大臣室からゲリラ生放送「コメント見ながら配信しています」
本日、原口総務大臣が、総務大臣室より自ら生放送をおこなう、という非常に興味深い出来事がありました。大臣のミニブログ『Twitter』での発言以外に予告はなかったこの放送。約25分間の放送でおよそ1300名の視聴者を集めました。大臣が自らネット生放送をおこない、視聴者からのライブコメントを読み上げるというのは前例のない出来事です。
まずは4月9日13時36分。原口総務大臣から突然『Twitter』で興味深い発言がありました。
原口大臣:
本日3時からのユーストリーム会見のテストを行うことにしています。情報発信の新しいあり方について議論しています。様々な可能性に挑戦したいと考えています。
『ユーストリーム(USTREAM)』とは、ネットで生放送するためのサービス。無料で利用できる。でも、あれ? 今日の大臣の会見は午前中におこなわれたんじゃなかったっけ? なんだろうこれは。そんな疑問を感じつつ記者が仕事を続けているとさらに14時29分、新しい発言が。
原口大臣:
ユーストリーム会見のテストのURLは以下のとおりです→ http://ustre.am/fGyn
ざわ……ざわ……これって、大臣が自分で生放送しようとしているのかな? 記者会見室からやるんだろうか……。などと、さまざまな疑問が浮かぶものの、会見開放に興味がある人達にそのメッセージを転送しつつ、早速大臣の指定するページへ飛んでみると「15時から配信開始します」というメッセージが表示されているではないか。これは本当になにかやるのだな、ということで「大臣がUSTREAMで会見やるそうだ」というメッセージがネット上を飛び交いました。先日『USTREAM』の筆頭株主となったソフトバンクの孫氏も、『Twitter』でこのような発言を。
ソフトバンクの孫氏:
大臣もUst開始した。良き時代始まる。
どのような内容か不明なまま、15時に配信がスタート。その内容は、大臣自ら『USTREAM』を使って視聴者に話しかける、といった形態でした。場所は会見室ではなく、大臣室のソファー。大臣はソファーに座り正面からカメラに向かっています。そして大臣自らPCを操作し、『Twitter』でのつぶやきをチェックしてるようです(番組中にスクリーンセーバーが働いて、一度ツイートが見えなくなる、というハプニングもありました)。『USTREAM』の生中継をおこないながらそれに対する視聴者からの質問を『Twitter』経由で大臣がチェックすると、原口大臣自らが冒頭に発言しました。会見をメディアが中継するということはこれまでもおこなわれてきましたが、大臣自身が、生放送で会見をおこない、しかもライブで届いた質問等に答えよう、という試みはもちろん前例などありません。
記者の私見ですが、プロのジャーナリストや商業媒体だけじゃなく誰もが大臣会見という一次情報に直接触れ、だれもがそれらを元に評論・議論をおこなうことができるようになるのが「本当の会見のオープン化」であって、それをおこなうための近道がこういった形、つまり省庁等が自らネット配信などをおこなうという形ではないかと考えています。これまでは、ジャーナリストやメディアという第三者を通さなくては見えなかったものがストレートに、ライブで国民に伝わる。ほんとの理想を言えば、大きな会場を借りて、会見に参加したい人は誰でも会見に参加できるようにできればよいのですが、会場確保の問題、セキュリティの問題、地方在住者が毎回参加するのはたいへんだ、といった問題がありました。でもネット生放送が発達した現在、これらの新しい技術やツールを使えば、誰でも会見に立ち会うことが可能なのです。しかも無料で。
今回の会見ですが、さすがテレビ出演も多い原口大臣だけあって、しゃべりも流ちょうですし、フリップに図を描いたものなども事前に準備されており、わかりやすい内容だったのではないかと思います。ただ残念なことに25分間のネット会見の間、視聴者からのコメントには触れられませんでした。コメントに関しては、会見を一旦終了した後、「反省会」という形で放送を再開し、その中でコメントの読み上げと回答がおこなわれました。これは通常の記者会見のスタイルに近いですが、やはりライブで双方向というシステムの特徴を生かして、放送中にもコメントに触れ、回答などもその場で即時おこなわれると、より“ネット会見”らしくなったのではないかと思います。
映像と音声を届けることそのものはテレビでもできますが、ネット放送の最大の特徴はこれらのコメントを集め、その場で共有できることです。そして、それが今、一番求められているコミュニケーションの形態でもあります。というのは、生放送でテレビにそのまま視聴者の生のメッセージを表示するというのは難しい。というより不可能です。自由に書き込みできるような仕組みだと公序良俗に反するコメントが間違いなく発生し、それはテレビには出せないことになってしまっています。一方的な放送であれば、テレビでやればいい話ですので、ここはもっとネットの利点を取り込んだ放送に一歩踏み込んで欲しかったなと思いました。もちろん、これが定例化すれば、ヤジなどの書き込みも増える可能性がありますので、現在のシステムのそのままではなく、コメントシステム部分に関しては、別途準備する必要はあるのではないかと思います。
それにしてもこの流れ、他の省庁にも波及して欲しいものです。誰でも大臣会見に立ち会い質問もできるようになる、なんてなことができるなんて、ちょっと素晴らしいと思いませんか?
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トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。
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