アイドルから見るスマホの未来! au未来研究所キックオフイベントをレポ

アイドルから見るスマホの未来! au未来研究所キックオフイベントをレポ

コミュニケーションについて語る若林恵さん、仲暁子さん、濱野智史さん、玉城絵美さん(左から)
8月7日(木)に「3331 Arts Chiyoda」にて2014年度のau未来研究所の活動開始を祝って「au未来研究所2014 “KICK OFF MEETUP” supported by WIRED」が開催されました。

オープニングトークにはゲームデザイナーの水口哲也さんが登壇し、なにが人をものづくりへと突き動かすのか、実例も交えながら解説しました。

パネルディスカッションでは、au未来研究所特別研究員として仲暁子さん・濱野智史さんと、H2L Inc.発起人の玉城絵美さん、WIRED日本版編集長の若林恵さんが登壇。熱の入ったアイドル談義に始まり、情報の密度から未来のコミュニケーションのあり方まで飛び出し、“スマホの次”を創る上でのヒントが多く提示されました。

そして、登壇者のその場での提案から、通常のディスカッションでは見られない意外なやり方で白熱したイベントは締めくくられました。

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「つながる」をつくってきたKDDIが取り組むau未来研究所とは?

はじめに、KDDIのコミュニケーション本部宣伝部デジタルマーケティンググループリーダー担当部長の塚本陽一さんが、「au未来研究所」のコンセプトを説明。

「auは『つながる』をつくってきた会社です。でも、『つながる』が当たり前になってしまった時代にどんな価値を届ければいいのか。そんな疑問が今回のプロジェクトの出発点です!」

つながる」だけではスタート地点にも立っていない、という姿勢をきっぱり示し、“スマートフォンの次”を共に発明するプロジェクトだということを改めて強調しました。

また、au未来研究所は、インプットとアウトプットの両方ができるようにつくられているとのことでした。特別研究員によるキュレーションマガジンなどで最新の動向をインプットし、ハッカソンなどで参加者がアウトプットすることで、“スマホの次”を共創する環境をサポートするそうです。

2015年3月にはなんらかの形で成果物を発表するとのことでしたが、それが具体的にどんなものかは、これから参加者と共に決めていくそうです。技術的に制作可能なものであれば、実際に作動する携帯電話を成果物にする可能性もあるとのことでした。

水口哲也「隠れたウォンツ(欲望)を見つけ出すことがイノベーションにつながる」

オープニングトークには、ゲームデザイナーで慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特任教授の水口哲也さんが登壇。『Future Creation』と題して、なにが人の創作意欲をかき立てるのかについてお話されました。

すべてのメディアは人間の感覚と身体機能の延長線上に存在する マーシャル・マクルーハン『メディア論』

マクルーハンの『メディア論』から、メディアとはなんなのかを引用し、身体拡張・感覚拡張を続けてきた技術やものの進化を、本の誕生から順を追って解説しました。

望遠鏡は、当初海賊から身を守るためによく売れましたが、もっと遠く、星を見たいというウォンツ(欲望)によって天体望遠鏡に進化したことを例に挙げて解説。技術やものの進化はウォンツによって引き起こされると結論づけました。

一見、なんのウォンツも無いように見えたとしても、そこには必ず隠れたウォンツ(隠れた欲望)が存在し、人々はそのウォンツに気づいていないだけだというのです。

「人間が裏側にどんなウォンツを持っているのかは、因数分解(ファクターに分けていく)していくと発見できる。もし皆さんがクリエイションやイノベーションを起こす側にまわるのならば、裏側に隠れているウォンツを発見し触れなければいけない」

これからのデザイナーの役割はウォンツを設計することだと位置付け、au未来研究所の研究員にとって、隠れたウォンツを見つけることの重要性を説きました。

au未来研究所のプロジェクトでは、「〝なぜ〟と問い続けること」で隠れたウォンツを発見し、それに応えるようなプロダクトが創れればいいと締めくくりました。

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アイドルの情報量に学ぶコミュニケーションのあり方

パネルディスカッションには、au未来研究所の特別研究員である、ウォンテッドリー株式会社代表取締役CEOの仲暁子さん、批評家の濱野智史さんのお二人と、HCI(Human-Computer Interaction)研究者でH2L Inc.発起人の玉城絵美さん、モデレーターとしてWIRED日本版編集長の若林恵さんが登壇しました。

まずは、アイドルに夢中になりすぎて自身もプロデューサーをつとめるまでになった濱野さんによるアツいアイドルトークからスタート。

濱野さんがアイドルにはまったのは、握手会などの物理的な接触による情報量に圧倒されたからだそう。視覚や聴覚、言葉だけでは満たされない欲求を満たす機能がアイドルにはあるというのです。つまり、フィジカル(身体的)なコミュニケーションの持つ情報量は他の媒体では替えがきかないということです。

最近、ワークスタイルについてもそのような視点が見直されつつあるのだとか。ソーシャルリクルーティングサービス「Wantedly」を運営する仲暁子さんは

「一時期、トレンドとしてノマドとかリモートで働こうみたいな流れがあった。だけど人のコミュニケーションは9割が言葉以外で行われている。リモートになった瞬間に、その隙間を埋めるための膨大な努力が必要になる。最近は、一周してオフィスに定時で集まって働くという旧来のワークスタイルに戻ってきている。イノベーションは一人では生まれないので、どれだけ良質なコミュニケーションをとれるかが鍵になってくる」

と話していました。

それに対して、玉城さんはフィジカルなコミュニケーションがリモートで行える時代がくるのではないか、と未来の可能性を提示しました。

玉城さんが行っている研究で、筋肉に電気信号を与えて手の動きをコンピュータで制御する「PossessedHand」が実現しています。今後、その場にいなくも五感すべてを共有できるようになれば、ようやく本当の意味でのノマドが実現できるようになると意気込みました。

質疑応答よりも手っ取り早いコミュニケーションとは?

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さらに、玉城さんは非言語コミュニケーションの重要性を指摘。

「『暑さ』という問題を話し合うときに、一緒に暑い部屋の中で話し合うのと、涼しいところにいる人とビデオチャットで話すのとでは、出てくるソリューションに大きな差がある」

と、同じ空間を共有することの大切さをわかりやすく例示しました。

一方で、タイムテーブルもあるので質疑応答に移ろう、と若林さんが提案したところ、濱野さんが反対。「今まで一度たりとも質疑応答が面白かったことがない」という発言も飛び出し、これには他の3人も苦笑。

濱野さんは、少しでも触覚の情報量の多さについて知ってもらうため、握手会をしたいと提案。そこで急遽、登壇者との握手会が開催されることに。

結局質疑応答も行われ、「キテる感=モメンタム」を感じるのはどんなときか、との質問に、偶然の出会いの連続性がモメンタムを生むという結論に至った。

握手会・懇親会

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パネルディスカッション終了後は、濱野さんの提案通り、握手会兼懇親会が行われました。

トークショーでの握手会はとても珍しく、最初は躊躇していた参加者でしたが、最終的にはほとんどの人が握手を交わしていました。

筆者自身、握手をしてからお話すると、通常のトークショーでの質疑応答や懇親会とは違った距離感で新鮮な体感ができました。

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引用元

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