事業を立ち上げた直後に待ち受ける“落とし穴”とは

事業を立ち上げた直後に待ち受ける“落とし穴”とは
 ビジネスを立ち上げるということはとても難しいもの。成功の保証はないですし、うまく軌道に乗せるには凄まじい努力が必要だというイメージがあります。
 しかし、そうやって複雑に考えてしまえば、途端に難しくなるのもビジネス。シンプルな視点でするほうがいいと言うのは、これまでに40以上のビジネス立ち上げに携わってきた山中哲男さんです。
 山中哲男さんは著書『「あったらいいな」を実現するビジネスのつくり方―顧客に求められる圧倒的価値の創造メソッド』(パブラボ/刊)で、ビジネスを創る際の心がけや方法を伝授しています。今回はそんな山中さんに本書の内容をテーマにお話をうかがってきました。その前編をお伝えします。
(新刊JP編集部)

―『「あったらいいな」を実現するビジネスのつくり方―顧客に求められる圧倒的価値の創造メソッド』についてお話をうかがえればと思います。まず、山中さんがコンサルタントとして事業の立ち上げにかかわるようになったきっかけを教えていただければと思います。

山中:僕は20歳の時に飲食店を立ち上げたのですが、その店のお客さんの中に、自分も飲食店を出したいという方がいたんですよ。それで、僕に何か手伝えることがあったらやりますよ、といって相談に乗ったのが、事業立ち上げに関わるようになった始まりです。

―ご自身の店の経験はそのまま他の店の立ち上げに応用が効くものだったのでしょうか。

山中:そのお客さんが計画していたお店というのが、ちょうど僕が当時やっていた店と業態が一緒で、やきとり居酒屋だったんです。だから何かアドバイスするにしてもイメージが湧きやすかったというのはあります。
これがまったく別の種類の飲食店だったり、あるいは飲食店以外の立ち上げだったらそうはいかなかったと思います。まだまだ知識がなかったので。
ただ、その一件があってから事業立ち上げの相談が舞い込むようになりました。

―本書では“「あったらいいな」を実現する”という哲学のもと、ビジネス立ち上げを成功させる秘訣が明かされています。ところで、起業や社内ベンチャーなど、事業の立ち上げにはいくつかのタイプがありますが、山中さんが関わることの多いのはどのような種類のものなのでしょうか。

山中:立ち上げの種類というよりは時期ですね。携わることが一番多いのは、事業を興して間もない時期です。始めてみたはいいもののすぐに行き詰ってしまったというような事業をお手伝いしようと、自分としても心がけています。

―山中さんに助けを求めてくるということは、当然事業はうまくいっていないわけで、そこに山中さんが入ったとしてもやはり立て直すのは難しいのではないですか?

山中:難しいです。立ち上げてからまだ三カ月とか、半年とか、そういう事業がほとんどなので、人材教育にまったく手がつけられていないとか、集客方法が全然わからないとか、立ち上げたもののどうしていいかわからないといった状態のところに入っていくことが多いんです。
そういう状態の時の経営者は、まだ余裕がないこともあってどうしていいかわからなくなってしまうんですよね。日々の業務に忙殺されているうちに新しい問題点が次々に出てきてしまう。

―素人目には、もっと綿密に計画してから立ち上げればいいのではと思うのですが、なかなかそうもいかないのでしょうか。

山中:確かにそれはそうなのですが、ビジネスを立ち上げていざ走り出してしまうと、どれが本当に重要なことで、どれが真っ先に取り組むべき課題なのかがわからなくなってしまうんですよ。しかも、一つ問題点に取り組んでいるうちに新たな問題点が三つも四つも出てくるものだから、パニックになってしまう。
こんな時、相談できる人がいるかどうかというのはものすごく大事なことなのですが、現状を整理してあげたり、やるべきことの優先順位をつけてあげる人が周りにいない経営者は多いです。そこのところを引き受けたり、知識不足のところを埋めるのが僕の役割だと思っています。

―また、事業立ち上げの種類によって「成功のポイント」も違いますか?

山中:たとえば社内ベンチャーの場合は、経営者が関わってくるケースが多いので、経営陣の意見はある程度反映される環境にあります。
これに対して、いちから起業する場合、アドバイスを受けたり相談する相手がいませんし、そもそも起業家には「一人で全部やろう」という自己完結型の人が多いんです。そうすると、どうしても経営するうえでの視野が狭くなってしまいます。これを補って、相談相手や仲間を早い段階で見つけておくというのが、起業の時の成功のポイントだと思います。

―相談相手や仲間を見つけるためにどんなことが大切になるのでしょうか。

山中:自分のやりたいことを常に外に向けて発信することです。
ブログを書くこともそうですし、さまざまな交流会に参加するのもそう。もし、知り合いに会社を経営している人がいるのであれば、その人に自分のアイデアややりたいことを話して「こういう知識がある人がいたら紹介してくださいね」などと言っておくのも一つの手です。
起業に対する明確なビジョンと思いがあれば、目をかけてくれて何かと助けてくれる人って見つかるものです。若い経営者を応援したいというおじさんって結構いますからね。こういう人脈は、お金うんぬんじゃなくてビジョンや思いに共感するかどうかというところなので、どんどん発信した方がいいと思います。どこにどんなご縁があるかわかりませんから。

(後編へ続く)



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