義務化されるストレスチェックの必要性
労災事案などが発生した場合、企業側は極めて不利な状況に
2014年6月19日に労働安全衛生法の改正案が衆議院を通過し、同25日に公布されました。このことから、2015年中には全ての企業(50名未満は努力義務)にストレスチェックが義務化されることになりました。本変更は企業にとって、とても大きなものであると考えられます。
義務化と聞くと、それを行使しなかった際に罰則はあるのかが疑問に浮かびますが、現状では予定ながら罰則規定はありません。しかし、企業が実施すべき義務を果たしていない状況で、例えば何か労災事案などが発生した場合、企業側は極めて不利な状況になります。また、罰則がないから実施しないという発想ではなく、CSR(企業の社会的責任)の面からもきちんと導入することが望ましいでしょう。さらに踏み込めば、企業がメンタルヘルス対策に積極的に取り組む良いきっかけにもなります。
ストレスチェックを、健康診断の問診票と一緒に実施すればいいという声もよく聞かれますが、今回のストレスチェックは、健康診断の項目とは別に実施することとなっています(第66条)。健康診断の結果は事業主を経由して労働者へ通知されますが、ストレスチェックの結果は事業主を経由しないという点が異なり、運用上は注意が必要です。
50名未満の会社は努力義務でも、そうした会社こそ実施すべき
また、規定の通り従業員数が50名未満の会社は努力義務だとしても、むしろそうした会社こそ実施すべきだと思います。小規模な事業所こそ、一人一人の影響が大きく、本来メンタルヘルス対策が大切と考えられるからです。そのため、しっかりとアフターフォロー(例えば、労働者が相談できる窓口を設置する、あるいは就業規則の改訂等、制度コンサルテーションが選べる)のついているストレスチェックを選択することが肝要です。
また、法改正の審議経過中、ストレスチェックは9項目だけ実施すればいいという議論がありましたが、現状では職業性ストレス簡易調査の57項目のうち、半分程度実施することとなっています。
今回の法改正を受け、最も言いたいことは、単に負担が増えたと企業に捉えないでもらいたいということです。法改正をきっかけに、これまでなかなか手の回らなかったメンタルヘルス対策に取り組むきっかけができたと考えて下さい。そのためには、形だけストレスチェックを実施するのではなく、きちんとPDCAを回せるようなストレスチェックを導入してもらいたいと思います。
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