが、ディズニーの世界観に自分の声で生命を吹き込む喜びを感じながら、挑戦させてもらいました。

――日本版のキャスとタダシを演じた2人はどうでしたか?

クリス:2人とも今回の役を見事にものにして、パーフェクトな仕事をしてくれました。この場でまたお会いできてうれしく思います。

――素敵な法被もいただいちゃいましたね。

ロイ:かっこよくてデザインも素晴らしいので、12月の日本公開まで毎日着続けます!

「日本へのラブレター」と言うだけあって、フィルムメイカーたちの日本愛が伝わってくる会見でした。そしてみなさん、よく思い出してみてください。世界中で大ブームを巻き起こした『アナと雪の女王』は、今年3月14日の日本公開でしたよね。日本人としてこれほどワクワクするディズニー最新作の公開が、それほど時を待たずしてまた年内に控えているとは、何て幸せなのでしょうか! 日本への愛がたっぷり詰まったディズニーからのラブレター、その開封が待ち遠しいですね。

『ベイマックス』本ポスター

『ベイマックス』公式サイト:
http://ugc.disney.co.jp/blog/movie/category/baymax/

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よしだたつき

よしだたつき

PR会社出身のゆとり第一世代。 目標は「象を一撃で倒す文章の書き方」を習得することです。

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