長崎のお盆は精霊流しだけじゃない! 変わった風習を探ってみた
長崎県長崎市内を中心に、お盆中のお墓参りは、かなりにぎやかな様子だという。お墓の前で宴会をしたり、花火を上げたりと、長崎のお盆と言えば精霊流しが有名だが、そこでも辺りが爆竹の煙で真っ白になるぐらい爆竹が鳴らされるそうだ。
そこで長崎歴史文化博物館から、長崎のお盆に関する資料を入手したのでまとめてみた。長崎でのお盆は精霊を歓待し、送り返す行事
お盆とは「盂蘭盆会(うらぼんえ)」の略称で、先祖や親族の精霊を迎え、供養する行事。しかし長崎では、「浄土から年に一回帰って来る精霊を生きている人に対するように歓待し、送り返す行事として伝承されている」とのこと。
歓待するのは分かったが、なぜ墓所で花火を上げるようになったのだろうか? 資料にはさらにこう書かれている。
「江戸時代に長崎の盂蘭盆会では墓所で唐人鉄砲や音火矢・箭火矢(おとびや・やびや)などと呼ばれた花火を盛んに上げていた」とある。花火を打ち上げる理由についてまではつまびらかには書かれてないが、1686年にはお寺の本堂などが、この火矢によって消失した事例もあるので、300年以上の歴史がある風習ということだ。
墓所での会食や宴会は、中国の風習に倣ったものだそう。江戸時代の記録によると、お墓参りにかこつけて、なかには芸者をあげて墓所でどんちゃん騒ぎをする者なども居たようだ。長崎のお盆といえば「精霊流し」。その由来は?
精霊流しは、精霊を浄土へ送り返すために、初盆を迎えた遺族や町内の人々は精霊船を、先祖の霊を送る人々は供物を海に流す行事だ。夕方、精霊船は遺族・町内の人々と共に各家・町内を出発し、花火や爆竹の音に送られながら流し場である大波止場を目指す。現在長崎市では海に流すことは禁じられているが、ほかの地域では現在も川面に流すところもあるようだ。
元々、中国人が毎年行っている彩舟流(さいしゅうながし)に倣ったものらしく、当時大波止場にて精霊船に火をつけて流すことが流行した。港内にはオランダ船や唐船が停泊しており、危険極まりないため、1855年に三味線や太鼓などではやし立て、火をつけて精霊船を流すことが禁止され、現在の花火や爆竹を鳴らすに至っているそうだ。
長崎のお盆は江戸時代にまでさかのぼる古い風習で、江戸時代に国際貿易を許されていた長崎ならではの風習なのかもしれない。お盆期間中、長崎に訪れることがあれば、こうした歴史の奥深さに裏付けされた独自の文化を是非体験してみたいものだ。●取材協力
長崎歴史文化博物館
HP:http://www.nmhc.jp/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/08/10/67451/
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