精神障害克服へ。自助グループが果たす役割
仕事、子育て、精神障害、様々な自助グループが形成
同じ状況にある人たちが共通の問題から回復するため、自身の体験を分かち合いながら互いに支え合う「自助グループ」。薬物、酒、ギャンブルなどのアディクション(依存)から脱するためのグループがよく知られていますが、最近では、仕事、子育て、うつ病に代表される精神障害など、様々な自助グループが形成されています。また、福岡市では、痴漢や盗撮などの性犯罪の加害者になることもある「性依存症(性強迫症)」の人のための自助グループが活動をしています。
自助グループの基本は否定や肯定の会議ではなく、「聞きっぱなし・言いっぱなし」というものです。参加者の心にどのような影響を与えるのでしょうか?
孤立から開放され、問題解決のスタート地点に立つきっかけに
最も大きな心理的メリットは「孤立から開放される」ということでしょう。人は、特に目には見えない精神的な問題を抱えたとき、自ずと「自分一人が…」「何で私だけ…」と孤立感を覚え、前向きな思考が働かず負の連鎖を呼ぶことが多くあります。また、同じ状況に無い人からの言葉や励ましには「どうせわからないでしょ」と、相手を自ら排除する思考に進んでしまうことも少なくありません。
そんな時、同じ境遇を持つ他人、また、今の自分と同じ状況から脱した他人の話を聞くことは、「自分だけじゃない」「私にもできるかも」「こんなやり方があった」と、安心感や連帯感、そして勇気など、問題解決のスタート地点に立つきっかけに大きな役割を持つと考えます。
自助グループは「わかってもらうだけの場所」ではない
ただ、この自助会には「傷の舐め合いでは?」と否定的な意見を持つ人もいるのも事実です。自助会を傷の舐め合いの場にするのか、また、前向きな解決の場にするのかについては、もう一つの大切なキーワードが鍵を握っていると私は考えます。
自助グループは「わかってもらうだけの場所」ではありません。「わかり合い、支え合い、そして、いつか独り立ちを実現する場所である」。そのような意思を心の隅に持って参加することが必要でしょう。ただ、もちろん、はじめは「わかってほしい」という気持ちだけで十分です。
わかり合えば、孤立感から脱出できます。支え合えば、連帯会を生みつつ、自身の経験が他の役に立てば、自己肯定感や自信・やる気にもつながります。いつか独り立ちしようと思えば、自分の未来に目が向いていきます。
どんな悩みや問題も、今はあなたを苦しめるだけのものかもしれません。しかし、いずれは自身を成長させ、他も救ってあげられる貴重な経験かもしれないのです。自助グループならず、その悩みや問題を一人で抱えず できるだけ早めに共有してみてはいかがでしょうか?
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